アーマード・コア4
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アーマード・コア4(ARMORED CORE4)は、フロム・ソフトウェアが発売したロボットアクションゲームである。次世代ゲーム機プレイステーション3とXbox360にプラットフォームを移した次世代ACというべき作品。SL以来久々のナンバリングタイトルであり、世界観は本作独自の物となっている。
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[編集] ストーリー
政府が統治能力を徐々に失い、それに伴い各地でテロ行為や暴動が頻発していた。それらを鎮圧し、秩序の回復を図るため、軍隊はより強力かつ高度に機械化され、軍に様々な兵器を供給する軍産企業もまた、数社の企業から成る強固な軍産複合体を形成し、その影響力を強めていった。
加速する世界の破綻により、ついには経済システムが存亡の危機に陥るに至り、新たな統治体制の確立を目指し、実質的最高権力組織となっていた6つの企業組織が、政府に対し全面戦争を開始した。
後に国家解体戦争と呼ばれるこの戦争は、企業側が投入した最新鋭兵器、特に、コジマ技術などの最新技術を盛り込んだわずか30機にも満たない新型AC(ネクスト)によって、数多くの国家軍隊はなすすべもなく壊滅し、勃発からわずか一ヶ月程度で、企業側の圧倒的勝利で終結。これにより、企業による統治が開始された。
企業による新たな統治が開始されてから5年後、世界は様々な問題を内包しつつも表面上での安定を保っていた。
[編集] 特色
PS3及びXbox360にプラットフォームが移り、パーツや世界観が全て一新され、サウンドや、背景やオブジェクトの他、弾道や爆発エフェクト等グラフィックも向上した。また、高機動を実現するクイックブーストや雑魚などの弱い攻撃を無効化するプライマルアーマー等の新要素により、爽快に戦闘を行えるようになった。
パーツ数は過去作に比べると少ないが、逆に「使えない不良パーツなどがほとんどなくて良い」という意見が多い。前作にも増して複雑になった操作系統のせいで、コントローラのボタン配置が悩みどころとなる。また、パーツのパラメータに対し説明書に詳しく説明が書かれていないのはユーザーに対し不親切といった印象がある。
エンブレムは従来作のドット打ちとは異なり、予め用意された複数のパーツを組み合わせて製作するという方式である。発売前はパターンが少なくなってしまうのではと懸念されたが、現状ではかなり凝りに凝ったものを製作するプレイヤーも多く意外にオリジナリティの自由度は高い。カラーリングもデカールといったシールを自ら製作できるためより細かく設定できるようになり、自分だけの機体を作り上げる楽しみはより一層増えた。
[編集] オフライン
オフラインは、従来シリーズ同様ミッションをクリアしつつストーリーを進めていく。ゲーム開始時に下記に挙げる6社の企業から機体を選ぶ(選択結果によるストーリーの変化は無し)。ミッションはチャプター別でセットになっており、そのチャプター内の特定のミッションをいくつかクリアする事により次のチャプターへ移行するという方式を取っている。失敗などに対するリスクは少なく初心者でもクリアするまで何度もチャレンジが可能である。
中盤以降に難易度が急激に上がり、初心者をはじめ往年のプレーヤーでさえ詰る人が多いが、機体の構成次第で解決できることが多く、総合的な難易度は標準的かそれ以下である。ミッション選択前にミッションの詳細が説明されないので機体の相性によっては上手い人でも一発ではクリアできなかったりする。操作に慣れてくると、圧倒的なネクストの機動と攻撃力で縦横無尽に疾走しながら敵部隊を壊滅させる快感を味わえる。
[編集] オンライン
オンライン対戦にも対応しており、インターネットを通し最大8人でのリアルタイム対戦が可能。「公式戦」と「非公式戦」に分けられる。他のプレイヤーの機体構成やカラーリングなどのデータを纏めた「機体図面」の交換等も可能。
