アーマード・コア (架空の兵器)
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アーマード・コア(Armored Core,AC)は、ゲーム『アーマード・コア』シリーズに登場する架空の機動兵器の名称。
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[編集] 概要
コアと呼ばれる胴部を中心に頭部・腕部・脚部など各種のパーツを組み合わせて制作される機動兵器である。
その成立の経緯は初代・2系、3・NX系、4系の各世界観ごとに異なるが、基本的にはACの前段階としてマッスル・トレーサー(Muscle Tracer,MT)と呼ばれる組み替え不能の人型作業機械および兵器が存在する。これを用途に応じて組み替え可能としたものとしてCMT(Cored MT)が登場し、それを兵器として発展させたものがACとされる。
初期のシリーズでは定義に不統一な部分が見られるが、AC2以降のシリーズではACは大企業の精鋭部隊や特殊部隊、レイヴンが運用する兵器として扱われているケースが多い。一方でMTは廉価な機体から特殊な機能を持った高級機までバリエーションに富んでいるが、プレイヤーが操縦することは出来ない。
ACの全高は、(AC3~ACLRの時期において)平均的な二脚型で高さ約10mである。これは壽屋から発売されている、クレスト白兵戦型(3のOPムービーに登場する機体)のガレージキット及びミラージュ後期型(NXのOPムービー主役機)のプラモデル(商品名"ミラージュ C01-GAEA")が72分の1スケールであり、そこから逆算したものが公式設定となったため。AC4の公式小説やFTSにおいても、10mという記述が見られる。
[編集] パーツ
ACのパーツは以下のようなものがある。シリーズが進むごとにパーツのカテゴリも増える傾向にあったが、AC4において全面的な見直しが図られた。
[編集] 必須パーツ
- コア
- ACの胴体に相当する中心パーツ。設定ではコクピットもこの中にあり、LRのムービーにおいて、ハッチは背中側にあることが確認されている(全てのコアがそうとは断言できない)。
- 各コアパーツはミサイル迎撃装置、オーバードブースト(OB、緊急用高出力ブースタ)機能(AC2~)、イクシードオービット(EO、分離式自律兵器)(AC3~)あるいはハンガーユニット(小型携行武器の格納庫)(ACNX~)の内最低1つを装備する。なおEOはOB及びハンガーユニットと併設されることは無いが、OBとハンガーユニットを併設するコアは存在する。
- AC4においてはOBが標準装備となっているのみならず、OBそれ自体が1つのパーツとして扱われている反面、EOは存在しない。また、AC4のOBはコジマ粒子を利用したものであるため、これを使用する場合、同じくコジマ粒子を使用するプライマルアーマーを一時的に減衰させるというデメリットを持つ。
- 頭部
- 外部の情報を分析する機能が集約されている他、機体の安定性も司る。レーダー機能を備えるもの、生体センサーなどの特殊機能が付加されているものもある。概ね、多機能であればあるほど装甲は薄く、消費エネルギー量も多くなる傾向にあるが、同時に、重装甲であればあるほど重量も増す傾向にある。
- コンピューターボイスはPSACにおいては"ROUGH"、"STANDARD"、"DETAILED"の3段階の区別のみだったが、2以降はこれに男声・女声の区別がされるようになった。2~SLまでは各パーツごとに男声・女声が設定されていたが、NXからは、ミラージュ製=男声・クレスト製=女声と固定されている。
- NX以降頭部コンピューターの機能が強化され、敵ACの詳細やそれへの対処法をプレイヤーに伝えるようになった。ただしこの機能は4では消滅し、オペレータが状況報告などを伝えるようになった。
- なお、頭部コンピューターのボイスを担当した声優としては、三石琴乃、田村ゆかり(初代AC~MOA)、堀川りょう(当時は堀川亮)、置鮎龍太郎、皆口裕子、山田美穂(AC2系)、堀内賢雄、千葉一伸、鷹森淑乃、平松晶子(AC3系)などが挙げられる(NX以降は詳細不明)。
- 腕部
- マニピュレーターを持ち、銃器やブレードを装備可能な通常腕と、腕自体が武器として機能する武器腕(以前は特殊腕という呼び方もなされた)の2種類がある。作品によっては、一部の通常腕が背部装備に干渉する事もある。
- なお武器腕において、AC3以降は攻撃型を2段階に分けることが出来る。ACNXから武器腕にも防御力が付加されるようになったが、それ以前では武器腕の防御力は対実弾・対エネルギー弾とも0だった。ただし、通常腕と比較しても低い数値に抑えられている。
