アンドレ・ヴェイユ
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アンドレ・ヴェイユ(André Weil, 1906年5月6日 - 1998年8月6日)はフランスの数学者である。20世紀を代表する数学者の一人。思想家のシモーヌ・ヴェイユは彼の妹。インドの大学で教授となり、その際に、インド哲学を学んだ。フランスに戻り、ストラスブール大学の教授。学生時代の友人とブルバキを結成する。戦争中の苦い体験から、アメリカに亡命し、サンパウロ大学、シカゴ大学、プリンストン高等研究所などで研究生活を送った。
数論、代数幾何学に大きな業績を残した。ヴェイユ予想は数論と代数幾何学の深いつながりについて予想したもので、リーマン仮説の類似の一つであるが、その後のセールやグロタンディークの活躍につながるものである。またヴェイユ予想の解決は20世紀の数学の大きな出来事でもあった。
彼はブルバキの中心的なメンバーであった。ヨーロッパの多くの言語に通じていて、サンスクリットのバガヴァッド・ギーターは彼の愛読書だった。空集合の記号 Ø も彼の考え出したものだが、これはノルウェー語のアルファベットの一つである。数学史に関する造詣も非常に深く、その一端はブルバキの「数学史」からもうかがい知ることができる(ブルバキに数学史を載せることは彼の発案で始まった)。
主著は『代数幾何学の基礎』、『アーベル多様体と代数曲線』、『代数曲線とそれに関する多様体』。この他に、自伝や数学史の著作もある。