また、パーツの強弱や性能等のバランスを調整されたレギュレーションファイルをダウンロードすることが出来る。2007年1月12日現在、バージョン1.10が配信されている。適応レギュレーションは自由に変更できるが、公式戦は必ず最新レギュレーションが適応される。
- 公式戦
公式戦は対戦をする度にその勝敗等の要素により「レーティング」と呼ばれるポイントが増減され、累積ポイントでユーザーがランキング形式で記録される。その性質上公式戦は「勝利すること」に固執する傾向があり、パーツ選択が「強い武器」に傾くために多くの人が同じ武器や構成になってしまっているのが現状であるが、上記のレギュレーションの更新によりバランスが改善される事が期待される。
- 非公式戦
ランキングに関係無いフリー対戦。公式戦、非公式戦ともに1vs1、4人又は8人のチーム戦、4人又は8人のバトルロワイヤル戦の方式が用意されている。プライベートルームという身内だけの対戦を楽しむ事もできる。
[編集] メインキャラクター
- フィオナ・イェルネフェルト(声:坂本真綾)
- 今作のオペレーター。ネクスト関係の研究者であるイェルネフェルト教授の娘。またプレイヤーの命の恩人。
- エミールの構想を理解しつつも、主人公を利用することの負い目を拭いきれない。
- エミール・グスタフ(声:沢木郁也)
- イェルネフェルト教授の部下。教授亡き後、コロニーアナトリアの全権を担う。一応ネクスト技術者であったが、むしろ政治家として稀有な才能を有する。
- 技術研究のために所有していたネクスト機体の戦闘力を新しい商品とすることを考え、主人公に計画への協力を依頼する。
- ジョシュア・オブライエン(声:中田譲治)
- フィオナの知人で軽量2脚型ネクスト「ホワイト・グリント」に乗る傭兵。コロニー「アスピナ」に属する。
[編集] 登場組織
- GA
- 正式名称はGlobal Armaments。これまでのシリーズにおけるクローム、エムロードやクレストの流れを汲む無骨なデザインのパーツを担当する複合企業である。
- GAアメリカを筆頭にGAヨーロッパ(GAアメリカの欧州法人。兵器開発分野で独自性を発揮)、MSACインターナショナル(電子系を母体とするハイテク企業)、クーガー(ロケットエンジン技術におけるリーディングカンパニー)、有澤重工(軍用車両及び炸薬に専門性を発揮)等の企業を抱える。
- GAアメリカとGAヨーロッパの間で内紛が起こっており、GAヨーロッパはGAグループと対立関係にあるレイレナード系の企業であるアクアビットと既にコジマ技術部門で提携している。これに対し、GAアメリカは協調関係にあるローゼンタール系のオーメル・サイエンス・テクノロジーのコジマ技術を用いている。
- また、BFFとは化石燃料市場を巡り対立関係にある。
- ネクストに関しては技術的にも戦力的にも他社の後塵を拝しており、主人公を傭兵として受け入れる要因となった。
- ローゼンタール (Rosenthal)
- 汎用的な兵器に定評のある軍事企業。ネクストは鋭角的デザインが特徴。また、ネクスト技術において、BFFとは民族関係を背景に協調関係にあったが、現在は民族主義の違いを理由に対立関係にある。
- コジマ技術の独自開発に成功したオーメル・サイエンス・テクノロジーを傘下に置き、高い技術力を誇る。なお、西アジアに拠点を構えるオーメル・サイエンス・テクノロジーは歴史的経緯からイクバールとも協力関係にある。その反面、コジマ技術のリーディングカンパニーであるアクアビットを擁するレイレナードとは対立関係にある。
- なお、アナザーストーリーVol.1に登場するミヒャエル・フランチェスカはローゼンタールに所属しており、Vol.3『リンクスレポート』を執筆している(という設定の)ミド・アウリエルはオーメル所属のリンクスである。
- レイレナード (Rayleonard)
- 元々はエネルギー関連の企業であったがコジマ技術によるAC用ジェネレーターの開発を行うなど、ネクスト技術の根幹を担う。軍需品はACに特化しており、高機動型ACに定評がある。
- コジマ技術のリーディングカンパニーであるアクアビットとは密接な関係にある。なお、アクアビットは北欧に拠点を構える伝統あるエレクトロニクス系軍事企業であり、GAヨーロッパともコジマ技術部門で提携している。