- 脚部
- 人型二脚 - 人間型の脚部。大きさ別に軽量・中量・重量の各型に細分され、パーツ数は全脚部中で最多を誇る。肩部キャノンを使用する際は射撃体勢をとる必要がある。4では構えなくとも発射ができるが、大きな反動により機体が硬直する場合がある。立ち止まってから発射すれば構えモーションを取り安定した射撃が可能。
- 逆関節二脚 - 鳥類の足に似た形状の脚部。ジャンプ力と旋回性能、そしてEN効率に優れるが、積載量や重量の面では人型二脚に劣る。人型二脚同様、肩部キャノンは構えなければ発射できない。4での仕様も人型二脚と同様。
- 四脚 - AC2以前はホバーに似た移動方式でジャンプのみ可能だったが、AC3以降は四本の足を交互に移動させて歩くタイプに変更され、ブーストダッシュも可能になった。接地していれば移動中でも肩部キャノンを発射可能というメリットを持つ反面、エネルギー消費が激しく、一部の武器と併用できないというデメリットもある。
AC4ではブースト加速時にフロート型に可変する機能を有しており、フロート脚の特徴を吸収している。 - タンク(戦車型) - キャタピラ型とホバー型に細分される。移動中のみならず空中でも肩部キャノンを発射でき、特に積載量が多い(ただし、作品によっては一部パーツと干渉する事がある)。また、概して耐久性と安定性に優れる(着地時に硬直しない)。
構造上ジャンプが不可能だが、脚部に既に内蔵されているため、ブースタを装備する必要がない。4では格納装備に制限が無いという特徴もある。 - フロート(浮上型)- AC2で初登場、地表を浮遊するタイプの脚部。地表での高速移動が可能なほか、水上でも移動可能。ただし、長時間操作しなかった場合、待機状態となり海上でも落下する。二脚同様に肩部キャノンは構えなければ使用できない。水上で構え動作を取ろうとすると沈むので要注意。タンクと同じくジャンプが出来ないが、こちらもブースタを装備する必要がない。
AC4においては四脚の可変機構として統合されており、カテゴリからは消滅している。
- 以上のように大別される。装備可能な重量から実際の戦略・戦術に至るまでが脚部によって決定されるともいえる。
- ジェネレータ
- 機体のエネルギーを生み出すパーツ。パーツを駆動するためのエネルギーを発生させ、余剰分はコンデンサに蓄積されてブースタやエネルギー兵器に用いられる。
- ブースタ
- 主にコアの背面に設置され、ダッシュ(ACの場合は滑走)や短時間の飛行を行う事が出来るパーツ。タンクとフロートでは脚部に内蔵されているため、装備することが出来ない(そもそも装備する必要がない)。ただし、内蔵ブースタはNX以降に登場したチューニングができないという欠点がある。
- AC4ではメイン・サイド・バック・オーバードの四種に細分化されている。
- ラジエータ
- 機体を冷却するためのパーツ。AC自身(特にジェネレータ)から発せられる熱を放熱するほか、他からの熱攻撃に対する防御の意味合いもある。AC2にて機体温度の概念とともに登場。AC1、AC4系には登場せず。
- なお、一部シリーズでは能力はダミーであった。
- 武器を使用する際、ロックオンを可能にするパーツ。遠くまでロックオンすることが出来るものや、より多くの敵にロックオンできるもの、ロックオン距離は短いが範囲は広いもの等、目的に合わせた多種多様なものがある。NX以降、機体の耐ECM性能にも影響を及ぼすようになった。4ではレーダー機能も備える。
[編集] 任意のパーツ
- インサイド
- AC2系ではコア後方に、AC3以降では肩内部に装備される補助武装。デコイやECM発生装置など補助装備の他、地雷や浮遊機雷等を散布可能。AC1、AC4系には登場せず。AC4ではエクステンクションに肩武器として吸収されている。
- エクステンション
- 腕部の肩側面に装備される補助装置。補助ブースタ・連動ミサイル・迎撃ミサイル・追加装甲・エネルギーパック(通称電池)など。作品によっては緊急冷却装置やステルスユニットなども存在する。登場がAC2以降の為、AC1系には存在しない。AC4ではインサイド系の補助兵装を統合しており、名称も肩武器に変更されている。
- 右肩/左肩武装
- コアの腕部より後ろ側に装備される武装。ミサイル・ロケット・キャノン(各種重火器)・レーダーなど。実在する兵器の延長線上にある実弾系兵器の他、レーザーやプラズマを用いたエネルギー兵器もある。両肩を占有する大型の物もある。武装以外に補助ブースタも装備可能。
