アリスコンプレックス
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アリスコンプレックスとは7~12歳程度の少女、即ち小学生の少女に対する性的嗜好である。精神医学的な用語としてはこうした性的嗜好はすべてペドフィリアにまとめられる。日本の漫画・同人世界で主に用いられる用語であり、通用する世界の狭い俗語である。
[編集] 概略
語源はルイス・キャロル作の『不思議の国のアリス』、『鏡の国のアリス』、『子供部屋のアリス』の主人公、アリス(Alice)である。なお、彼女のモデルは実在の女性であるアリス・プレザンス・リデルである。ルイス・キャロルと「アリス」はながらく世界的に少女愛の代名詞的存在であって、米国の少女愛運動家は少女愛記念日としてアリス・デーをもうけているほどである。また1990年代に存在し後に摘発された欧州全域の児童ポルノ交換グループ『ワンダーランド・クラブ』をはじめ、アリスの名と、少女愛・ロリコン文化の関連の事例は枚挙に暇がない。
日本においても1973年、写真集『少女アリス』が発売され話題を呼んだ。当時の澁澤龍彦の文章によるとアリスに関しては妖精的などではなく明らかに人工美女の雰囲気を持っているものであると述べられている。ロリータ・コンプレックスの言葉が使われた、和田慎二の短篇『キャベツ畑でつまずいて』でも追いかけられる役はアリスである。
1976年の『アリス幻想』(高橋康也)ではまだ「アリス・コンプレックス」という用語はないと書いていたが、その後漫画・オタク文化プロパーの間で使われるようになった。
日本で言葉として確立したのは1980年代初頭であると言われ、エロ劇画誌上において生まれたとされている。当時『OUT』『Animec』『ふぁんろーど』の3誌がアリスを取り上げている。しかしアリスコンプレックスという言葉の初出は明らかではない。『OUT』1980年12月号の記事「病気の人のためのマンガ考現学 第一回 ロリータコンプレックス by米沢嘉博」ではすでに、「少女を愛した数学者ルイス・キャロルの様に、もっと下の年令にいくと「アリス趣味」と言われ、少々危そうな徴候を見せ始める。ハイジコンプレックス-ハイコンの他、ペピコン、ラナコン、マユコン、ヒルダコン‥」などが言及されている。
日本ではアリコンと略される事もある。日本では未成年や年下を幅広く一括りにしてロリータ・コンプレックスで総称することも多いが、オタク世界ではこの年代をアリスコンプレックスと述べたりする。なお同人・オタク世界においては詳細な分類も行われており、その分類ではロリータ・コンプレックスは12~15歳程度の少女に対する性癖を意味し、さらに年齢が下る3~7歳の少女に対する性癖はハイジコンプレックスという。ただし、これではさらに対象年齢の低いものが分類できなくなるため、さらに0~3歳の幼児に対するものをベビーコンプレックスと名付け分類する事も行われている。きわめてマイナーな概念であり、一般にはほとんど知られていない。