UK (バンド)
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UK(ユー・ケイ)は、イギリスで結成されたプログレッシブ・ロック・バンド。1978年に結成し、1979年5月に解散した。
[編集] 変遷
元キング・クリムゾンのメンバーであるジョン・ウェットン(vo.b)とビル・ブラッフォード(dr)が、クリムゾンのようなインプロビゼーション主体のロックを再びプレイしようと話をしたことに端を発する。
当初、元イエスのリック・ウェイクマンを誘いトリオ編成での活動を試みるが、マネージメントの問題(ギャラの配分及びバンド名に個人の名称を入れるかどうかで意見が分かれたと言われている)で挫折。その後、ウェットンがロキシー・ミュージックで一緒になったエディー・ジョブソン(key,vio)に参加を打診。また、ブラッフォードが自身のソロアルバム『Feels Good To Me』に参加していたアラン・ホールズワース(G)を誘い、ファースト・アルバムに参加する4人のメンバーが決定した。
1978年、このメンバーによるファースト・アルバム『U.K.(邦題:憂国の四士)』をリリースしツアーを行うが、ブラッフォードとホールスワーズは、よりジャズ的な音楽性を求め脱退し、ブラッフォードを結成する。
残された二人は、後任のドラマーとして、ジョブソンの知り合いでフランク・ザッパのマザーズ・オブ・インヴェンションで活動していたテリー・ボジオを誘い、トリオ編成でバンドを再スタートさせる。
1979年、セカンド・アルバム『デンジャー・マネー』、同年、ライブ・アルバム『ナイト・アフター・ナイト』をリリースするものの、同年5月、ツアー後に解散した。
[編集] 音楽性
ファースト・アルバムでは、ブラッフォードやホールスワーズの持つジャズ・ロック的要素、ジョン・ウェットンの持つハードロック的要素、シンセサイザーやエレクトリック・バイオリンを用いたエディ・ジョブソンのインストゥルメンタル的要素が互いに絡み合い、ジャズとロックの要素がほぼ均等に導入された楽曲とアレンジを聴く事が出来る。
セカンド・アルバムではブラッフォードやホールスワーズがいないせいもあって、ロックの要素が多い。新加入のテリー・ボジオの超絶技巧的なドラミングなども聴きどころとなっている。
ただし、この時期の音楽シーンは、パンクやニューウェーブ、或いはニュー・ロマンティックといったジャンルが主流であり、1960年代-1970年代のプログレッシブ・ロック的な雰囲気を多く残し、演奏技術を前面に押し出す作風は、特に音楽の最大マーケットであるアメリカやバンドの母国であるイギリスではセールスにつながらなかった。
結果としてバンドは解散するが、このUKの解散を以って、1970年代のプログレッシブ・ロック・ムーブメントの終焉とされる事が多く、これを踏まえた形で、ジョン・ウェットンは1982年に、ポップ性の強いエイジアを結成した。これが商業的に成功した事によって、他のプログレッシブ・ロック系のミュージシャンにも多大な影響があったと言われている。さらに、他のメンバーの作品を考えても、U.K.のサウンドは1980年代にプログレッシブ・ロックがポップ性を強調した形で再生する為の宿命的な通過点であった、という言い方も出来るとされている。
[編集] 作品
- 1978 U.K. (U.K.) 邦題は「憂国の四士」
- 1979 デンジャー・マネー (Danger Money)
- 1979 ナイト・アフター・ナイト (Night After Night) - ライブアルバム(1979年5月の来日公演を収録。スタジオ・アルバムに収録されていない曲が2曲収録されている。
- 1999 Concert Classics, Vol. 4 - ライブアルバム、編集盤