YOZAN
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種類 | 株式会社 |
市場情報 | |
略称 | ヨーザン、YOZAN |
本社所在地 | 東京都千代田区神田美土代町7番地 住友不動産神田ビル16階 |
設立 | 1990年(平成2年)8月24日 |
業種 | 電気通信事業 |
事業内容 | 電気通信事業 |
代表者 | 代表取締役会長 高取直 代表取締役社長 大畠潔 (2006年6月29日現在) |
資本金 | 143億0744万7000円(2006年3月31日現在) |
売上高 | 23億4900万円(2006年3月期) |
従業員数 | 106名(2006年3月現在) |
主要株主 | 高取直20.31% |
外部リンク | http://www.yozan.co.jp/ |
株式会社YOZAN(ヨーザン、YOZAN Inc.)は、無線通信事業を行う日本の電気通信事業者である。
2005年7月に株式会社鷹山から、現社名に変更。 なお社名は江戸時代中期の大名、上杉鷹山に由来する。
現在はPHS事業で得たインフラを活用し、WiMAXによる無線ブロードバンドインターネット接続事業に注力している。
また現在も無線呼び出し(ポケットベル)事業を行っており、この部門でかつて最大手だったNTTドコモが2007年3月末で撤退したため、YOZAN(その関連会社である沖縄テレメッセージを含む)が全国唯一の無線呼び出し事業者となった。
目次 |
[編集] 略歴
設立当初は第三世代携帯電話(W-CDMA)用の集積回路設計・研究開発などを行っていたが、第三世代携帯電話のサービス開始の遅れや需要の伸び悩みへの不安から、電気通信事業者へ業態転換を行うことになる。
まず、2001年12月4日に無線呼び出し事業の「東京ウェブリンク」(旧東京テレメッセージ、後のマジックメール)をボーダフォングループ(当時)の日本テレコム(現ソフトバンクテレコム)から譲受、そして、2002年8月1日にPHS事業の「アステル東京」を東京通信ネットワーク(後のパワードコム、現在はKDDIに吸収合併)から譲受。
当初の計画では、譲受したインフラをPHSと電力系通信事業者の光ファイバー・無線LANを組み合わせた無線IPネットワークに改良することにより、事業拡大を目指そうとしたが、見通しの甘さや外部環境の急激な変化(主たる回線調達元となっていた電力系通信事業者・パワードコムが競合他社へ吸収合併される等)によって当初計画の変更・断念が相次いだり、他地域のアステルグループが続々とPHS事業から撤退することにより既存顧客の流出が続くことになる。
2005年2月には、アステルPHS基地局の設置場所を転用し、WiMAXによる無線定額通信およびIP電話サービスを2005年末に開始することを発表した。それに伴い、アステル事業は同年11月30日をもって終了。その後も残っていたテレメトリング(専ら計器の遠隔読み出し等に用いる通信回線を提供するサービス)も2006年6月30日限りで終了し、PHS事業から完全撤退している。
2005年7月1日、社名(商号)を株式会社鷹山(ようざん)から株式会社YOZANに変更し、サービスブランドと統一した。
毎年売上高の著しい減少&その後新株予約権付社債の発行を繰り返しており、監査報告書において、継続企業の前提に関する重要な疑義に関する注記が監査法人よりでている。
[編集] 年表
- 1990年8月24日:株式会社イーゼルロボットビジョン設立。
- 1996年1月:商号を株式会社イーアールブイに変更。
- 1997年11月:株式会社イーゼルと合併し、商号を株式会社イーゼルに変更する。
- 1998年9月:第三世代携帯電話の集積回路設計を主として行っていた株式会社鷹山から営業の一部を譲渡され、商号を株式会社鷹山に変更。(株式会社イーゼルに営業の一部を譲渡した旧鷹山は、商号を株式会社高取育英会に変更。)
- 2000年9月1日:株式をJASDAQ市場(現 ジャスダック証券取引所)に登録。
- 2001年12月4日:日本テレコム(現ソフトバンクテレコム)から無線呼び出し事業の「東京ウェブリンク株式会社」(旧東京テレメッセージ)を譲り受け、子会社化。その際同社は、商号を株式会社マジックメールに変更する。
- 2002年8月1日:東京通信ネットワーク(後のパワードコム)からPHS事業(東京電話アステル)を譲り受け、「アステル東京」サービスを開始。(実際の運営は子会社のマジックメールが行う。)
- 2002年10月1日:100%子会社の株式会社マジックメールを吸収合併。
- 2004年4月1日:ボイススポットフォン(VSフォン)サービス開始。
- 2004年9月13日:DDIポケット(現ウィルコム)網を利用した「全国コール」サービス開始。
- 2004年11月30日:他地域のアステル網とのローミングを終了。
- 2005年2月10日:WiMAX方式による定額通信サービスへの参入を発表。
- 2005年2月15日:PHSによるテレメトリングサービスの新規受付を終了。
- 2005年4月20日:PHSサービスの新規受付を終了。
- 2005年7月1日:商号を株式会社鷹山(ようざん)から株式会社YOZANに変更し、サービスブランドと統一。