- インテリオル・ユニオンとはノーマル開発期から提携関係にある。
- 最新のコジマ技術を有すると共に、所属するリンクスの質も高く、企業間戦争の急先鋒的な存在でもある。
- BFF
- 積極的なM&Aを進めることにより力をつけてきた総合企業。正式名称はBernard and Felix Foundation。単体の企業のみで構成されているものの、その規模は欧州最大を誇る。軍需品は狙撃用パーツなど精密なものが多い。
- 伝統的にローゼンタールと協調関係にある(ただし、公式サイトの企業相関図には、民族主義から対立している事が記されている)。
- 極端な中央集権体制を敷いており、本社機能は特別艦「クィーンズランス」に集約されているが、逆にこれが致命的な仇となった。
- インテリオル・ユニオン (Interior Union)
- レオーネメカニカ、メリエス、アルドラの三社による連合企業。エネルギーを用いた兵器に定評がある。
- レオーネメカニカはインテリオル・ユニオンの盟主を務めるハイテク系軍事企業であり、欧州2位の規模を誇る。メリエスは本グループのキモともいえるレーザー技術部門におけるリーディングカンパニーであると同時に、ロケットエンジン部門でも専門性を発揮。アルドラはそれと対照的に、実弾武装部門へと進出するアクチュエーター部門の雄である。
- なお、アナザーストーリーに登場するリンクスの1人、セーラ・アンジェリック・スメラギはレオーネメカニカ所属である。
- イクバール (Eqbal)
- 豊富な人的資源と生産力を武器に、南アジア経済圏を実質的に支配する企業体。機体の特徴として、有機的かつ超高機動型という点が挙げられる。また、他グループとは異なる発想からなる装備を開発する事も多い。
- 支配地域に紛争地域が多く含まれているため、実戦テストを行いやすい環境にある。そうした環境におけるテストの結果、上記したような機体が生み出される事となった。
- 歴史的経緯からオーメル・サイエンス・テクノロジーとは協調関係にある。
- 子会社のテクノクラートは総じて技術レベルが低いため、イクバールとの提携が命綱となっている。
[編集] 用語
- コジマ粒子
- 国家解体戦争の7年前に発見された新物質。発見者の名前を取ってコジマ粒子と命名された。
- アクアビット及びオーメル・サイエンス・テクノロジーがこれを軍事技術へ応用する事に成功し、現在ではネクストをはじめとするテクノロジー(プライマルアーマー、コジマキャノン等)に応用されている。
- ただし、環境に対して非常に大きな悪影響を及ぼす汚染源としての性質をも持つ。このため、恒常的にコジマ粒子に晒されているリンクスは概して短命であるといわれる。
- コジマ技術
- コジマ粒子の特性を用いた技術、とりわけ軍事方面における先端技術を指す。プライマルアーマーやコジマキャノン、ネクスト用オーバードブーストなどがこれに該当する。
- 現在ではレイレナード、アクアビット、オーメル・サイエンス・テクノロジーの3社がこの分野における先端企業といわれる。
- 国家解体戦争
- 人口爆発による、食糧およびエネルギー資源の慢性的な不足などによって統治能力の低下した国家に対し、新しい秩序の構築を目指す巨大企業グループによって引き起こされた全面戦争。
- 企業側の一方的な奇襲によって始まった、人類史上に類を見ない大規模クーデターは、短期間の内に企業側の圧倒的な勝利によって決着した。
- コロニー
- 一種の特権階級にある企業関係者を除き、人口のほとんどが住む居住区。小都市国家級から、小さな村落まで、大小様々な規模なものが存在する。
- 市場経済の流れは、企業とコロニーの代表の間にのみ成立しているため、一般のコロニー居住者は、その外に置かれ、労働の対価として衣食住および安全を配給されている。
- ただし、食糧およびエネルギー資源の不足は全く解決しておらず、コロニー間の直接取引も公式には認められていないため、一部の例外を除き、生活は極めて貧しい。
- ネクスト
