食文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
食文化(しょくぶんか)は、食にまつわる文化を総称する概念であり、そこには食材、調理法といった食品に関わるものから、食器、マナー、外食産業などに至るまで多くの物事のあり方が含まれる。
食文化は、日常生活の必要を満たしたり、飢饉などへの対処でも特殊な発展をしてきた。
民族や国、宗教、風俗によってそれぞれ固有の多様な食文化が存在する一方で、麺類のように交易などを通じて文化圏を越えて食文化が伝搬する場合もある。ヨーロッパの近世史では、地理上の発見や植民地戦争が、食材や香辛料などの面でその食文化に大きな影響を与えた。また日本においても、明治維新に伴う文明開化や、太平洋戦争中の食糧不足、連合国軍最高司令官総司令部の占領下の日本での食糧援助、高度経済成長などにより食文化が急速に変化してきたのは周知のところである。
現代社会のグローバリズムの趨勢の中で、それぞれの食文化は均一化の方向へ向かっているとも言われる。欧米企業を主体にしたファストフード店が、世界各国の地方都市にまで展開していたり、インスタント食品やスナック菓子などが流通するようになっているのも、流れのひとつである。しかし、これに逆らう形で郷土料理の見直し、地産地消、スローフード運動のように、固有の食文化を大切にする気運も生じている。
宗教教義や生活環境の違いなどによる食のタブーや、食の頻度、摂取する時間、マナー、ハレやケの食品なども食文化の要素のひとつである。これらも天候の変化、征服支配、経済成長などの要因によって時代とともに変化し得る。
くらしき作陽大学に、日本初の「食文化学部」が設置されている。
[編集] 関連項目
- 料理 - 各地の料理の一覧
- 食事
- 食品
- アルコール飲料
- 調理
- 栄養学
- 食文化に関する用語の一覧
- 食に関する商標の一覧
- 食材の一覧
- 料理と菓子の一覧
- ソフトドリンクの一覧
- ハーブの一覧
- 野菜の一覧
- 昆虫食
- 食器
[編集] 外部リンク
- 世界の食文化
- 「肉を食らう」ということ(肉食の哲学)
- 肉食文化論のエッセイ。
- 中国のヘビーなお食事-”食狗蛇蠍的!”
- 中国の多彩な食(動物性食料)を紹介したフィールドレポート。
[編集] 関連書
- 『食文化入門』石毛直道、鄭大声 編集 講談社 ISBN 4061397729
- 『食と文化の謎』 マーヴィン ハリス (Marvin Harris)、板橋作美 訳 岩波現代文庫 岩波書店 ISBN 4006030460
- 『食の文化を知る事典』 岡田哲 東京堂出版 ISBN 449010507X
- 『食の世界地図』 21世紀研究会 編集 文春新書 文藝春秋 ISBN 4166603787
- 『世界地図から食の歴史を読む方法―料理や食材の伝播に秘められた意外な事実とは?』 辻原康夫 KAWADE夢新書
- 『食の歴史1』 J‐L.フランドラン、M.モンタナーリ、菊地 祥子、末吉 雄二、鶴田 知佳子 宮原信、北代 美和子 訳 藤原書店 ISBN 4894344890
- 『食の歴史2』 J‐L.フランドラン、M.モンタナーリ、菊地 祥子、末吉 雄二、鶴田 知佳子 宮原信、北代 美和子 訳 藤原書店 ISBN 4894344904