イポタネス
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イポタネス(Ipotanes)はギリシア神話の半人半馬の種族である。サテュロスにも似ているが、こちらは半馬でなく半山羊である。
典型的なイポタネスは全体として人間に似ているが、臀部から脚部、尾、耳が馬のそれである。中には人間に類似した脚部を持つものもある(前脚がしばしば人間様に描かれた初期のケンタウロスと比較せよ)。
[編集] シレーノス
シレーニ(Sileni)はディオニュソスの従者であるイポタネスである。彼等は酔っぱらいであった。他のイポタヌスと違う点は、通常、禿げた肥満体で、薄い唇とずんぐりした鼻をしていることである。脚も人間のそれであった。後にsileniは複数形であることの意味を失い、もっぱら独りのイポタヌス、シレーノス(Silenus)を指すようになった。
シレーノスはローマ神話ではシルヴァヌスに対応する。彼はワインの神ディオニュソスの教師でありまた忠実な従者でもあった。大量のワインを飲み、いつも酔っており、サテュロスに支えられたりロバに載せられたりすることになる。プリュギアの王ミダスが酔いつぶれたシレーノスを家に連れ帰りもてなした時、ディオニュソスはそれをよしとして気前よく礼をはずんだ。
シレーノスは大変賢く、うまく捕まえて質問することができれば、人間に大事な秘密を教えてくれると考えられていた。シレーノスはローマ神話のシルヴァヌスと同一視されるが、後者の名前には「森の」という意味しかなく、エトルリアのSelvans由来である。