- ノーマルをベースに最新技術を惜しみなく投入したハイエンドタイプのAC。国家解体戦争で初めて実戦投入され、企業側の切り札となった。
- アクアビット社のコジマ技術、アスピナ機関のアレゴリーマニュピレイトシステム(AMS)など多くの先端技術を使用し、ノーマルとは隔世の戦闘能力を持つ。企業の持つ強大な権力の象徴でもあり、通常、コロニーあるいは武装勢力がネクストを有することはできない。その一例として、アナザーストーリーVol.4『熱砂の嵐』の主人公、シーモック・ドリはノーマルとネクストの能力差を、T-34でM1A2に挑むようなものと語っている。
- ノーマル
- 国家の統治能力減退に比例するように顕在化した、テロと暴動の脅威に対抗すべく開発された「圧倒的な火力、制圧力を実現する人型汎用兵器」。実質的に、既存作品におけるACは全てこちらに属すると言っていい。
- 国家解体戦争以前においては、戦場における最大の脅威となった兵器であったが、企業統治下の現在では、一部の最新型あるいは特化型を除いて、その戦闘能力・重要度は、たった数機のネクストに遠く及ばない。
- 一方で、企業軍隊の量的な中核という地位は健在であり、コロニーあるいは武装勢力のレベルでは、ノーマルが未だ最強の部類に属する兵器であることも、また事実である。
- なお、アナザーストーリーの記述によれば動力源は燃料電池である。
- リンクス
- ネクストタイプのACを駆る者の事。本作の主人公もその1人。
- ネクストの操縦システムであるAMSは搭乗者の能力を機体の戦闘能力にダイレクトに反映させる反面、特異な知的能力を要求する。これに適合できるか否かは、訓練などによって後天的に獲得することは極めて困難であり、生来の素養の有無が重要となる。
- 彼らはいわば一種の天才であり、所謂「軍人」ではなく、企業に囲われた被験者・被験体である場合も多い。
- なお、リンクスには、企業管理機構により管理ナンバーが振られているが、国家解体戦争当時からのリンクスはオリジナルと呼ばれる。ただし、リンクスの過半数はオリジナルであり、戦後新たにリンクスとなった者は少ない。
- また、リンクスのスペルはLinksであり、『機体と繋がる者』という意味合いを持たせていると思われるが、発音が山猫を意味するLynxと同じであるため、そちらで揶揄される事もある。
- レイヴン
- FF以外の既存作品においては主人公を含めた多くの傭兵がこの職業にあり、戦場の花形的立ち位置にあったが、本作ではレイヴンとはノーマルに搭乗する職業傭兵の総称として扱われている。
- 高い機体単位戦力と搭乗者の専門性を持ち、ある意味で、混沌とした世界を象徴する存在であったが、国家解体戦争の後、著しい不遇に喘いでおり、その多くは企業の犬となるか、端金でコロニーの自警を担うか、武装勢力に身を窶している。なお、主人公もフィオナ(オペレーター)に救われる前はレイヴンだった。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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初代 | アーマード・コア(初代) - プロジェクトファンタズマ(PP) - マスターオブアリーナ(MOA) |
2系 | アーマード・コア2(AC2) - アナザーエイジ(AA) |
3系 | アーマード・コア3(AC3) - サイレントライン(SL) |
N系 | ネクサス(NX) - ナインブレイカー(NB) - フォーミュラフロント(FF) - FF インターナショナル(FFI) - ラストレイヴン(LR) |
4系 | アーマード・コア4(AC4) |
モバイル | モバイルミッション(M1) - モバイル2(M2) - モバイルオンライン(MO) - MO サイバーアリーナ(MOCA) - モバイル3(M3) |
ゲーム以外の作品 | フェイク・イリュージョンズ - マスターオブアリーナ - AC4アナザーストーリー - FORT TOWER SONG(FTS) - TOWER CITY BLADE(TCB) |
関連項目 | アーマード・コア (架空の兵器)、大破壊 |