ひやむぎ
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ひやむぎ(冷や麦・冷麦とも書く)とは、小麦粉から作った麺の一種である。
ひやむぎの由来については、小麦粉を水で練ったものを細く切り、茹でて食べるものを「切り麦」と呼んでいたが、これを暖めて食べるものを「饂飩(うどん)」、冷やして食べるものを「冷麦(ひやむぎ)」と分けたからという説が有力である。 さらに、うどんが温かさを保つために太くなっているのに対し、ひやむぎは、より冷たい状態で食べるため次第に細くなっていったと伝えられている。
同じ小麦粉から作った麺である、うどんやそうめんと種類を分けているのは、日本農林規格が「直径が1.3mm以上1.7mm未満の丸棒状(手延べひやむぎ)・長径を1.3mm以上1.7mm未満,短径を1.0mm以上1.7mm未満(乾麺のひやむぎ)」という規格を作ったことによる。しかし現在のひやむぎは素麺とほぼ同じ製法で作られており、食べ方が同じことや食感も類似していることから、一般的にはうどんより、そうめんの一種として扱われるようになっている。
冷麦はそうめんと違い、西日本一帯では知名度が低いとも言われている。また、東京近郊の蕎麦屋では冷麦は蕎麦と茹で上げる時間がほぼ同じであることが多いため、夏場にはそうめんではなく、冷麦を供している場合が多い。 また、1980年代後半までは、関東地方(東京)などを中心に「ひやむぎ」の麺に赤や緑の彩色麺が数本入っている場合が多かった。これは、原材料メーカーがひやむぎの麺束にこれらの彩色麺を混入していたためである。しかし、1990年代にはこの風習は廃れ、現在の白色麺一色となった。
山梨県では「おざら」と呼ばれ、夏の食事として親しまれている。