アコースティック・ギター
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アコースティックギターとは、撥弦楽器のひとつである、ギターのうち、アンプにより音を増幅するのではなく、ボディーをヘルムホルツ共鳴器として音響的 (つまりアコースティック) に音を増幅するギターの総称。(Acoustic guitar:正確な発音としてはアクースティック)
通常は6本の弦があり、指で爪弾くフィンガー・ピッキング、あるいはピックではじくピック奏法で演奏し、その結果得た弦の空気振動音を、本体内の空洞で増幅する。 (チューニング等は、ギター#チューニングの項参照。)
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[編集] 概要
アンプによる電気増幅を伴わないことから、一般的に「生ギター」、または、本項の略称から「アコギ」とも呼ばれる。1980年代後半からは、アコースティックピアノや、アコースティック・ベースなども含めて、「アンプラグド(unplugged)」という言葉も使われだした。
広義では、「クラシック・ギター」(古くはガット弦、現在一般的にはナイロン弦を張り、元々はクラシック音楽の楽曲を、指弾きで演奏するためのギター。チューニングは一緒だが、後者に比べてボディーがやや小さく、当然ながら、ピックガードはない)も含むが、ポピュラー音楽でこれらの用語を用いる場合は、一般的に、「フォークギター」(スチール弦を張り、もともとは、フォークソングや、トラッド、カントリーなどを演奏するのに用いる)を指すことが多い。
アコースティックギターは、スタンダードなバリエーションの他、バリトンギター、或いはテナーギターと呼ばれる、特殊な音域をもつものや、12弦ギターなどの複弦ギターなど種類も多い。
かつては、クラシックジャズやブルースにも使われていて、19世紀末には、スチール弦を張ったものが製品化されていた。しかしながら、音を電気増幅するエレクトリックギター(エレキギター)にとって代わられてきた。
次いで、電気増幅楽器が主流となると、逆に、アコースティック楽器の音質や、それらを用いたサウンドも求められ、各国それぞれにおいて、何度かブームが到来している。日本における近年の音楽面でのムーブメントのなかでも、ストリートミュージシャンが各地で台頭することで、価値観の多様化にもかかわらず、ブームと呼んでもよい状態となったといえる。
空気振動による楽器音を増幅する手段として、かつては、実際の音をマイクで集音し電気増幅していた。が、次に、エンドピン(ストラップを留めるためにボディーに付いているピン)部分や、ボディーの弦をはじく位置に穴の開いた形態のものは、そこに専用ピックアップを取り付け、楽器音を増幅していた。
次の段階で、共鳴する穴をゴムなどで完全に塞ぐ形で、内部にピックアップを取り付けた形態のものも、特殊ではあるが登場した。
[編集] エレクトリックアコースティックギター
近年は、エレクトリックアコースティックギター、略称「エレアコ(ギター)」と呼ばれるギターが登場し、主流となっている。よりアコースティックギター本来の音を拾えるように開発された専用ピックアップが内蔵され、専用のアンプや拡声装置(PA)に接続する事で、一般的なエレクトリックギターの音とは違う、アコースティックギターとしての音色が増幅されるものである。また電気増幅の手段を用いなくとも、通常のアコースティックギターとして使用可能なものが多い。エレキギターにも近いが、当項目の側から述べるなら、「電気増幅機能付のアコースティックギター」ともいえる。 大きな会場でコンサートを行うミュージシャン、ロックバンドなどに重用されている。
[編集] その他
ごく最近に至っては、エレキギターの形態で、内部のスプリングや鉄線などの振動音や共鳴音を拾うことによって、アコースティックギターのような音を出すものもあるが、これは機能的には、あくまでもエレキギターの一つである。また、ギターシミュレーターやギターシンセサイザー、エレキギター専用のエフェクターを用いることによって、アコースティックギターに似た音を出す方法もあるが、トリガーとしての本体はエレキギターの一種であり、「本物のアコースティック楽器ではない」という意味で、実際の音質いかんにかかわらず、シミュレートの域を出ない。
・YAMAHA AG-Stomp 等