- 元来、一つのパーツを左右どちらにも装備できたが、ネクサス以降では、右(左)肩専用になった。AC4では背中武器に名称が変更されている。
- 右手武装
- 各種ライフル(アサルト/スナイパー/バースト等)やマシンガン、ショットガン、ハンドガン、バズーカなどの火器に加え、小型のグレネードランチャー、エネルギー兵器、射突ブレード(いわゆるパイルバンカー。ファンの間ではしばしばとっつきと呼称される)等もある。AC4では左右の区別が撤廃され、全て腕武器として統合されている。
- 左手武装
- AC1系では接近戦用のレーザーブレードのみであった。シリーズが進むにつれ、シールド(エネルギーシールドあるいは実体を持ったシールド)や左手専用の銃器が追加され、最終的に一部の右手用火器と同じものも装備できるようになっている。
- オプショナルパーツ
- コア内部のスロットに装着する補助パーツ。レーダーにミサイル表示機能を付加するもののような機能付加型、旋回性能を向上させるもののようなパラメータ向上型など非常に多彩な種類がある。他のパーツとは異なり、重量や消費エネルギーといった概念がなく、基本的にマイナスの効果を及ぼすことはない。AC4には登場しない。
- スタビライザー
- AC4にて初登場したカテゴリ。フレームパーツの特定部分に装着できる補助パーツ。装着した部位によって機体の重心バランスを変化させ、特定方向へのブースト速度や、旋回速度、機体の安定性に影響を及ぼす。また、機体にオリジナリティを持たせるための装飾品としての意味合いも強い。
[編集] プレイヤーが使用できないAC
シリーズ中にはプレイヤーが使用することの出来ない機体及びAC用パーツが存在する。
- ムラクモ製量産型AC
- 初代AC及びACPPに登場したムラクモ製ACはプレイヤーが使用することの出来ないCOM限定の機体である。機体の詳細は以下の通り。
- 有明
- ムラクモ製量産型ACの基本形。ACPPにてスミカが搭乗した"コーラルスター"もこの機種である。
- 陽炎
- 特殊任務用の高機動型。非正規作戦に投入される事も多く、全ての部品から出所を表すものは抹消されている。
- NXにて再登場を果たすが、肩部装甲など、一部のデザインが変更されている。
- 狭霧
- 背部にミサイルポッドを装備したタイプ。
- 不知火
- 肩部や脚部に追加装甲を施した重装甲、大出力タイプ。
- クローム高級量産型AC
- ACPPにてスティンガーが搭乗したヴィクセン及びそのベース機であるヴェノムは、プレイヤーが使用することが出来ない(そもそもヴェノムは設定のみの存在である)。ただし、NXでヴィクセン用のパーツがリメイクされ、そちらは使用可能。
- CHAOS
- CHAOS(Chrome Hyper Automatic Operation System)シリーズは初代ACにおいてクロームが開発した無人ACであるが、その形状はプレイヤーが使用可能なACのそれとは大きくかけ離れたものとなっている。
- ムラクモの高性能機に対抗するために開発された機体であり、無人機という機体特性上、パイロットの肉体的限界を考慮する必要がない事から、通常のACを上回る機動性能を有する。
- なお、CHAOSシリーズは『人間狩猟機』(Menschenjäger)という別名を持つ。
- ハリアー
- CHAOSシリーズの量産型。固定武装としてパルスライフルを腕部に内蔵している。また各接続部にミサイルポッド等の追加武装を施す事が可能である。
- ハンター
- CHAOSシリーズの上位機種。有人機における指揮官機的位置づけであり、ハンター1機でハリアーを10機前後を管制できる。基本構造は変わらないものの、固定武装がプラズマライフルに強化されている。
- I-C003-IN
- AC3SLに登場する無人の重量2脚型AC。サイレントラインに近づくものを無差別に攻撃するようプログラムされている。
- 頭部形状と配色がヴィクセンに似ていることと、名前の長さから、ファンの間ではデブヴィクセンと呼ばれることもある。
- RUSYANA
- ACNXにてキサラギが独自に開発した2脚型AC。コアパーツ"RAKAN"以外はプレイヤーが使用することは出来ない(頭部パーツのみバグで出現させることは出来るが、ミッションなどで使用することは不可能)。
- 腕部はパルスキャノンの武器腕であり、脚部は通常の人型2脚パーツとは異なり、フロート脚部のように浮遊して移動する機能を持つ(システム的にはドムのそれと類似している)。
- UNKNOWN(アーマード・コア型)
- ACNXに登場する無人の軽量2脚型AC。ナービスが発掘し、キサラギ内部の強硬派が起動させた新資源に関連する施設の破壊を請け負ったプレーヤーが戦うことになる。
