アーミッシュ
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アーミッシュ(Amish)はアメリカ合衆国・ペンシルバニア州やオハイオ州に居住するドイツ系住民の一派で、ペンシルバニアダッチの、キリスト教の一派の再洗礼派に属しているメノナイト派(メノー派、メノナイト)の人々である。原郷はスイス。
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[編集] 概要
アーミッシュは電気を使用せず、現代の一般的な通信機器(電話等)も家庭内にはない。原則として、現代の技術による機器を生活に導入することを拒み、近代以前と同様の生活様式を営む。
服装はきわめて質素。子供は多少色のあるものを着るが、成人は決められた色のものしか着ない。洗濯物を見れば、その家の住人がアーミッシュかどうか分かる。

ペンシルバニア州のアーミッシュは、日常生活ではきわめて古い時代の技術しか使わない。このため自動車は運転できない(ただし旅行の際は自動車も飛行機も使用するようである)。商用電源は使用できないが、風車・水車によって蓄電池に充電した電気は利用できる。ペンシルバニア州では馬車にウィンカーをつけることが義務付けられているため、この方式で充電した鉛蓄電池を利用しているとされる。本段落が伝聞調になっているのは、アーミッシュがあまりその生活について語らないためである。写真撮影は宗教上の理由から拒否されることが多い。ただしこれらの宗教上の制限は、成人になるまでは猶予される。したがって、未成年ならば自動車運転免許を持つアーミッシュも存在する。成人になる際、アーミッシュであり続けることを拒否することもできるが、ほとんどのアーミッシュの新成人はそのままアーミッシュであり続けることを選択するといわれる。政治的には、「神が正しい人物を大統領に選ぶ」との信条から、積極的に有権者として関わることはなかった。しかし、2004年アメリカ合衆国大統領選挙では、激戦州となったペンシルバニア州やオハイオ州のアーミッシュに共和党が宗教的紐帯を根拠とし支持を広げたという。
専用の教会建物はなく、民家の家具を片付けて利用する。
喋る言葉「ペンシルベニア・ダッチ」は、ペンシルバニア風のドイツ語というわけではなく、ドイツ語のかなり古いかたちのものと言われる。ドイツ人がそれを聞いて今日理解できるものではない。スウェヴィッシュ、スイスのドイツ語圏で話されていた古語が元になっているといわれる。
その独特の生活様式は1985年のアメリカ映画『刑事ジョン・ブック/目撃者』で取り上げられた。ハリソン・フォード演じる刑事の主人公が、偶然殺人事件を目撃したアーミッシュの子供を守るため、アーミッシュの家庭に身を寄せるうちに、その母親と恋に落ちるという物語である。日本ではこの映画で初めてアーミッシュの文化を知る人が多い。しかし、必ずしもアーミッシュの人々の中ではこの映画は好意的に受け止められていないようであり、実際は共同体外部の異性と恋愛をすることは現在でもほとんどない。
- メノナイト
- メノー・シモンズ
- 屋根付きの馬車 大人にならないとこれは使えない。子供、青年には許されていない乗り物。
- 馬車(バギー) アーミッシュの唯一の交通手段。車の行き交う道をこれで走るため、交通事故も多い。
- アーミッシュでなくなった家族とは、たとえ親子でも互いの交流が疎遠になる。
[編集] アーミッシュを題材とする作品
[編集] 映画
- 『大富豪、大貧民』1997年/アメリカ
- 『刑事ジョン・ブック/目撃者』1985年/アメリカ
- 『ヴィレッジ』2004年/アメリカ
[編集] 漫画
- 『アメリカなんて大きらい』