カリフォルニア・ゼファー
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カリフォルニア・ゼファー(California Zephyr)とは、シカゴ(イリノイ州)とサンフランシスコ(カリフォルニア州)を結ぶ長距離列車の名前。1948年に登場し、現在はアムトラックによって運行が行われている。ゼファーという名称は、当初の運行会社の1つであったシカゴ・バーリントン・クインシー鉄道の高速列車につけられていた呼称にちなんでいる。ゼファーとは「西風」という意味である。なお、シカゴ側の発着駅は、シカゴ・ユニオン駅である。また、サンフランシスコ側の正式な発着駅は、サンフランシスコ湾をはさんだサンフランシスコの対岸のオークランド市内にあるアムトラックのターミナル駅であり、サンフランシスコ市内との間には、アムトラックの専用バスが運行されている。
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[編集] 歴史
[編集] 登場の経緯
カリフォルニア・ゼファーは、シカゴとサンフランシスコ(正確には、サンフランシスコ湾をはさんでサンフランシスコの対岸にあるオークランド)を、バーリントン鉄道、デンバー・リオグランテウェスタン鉄道、ウエスタン・パシフィック鉄道を経由して結ぶ列車として1948年に登場した。
シカゴとサンフランシスコを結ぶ列車の歴史は、1869年のユニオン・パシフィック鉄道とセントラルパシフィック鉄道による大陸横断鉄道の開通により始まり、1890年代には、「オーバーランド・フライヤー」などの寝台車で組成された優等列車の運行もはじめられていた。デンバー市東部のロッキー山脈により、このルートは長らく2社の独占状態が続いたが、デンバー・リオグランテ鉄道が1930年代に最後の難関であったデンバー東部の山岳地帯の長大トンネル「モファット・トンネル」を開通させることで、競合する他社によるシカゴ-サンフランシスコ間の列車運行が可能になった。このルートは既存ルートが通らないコロラド州の大都市デンバーを通る事が有利な点であった。最初に運行された列車は「エキスポジション・フライヤー」と呼ばれる当時サンフランシスコで開かれていた万博輸送を目的とした列車で、大成功を収めた。これを引き継いで登場した列車がカリフォルニア・ゼファー号である。
カリフォルニアゼファー号は、既存のゼファー号と同様、バッド社製造のステンレス製車両を使用しており、風光明媚な路線を長時間走行することから展望ドーム車を備え、個室寝台の比率も高かった。車両の斬新さに加え、「ゼファレット」というガイドを添乗させた事が人気を高めた。
[編集] 廃止問題とアムトラックによる現行列車の登場
栄華を極めたカリフォルニア・ゼファー号であったが、鉄道全体の衰退に伴い苦境に立たされていった。 1960年代の半ば、運行会社の1つで、一番経営基盤の弱かったウエスタン・パシフィック鉄道が列車の廃止を提案、各社それぞれに思惑があり、また、廃止に関しては利用者の激しい反対に遭遇したが、列車は1970年代に廃止されてしまった。
名称は一旦消えたものの、この列車の後裔は数奇な運命をたどった。まず、デンバーリオグランテ鉄道部分に関しては、カリフォルニア・ゼファーの編成を用いた「デンバー・リオグランテ・ゼファー」として週3回の運行が継続された。また、アムトラックの誕生に伴い、今まで各社がばらばらに運行していたシカゴ-デンバー間の列車が1本に統一され、バーリントン鉄道経由のシカゴ-サンフランシスコ間の列車、「サンフランシスコ・ゼファー」が登場する。しかし、デンバーリオグランテ鉄道は独自の列車にこだわりつづけた為に、デンバー-サンフランシスコ間は、最初の大陸横断鉄道のルートであるユニオン・パシフィック鉄道とセントラル・パシフィック鉄道の線路を吸収したサザン・パシフィック鉄道経由という迂回を伴う変則的なルートを走行することとなった。デンバーリオグランテ鉄道が旅客列車運行をアムトラックに譲渡し、モファットトンネル経由の現在のカリフォルニア・ゼファーの運行が始まったのはしばらく後の事で、近年は、車両も総二階建てのスーパーライナーとなり名目を一新した。
[編集] 車両
[編集] 1949年登場当時の編成
- 荷物車
- 展望ドーム付座席車(リクライニングシート)
- 展望ドーム付座席車(リクライニングシート)
- 展望ドーム付座席車(リクライニングシート)
- 展望ドーム付きビュッフェ、ラウンジ車
- 寝台車(10ルーメット-6ダブルベッドルーム)
- 寝台車(10ルーメット-6ダブルベッドルーム)
- 食堂車(定員48人)
- 寝台車(16セクション)
- 寝台車(10ルーメット-6ダブルベッドルーム、ニューヨークへ直通)
- 展望ドーム付き展望車。ビュッフェ、ラウンジ付(1ドローイングルーム・3ダブルベッドルーム)
セクション:プルマン式開放寝台の事で、上段下段合わせて1セクション
[編集] 現在の編成
- スーパーライナースリーピングカー(二階部分にシャワー、トイレ付きのデラックスベッドルームとエコノミーベッドルーム、一階に家族用のファミリーベッドルームと身障者用のスペシャルベッドルームを備える)
- ラウンジ車
- 食堂車
- スーパーライナー座席車
- この他、乗務員用寝台車などを連結する。
- また、現在の牽引機関車は、ジェネラル・エレクトロニクス社(GE)の子会社であるジェネラル・エレクトリック・トランスポーテーション・システムズ社(GETS)製のAMD103型P40/42(通称:「ジェネシス」)ディーゼル機関車で、重連で全区間の牽引を担当している。
[編集] 外部リンク
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