アクチノイド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アクチノイド (Actinide, Actinoid):周期表においてアクチニウムからローレンシウムまでの15の元素をアクチノイドと言う。Anという元素記号で一般的に表される。
アクチノイドからアクチニウムを除いた、トリウムからローレンシウムまでの元素のことを特にアクチニド(アクチナイドとも言う)と呼ぶことがある。
ウランより重いネプツニウム以降の元素のことを超ウラン元素という。超ウラン元素のほとんどは自然界には存在せず人工的な環境で生み出されたものであり、半減期も短いものが多い。このため物理的、化学的性質の詳細はとりわけ不明な部分が多い。化学的性質はランタノイド元素に類似するようである。
アクチノイドは、5f軌道の電子が詰まり(占有され)始める元素のシリーズで、アクチニウムでは、5f電子はゼロ個が詰まり、6d軌道に1個の電子、7s軌道に2個の電子が詰まる(占有される)。以降、トリウムからローレンシウムまで5f軌道に電子が1個ずつ詰まっていく(ランタノイドの場合と異なり、いくつか例外あり)。最後のローレンシウムで5f軌道全てが埋まる(14個の電子に占有される)。この過程で、6d軌道と7s軌道の電子の詰まり方がほぼ変わらないのがアクチノイドの特徴で、このためアメリシウムより重いアクチノイドの原子価は、3価をとる場合がほとんどである(アメリシウムより軽い方の元素は3価と異なる原子価をとる)。
このように5f軌道から詰まっていくため、より外側の6d、7s軌道の電子は5f電子などによる遮蔽効果(弱い)以上に原子核(正電荷)からの影響を受け、原子番号が大きくなるほど、原子半径、イオン半径が短くなる(→アクチノイド収縮)。
アクチノイドの化合物の中には、フェルミエネルギー上の電子の有効質量が自由電子のものより2、3桁も大きい、重い電子系(Heavy fermion)と呼ばれる性質を持つものがある。
5f、6d、7sなどの外側の軌道は、相対論効果の影響も受ける(例:スピン軌道相互作用←d軌道やf軌道に対して)。
[編集] 関連項目
- アクチノイド収縮