アメリカ国家安全保障局
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国家安全保障局(こっかあんぜんほしょうきょく National Security Agency;略称 NSA )はアメリカ国防総省の諜報機関の一つ。国家情報長官によって統括されるインテリジェンス・コミュニティーの中核組織のひとつである。アメリカ中央情報局(CIA)がおもにヒューミント(スパイを使った諜報活動)を担当するのに対し、NSAはシギント(電子機器を使った諜報活動)を担当する。あまりに全貌が不明瞭なので「Never Say Anything(何も喋るな)」「No Such Agency(そんな部署はない)」と揶揄される事も。規模・予算ではCIAを3倍以上上回ると評される。
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[編集] 概要
- 本部 - メリーランド州フォート・ジョージ・C・ミード
- 職員数 - 約38,000人(時期・定義により変化するので、はっきりした数字は分からない。特にCentral Security Serviceと言う組織の人数が複雑。)
- 主な任務
- 外国暗号の解読
- 外国通信の解析(解読不能であっても、通信量を計測する「トラフィック解析」は重要)
- 外国のレーダー配置図などの作成
- 米軍暗号の作成
- 特に命令・通信が正規の指揮系統から出ていることを証明する「オーセンティケーター」と呼ばれるシステムの作成にかかわっていると推測。(たとえば、偽の核攻撃命令が権限のない人間から出ないようにするため)
- 米国政府の秘密通信のための基準・暗号・器具などの作成
[編集] 歴史
NSAの前身は、AFSA(the Armed Forces Security Agency―軍保安局)であり、1949年5月20日に統合参謀本部指揮下の国防総省の部局として設置されたものである。AFSAは軍情報部隊(the Army Security Agency, Naval Security Group and the Air Force Security Service―陸軍保安局、海軍保安群、空軍保安部)の通信諜報および電子諜報活動を指揮監督することになっていた。しかし、AFSAは能力不足であり、調整機能が不足していた。そこで1951年12月より国家安全保障会議の指示により、広範な検討が行われ、1952年6月のトルーマン大統領の秘密大統領命令によって、NSAは設立され、数十年にわたってその存在は秘密に伏されていた。 なお、この組織は大統領権限でも容易にアクセスできない程、機密性の高い軍事兵器開発計画、及び実験機関連施設の防諜・運用管理業務も担当していたと指摘する向きもある。
[編集] フィクション
- 小説
- NSA登場映画作品
- グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち Good Will Hunting (1997年) - 監督:ガス・ヴァン・サント 出演:マット・デイモン、ロビン・ウィリアムズ他 - 主人公の天才青年ウィルは、NSAへの就職を勧められる。
- マーキュリー・ライジング Mercury Rising (1998年) - 監督:ハロルド・ベッカー 出演:ブルース・ウィリス、アレック・ボールドウィン他
- エネミー・オブ・アメリカ Enemy of the State (1998年) - 監督:トニー・スコット 出演:ウィル・スミス、ジーン・ハックマン他
- 007 ダイ・アナザー・デイ Die Another Day (2002年) - 監督:リー・タマホリ 出演:ピアース・ブロスナン、ハル・ベリー他
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- ジェイムズ・バムフォード(瀧澤一郎訳)『パズル・パレス-超スパイ機関NSAの全貌』早川書房、1986年。ISBN 4152033177
- ジェイムズ・バムフォード(瀧澤一郎訳)『すべては傍受されている-米国国家安全保障局の正体』角川書店、2003年。 ISBN 4047914428
- パトリック・ラーデン・キーフ(冷泉彰彦訳)『チャター-全世界盗聴網が監視するテロと日常』NHK出版、2005年。ISBN 4140810769
[編集] 外部リンク
- NSAサイト(英語)