のっぺらぼう
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のっぺらぼうは、一般的に外見は普通の人間だが、顔には目も鼻も口もない妖怪のことである。小泉八雲の『怪談』のなかの『むじな』の話が有名である。のっぺらぼうそのものは存在せず、『怪談』にあるように、狢(むじな)などが人を驚かせるために化けるのだとも言われる。
凹凸がなく、すべすべした物体(卵など)の形容にも用いられる。また、自分の考えや主義主張を持たない無個性な人物の形容にも用いられることがある。
[編集] あらすじ
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
江戸は赤坂の紀伊国坂は、日が暮れると誰も通る者のない寂しい道であった。ある夜、一人の商人が通りかかると若い女がしゃがみこんで泣いていた。心配して声をかけると、振り向いた女の顔にはなんと目も鼻も口も付いていない。驚いた商人は無我夢中で逃げ出し、屋台の蕎麦屋に駆け込む。商人は今見た化け物のことを話そうとするも息が切れ切れで言葉にならない。すると蕎麦屋は「こんな顔ですかい」とのっぺらぼうに変身、商人は気を失うのであった。
二度にわたって人を驚かせるという筋立ての怪談の典型であるが、これは「再度の怪」と呼ばれ、他にも「朱の盆」や「大坊主」などの話がある。原型と見られる小話が中国古典の『捜神記』にあり、ここから由来したものであろう。