グロブダー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『グロブダー』はナムコ(現・バンダイナムコゲームス)が1984年12月に発表したアーケードゲーム。製作スタッフは遠藤雅伸をはじめとする『ゼビウス』や『ドルアーガの塔』のチームである。『グロブダー』発表当時のパソコンであるNECのPC-6001mkIIやPC-8001mkIISRなどにも移植された。現在では、プレイステーションとプレイステーション・ポータブルにも移植されている。(いずれもナムコミュージアム VOL.2に収録)
目次 |
[編集] ゲームの内容
フィールド内にいる敵戦車・砲台をレーザー砲とエネルギーシールドを持つ自機戦車「グロブダー」で撃破する戦闘競技「バトリング」を題材としている。各ステージは「BATTLING(バトリング)」と呼ばれるもので区分され、BATTLING1〜BATTLING99までが存在している。各BATTLINGではどの種類の敵戦車・砲台が最初どの位置に何台出るか、障害物の数と設置位置がどのようになっているかが全て決められており、それぞれで難易度が異なるが、中でもBATTLING99のクリアは最も難しいと言われる。プレイヤーはゲーム開始時、特に何もしなければBATTLING1からのスタートとなるが、操作により自分の好きなBATTLINGからスタートすることも出来る(例えば、最初からBATTLING99を選択、ということも可能)。BATTLINGセレクトをした場合、最初のBATTLINGをクリアすると、そこまでのバトリング数×5130点のボーナスポイントが加算される。
基本的には、フィールド内の敵を全て一掃すればクリアである。但し、敵の大型砲台であるフォートレスは破壊しなくてもクリアとなる。このようにして次々と各BATTLINGをクリアしていく。最後、BATTLING99をクリアすればメッセージが表示されて強制終了となり、自機のストック1機につき100万点のボーナスポイントが加算される。
テクニックとしては様々なものがあるが、高得点をマークする為のものとして「誘爆」で敵を破壊することがある。敵をある程度一ヶ所に集まるよううまく誘導し、1機を破壊した時に出来る爆発に他の敵も次々と誘爆させるようにすれば、普通に攻撃して破壊するよりも次々と高いスコアが出せるようになる。
[編集] 登場キャラ
[編集] 自機
- グロブダー
- プレイヤーが操作する戦車。レーザー砲と攻撃防御用のシールド発生機能を持つ。ゲーム画面にはグロブダーのエネルギー・ゲージが表示されており、レーザー砲・シールドを使用することにより減少するが、特にシールドを使用した場合のエネルギー消費は大きい。減少したエネルギーは、レーザー砲・シールドを使用しなければ自然に回復する(動いている時より、止まっている時の方が回復しやすい)。エネルギー・ゲージは青・黄・赤の3つのゾーンがあり、青は「ビーム砲・誘爆を防げる」、黄は「ビーム砲のみを防げる」、赤は「シールドが発生しない」をそれぞれ示している。特に赤のゾーンに入って殆どエネルギーが無くなるとアラーム音が発生し、シールドの使用はおろかビーム砲もろくに発射出来なくなるので注意が必要である。
[編集] 敵キャラ
- エネミータンク
- シールドを張る機能を有しない敵戦車。ビーム砲で攻撃してくる。
- オレンジハイパータンク
- ある程度シールドを張る機能を有する敵戦車。虹色のビーム砲で攻撃してくる。
- イエローハイパータンク
- オレンジハイパータンクよりさらに長い間シールドを張る機能を有する敵戦車。虹色のビーム砲で攻撃してくる。
- グリーンフロッサー
- 機動性を有する砲台。緩やかな弧を描く誘導弾を発射してくる。自機「グロブダー」の放つビーム砲に反応し、俊敏に攻撃をかわそうとする。シールドを張る機能は無い。
- ブラウンフロッサー
- グリーンフロッサーよりもさらに多くの誘導弾を発射し、動きも俊敏になったもの。シールドを張る機能は無い。
- フォートレス
- 敵の大型砲台。四方八方に多量のビーム弾を発射する。時々、大型の誘導ビーム弾を放つこともある。動きは敵キャラの中では一番遅いが、フォートレスは特定の部位にグロブダーのビーム砲をある程度撃ち込まなければ破壊することが出来ない。
[編集] ゲームの特徴
アーケードゲーム用ハードウェアがある程度高度化し、ハードウェアスクロールを搭載するなど、画面がスクロールするのが当たり前な時代に、あえて見下ろしの固定画面という画面上でプレイするスタイルを取った作品で、ゲーム内容自体はシューティングゲームに分類されるが
- 敵(または自機)を破壊すると円形に爆風が起こり、爆発圏内にいる自機や敵がダメージを受ける
- シールドの無い状態の敵や自機はビーム直撃や爆発によって一瞬で破壊されるが、シールドを使えば、エネルギーの続く間は持ち堪えられる
- 破壊した敵は瓦礫となって残り、その上では自機・敵の移動速度が低下する
- 移動速度とシールドとビームは、画面下のエネルギーゲージで効果が変わり、自動的に回復するものの、時間と共に回復が遅くなり、あまり長時間粘ると、シールドは張れず、レーザーもすぐ出力が落ちる
- 各面毎に巧みに配置された障害物があり、これを盾に戦う事も出来るが、逆に遠回りを強いられる事もある
など、様々な戦略性が要求され、中には自爆する事で敵を巻き込んでクリアを目指すプレイヤーまでいた。
大ヒットこそしなかったが、一方でマニアックな戦略性がリピーターを呼び、根強い人気の生む安定した売上で、長らくゲームセンター内の一角に置かれる事となった。
[編集] その他、エピソードなど
- 「グロブダー」という名称は黒豚から来ている。
- ちなみに「グロブダー」とは、同社の大ヒットした縦スクロール型のシューティングゲームである『ゼビウス』で、攻撃こそして来ないが、器用に地上攻撃を交わす同名輸送車に由来。「グロブダーに何かさせることは出来ないか」というのが発想であるとの噂もある。
- 遠藤ら開発チームが「低予算短時間で製作する」ことを目標にし3ヶ月で製作した(らしい)。
- プレイヤーは好きなレベルから始める事が出来たが、戦術を誤れば、集中砲火を浴びたり、あっという間に敵に囲まれて誘爆を食らうなど、あまりの難易度の高さに、ゲームプレイ開始後1分以内に全滅するといった、当時のアーケードゲームとしては破格の「即死度」に、良心的なゲームセンターでは1コイン2プレイという設定を行って、客にサービスした。
- 家庭用ゲーム機には、クラシックコレクションとしてプレイステーション等に移植されるまで長らく移植がなかったが、当時のパソコンにはいくつか移植されていた。PC-6001mkII版は、横長、荒いドット、少ない色数と見た目には無茶な移植ながら、グロブダーとオレンジハイパータンクによる2P対戦モードが追加されるなどしていた。
- BATTLING開始時に発せられる音声 "Get Ready!" の声の主は、本ゲームを開発した遠藤雅伸である。
- プレイステーション版ソフト「ナムコミュージアム」シリーズのディレクターは、1コインでの全99面クリア達成者。