- 登場時の印象的な台詞から、ファンの間では排除君と呼ばれている(デザイン段階ではガーディアンという名称が付けられていた模様)。
[編集] u-AC
u-AC(Unmanned type AC)とは、アーマード・コアフォーミュラフロントにて登場する無人型AC。
メカニカルバトルグランプリ「フォーミュラフロント」にて用いられるいわば競技用ACである。u-ACのみの概念として、AI(人工知能)の存在が挙げられる。ゲーム上では基本的なルーチンは固定されているが、プレイヤーは性格付けと「オペレーションチップ」という時間ごとの行動を指示するパーツとでカスタマイズすることができる。また、このシステムのため、頭部のパラメータに"AIキャパシティ"(AIのPERFORMANCEに割り振ることのできる最大値)が追加されている。反面、生体反応センサーやオートマップ機能、暗視スコープなど、他作品に登場するパラメータ(プレイヤーが直接操作する場合に役に立つ機能)が本作ではオミットされている。
[編集] ノーマルとネクスト
AC4においては従来と同系統のACをノーマルと位置付け、プレイヤー機を含めたごく少数のハイエンド機をネクストと呼称する。ネクストはプライマルアーマー(いわゆるバリア)やクィックブースト等によって裏打ちされた高い戦闘能力を誇るため、企業の権力の象徴としても扱われる。
ノーマルとネクストの相違点は以下の通り。
- 操縦系統
- ネクストは従来機とは異なり、AMS(Allegory-Manipulate-Systemの略)を採用している。これは搭乗者(リンクス)の脳と機体の統合制御体を直結させるもので、脳に電気信号を流すという性質上、かなりの負担を強いるものとなっている。そのためAMSの適性を有する者=リンクスたる資格を持つ者の数自体が少なく、一種の才能といっても良い状態となっている。ただし、これによってリンクスはノーマルと比較して極めて高い反応速度を得ることとなった。
- クィックブーストはネクストの桁外れのエネルギー供給とAMSによる高精度制御を利用し、前後左右への瞬間的な高速移動を可能とするものである。AC2~LRまでのエクステンションの追加ブースタ系をより発展させた物ということも出来る。
- なお、AMSはアスピナ機関によって開発された。
- コジマ技術の搭載
- 上記のプライマルアーマー、オーバードブーストはいずれもコジマ技術が応用されている。
- プライマルアーマー(PA)は機体周辺にコジマ粒子を安定還流させる事で一種のバリアとするものであり、小口径弾程度ならば無力化することが可能となっている。ただし貫通性の高い火器やレーザー系兵器に対しては効果が比較的薄い。
- オーバードブーストは2以降の全作品に登場しているが、ネクストのそれはコジマ技術を応用したという設定となっており、使用時にはOBに優先的にコジマ粒子が回されるため、PAが減衰していくという欠点を持つ。
- いずれにせよ、コジマ粒子の性質上、PA、OBはいずれも環境に対して悪影響を及ぼすというのが共通する欠点である。
ゲームシステム上はブレードを両腕に装備可能となった点や武装変更方式の変更、ロックオンシステムの変更などを主な変化としてあげることが出来る。また、PAによって高い防御力を持つ反面、一度PAを破られると急激に打たれ弱くなるのも本作の特徴として挙げられる。
[編集] 関連項目
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初代 | アーマード・コア(初代) - プロジェクトファンタズマ(PP) - マスターオブアリーナ(MOA) |
2系 | アーマード・コア2(AC2) - アナザーエイジ(AA) |
3系 | アーマード・コア3(AC3) - サイレントライン(SL) |
N系 | ネクサス(NX) - ナインブレイカー(NB) - フォーミュラフロント(FF) - FF インターナショナル(FFI) - ラストレイヴン(LR) |
4系 | アーマード・コア4(AC4) |
モバイル | モバイルミッション(M1) - モバイル2(M2) - モバイルオンライン(MO) - MO サイバーアリーナ(MOCA) - モバイル3(M3) |
ゲーム以外の作品 | フェイク・イリュージョンズ - マスターオブアリーナ - AC4アナザーストーリー - FORT TOWER SONG(FTS) - TOWER CITY BLADE(TCB) |
関連項目 | アーマード・コア (架空の兵器)、大破壊 |