- 2005年7月26日:沖縄テレメッセージに出資。
- 2005年11月30日:「アステル東京」ブランドでのPHS音声サービスを終了。
- 2005年12月25日:無線ブロードバンドサービス「YOZAN WiMAX」開始。
- 2006年3月13日:ジャレコと業務・資本提携することが発表された。相互の株式を持ち合うことになる。
- 2006年4月17日:ソフィア総合研究所とWiMAX関連の合弁会社設立を発表。MVNO事業者向けサービス、一般ユーザー向けサービスの提供を行うとした。
- 2006年5月31日:ボイススポットフォン(VSフォン)サービスを終了。
- 2006年6月29日:新社長に大畠潔が就任。高取直は代表権を持つ会長に就任。代表者2名体制に。
- 2006年6月30日:テレメトリングサービスとPHS網を利用した児童見守りサービスを終了。PHS事業から完全撤退。
- 2007年4月:出版社の飛鳥新社とキティ・フィルムの議決権を持つキティライツ&エンターテインメントを株式交換によって完全子会社化。
[編集] 事業概要
[編集] YOZAN WiMAX
YOZAN WiMAX(よーざん わいまっくす)は、WiMAXを利用した無線ブロードバンドインターネット接続サービスのブランド名称。
現状では移動端末を想定した Mobile WiMax (IEEE802.16e) が実用化されていないため、"BitStand" と呼ばれる Wi-Fiアクセスポイントのバックボーン(基地局と交換局などを結ぶ基幹となる通信回線)に WiMAX (IEEE802.16-2004) を利用した公衆無線LANサービスのみを提供している。
BitStandサービスのプロトコルにはIEEE802.11b/g方式が使用され、通信速度は上り下りともに9Mbpsである。
当初、2006年5月までに基地局を1500カ所[1]、BitStandを6000局設置するとしていたが、同年10月23日の時点で基地局は関東112局・近畿2局、BitStandは関東144局にとどまっており、双方の設置の遅れが顕著である。
[編集] 料金体系
BitStandサービス(公衆無線LANサービス)が使い放題になるAコース、BitStandサービス使い放題と自宅のブロードバンド回線に接続するための無線LANルータ("Web Distributor")レンタルがセットになったBコースの二種類が用意されている。
- Aコース
- 年間パッケージ料 7,560円(税込)
- 半年パッケージ料 4,410円(税込)
- Bコース
- 年間パッケージ料 11,340円(税込)
なお、契約の際には事務手数料として3,150円(税込)の負担が必要である。
[編集] マジックメール
マジックメールは、YOZANが提供する無線呼び出し(ポケットベル)サービスのブランド名称。
このブランド名は、使用される 280MHz帯が建物内や地下鉄などでも到達可能な文字情報配信サービスであるという、その強力な電波伝達力に由来する。
関東地方一都三県内に16ヶ所の基地局を設置、国道16号線内側を中心とした東京近郊地域でサービスを展開中。
同社がポケットベル事業を引き継いだ当初は、FLEX-TD 方式と POCSAG 方式の 2種類の規格によりサービスを提供していたが、事業合理化のため、2003年4月より POCSAG 方式に一本化。 ちなみに、FLEX-TD 方式によるサービスは2004年11月30日に新規受付を終了し、翌年3月31日にサービス停止している。
2007年3月末をもってNTTドコモグループがこの部門から撤退したため、YOZANとその関連会社である沖縄テレメッセージが国内における唯一の無線呼び出し(ポケットベル)事業者となった。
[編集] D-FAX
D-FAX(Dial in FAX)は、パソコンでFAXデータを受信するサービスのブランド名称である。
なお、この事業はYOZANの子会社YOZANスカイキャストコミュニケーションズが提供している。
サービスの詳細は、D-FAXを参照。
[編集] パーソナルセキュリティシステム
GPSなどの位置情報確認技術を利用し、本サービス専用端末の位置データなどをセンターから相互に通知・確認させるためのシステム。現在は東京都品川区の児童の緊急通報システムとして採用されている。
以前は児童見守りサービスと呼ばれていたが、ネットワークがYOZANのPHS網からボーダフォン(当時)の第二世代携帯電話ネットワークに変更になるのに伴い、名称が変更された。
[編集] ケータイ・セービング
[編集] かつて行っていた事業
[編集] アステル東京
アステル東京は、2002年8月1日に東京通信ネットワークより譲受したPHSサービスのブランド名称である。
詳細は、アステル東京を参照。
旧アステル東京からの流れを受け、「着メロ」の商標権を現在も保持している。
[編集] ボイススポットフォン(VSフォン)サービス
ボイススポットフォン(VSフォン)サービスは、PHSを用いた屋内向けワイヤレス電話サービスのブランド名称である。
詳細は、ボイススポットフォン(VSフォン)サービスを参照。
[編集] 関連リンク
[編集] 外部リンク
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