ゲンジボタル
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ゲンジボタル | ||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Luciola cruciata | ||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||
Japanese firefly |
ゲンジボタル(源氏蛍・学名Luciola cruciata)は、コウチュウ目(鞘翅目)・ホタル科に分類されるホタルの一種。日本で「ホタル」といえばこの種類を指すことが多く、もっとも親しまれているホタルである。
目次 |
[編集] 体の構造
成虫の体長は15mm前後で、日本産ホタル類の中では大型の種類である。複眼が丸くて大きい。体色は黒色だが、前胸部の左右がピンク色で、中央に十字架形の黒い模様があり、学名のcruciataはここに由来する。また、尾部には淡い黄緑色の発光器官がある。オスとメスを比較すると、メスのほうが体が大きい。また、オスは第6腹節と第7腹節が発光するが、メスは第6腹節だけが発光する。
[編集] 分布
本州、四国、九州と周囲の島に分布し、水がきれいな川に生息する。地方によって差があるが、成虫は5月から6月にかけて発生する。オスは川の上空を飛び回りながら、メスは川辺の草の上などに止まって発光する。また、発光のパターンは西日本と東日本でちがい、西日本のほうが発光のテンポが速い。これらの分布は、富士山が境となっており、高山の気候に耐えられた(山を越えられた)個体群が関東へ生活域を広げたと考えられている。
[編集] 由来
名前は、腹部が発光することを、紫式部の源氏物語の主役、光源氏にかけた事に由来し、清和源氏とは関係は無い。また、後に違う種類のホタルに、源氏と対比するとして、「ヘイケボタル」と名づけられた。
[編集] 生活環
成虫は夜に活動するが、発光によって他の個体と通信をはかり、出会ったオスとメスは交尾をおこなう。交尾を終えたメスは川岸の木や石に生えたコケの中に産卵する。
卵ははじめ黄白色だが、やがて黒ずんでくる。卵の中で発生が進むと、卵の中で幼虫が発光を始める。夏になると幼虫が孵化する。
幼虫は灰褐色のイモムシのような外見で、親とは似つかないが、すでに尾部に発光器官を備えている。幼虫はすぐに川の中へ入り、清流の流れのゆるい所でカワニナを捕食しながら成長する。カワニナを発見すると軟体部にかみつき、消化液を分泌して肉を溶かしながら食べてしまう。秋、冬を経て翌年の春になる頃には、幼虫は体長2-3cmほどに成長し、成虫よりも大きくなる。
春になって充分に成長した幼虫は雨の日の夜に川岸に上陸する。川岸のやわらかい土にもぐりこみ、周囲の泥を固めて繭を作り、その中で蛹になる。蛹ははじめ黄白色だが、やがて皮膚越しに成虫の黒い体が浮かび上がるようになり、発光もはじまる。
成虫は5月から6月にかけて発生する。夜に活動するが、昼は深い草陰で休んでいる。成虫になると水分を摂取するのみで、活動や産卵は幼虫時代に摂った栄養分でおこなう。成虫の期間は2-3週間ほどしかない。
[編集] 保護を巡って
夜に川辺で発光するゲンジボタルは初夏の風物詩として人気が高く、各地に蛍の名所と言われる場所があるが、現在では生息域が各地で狭まっている。もちろん川の汚染により幼虫やカワニナが生存できなくなることが主な要因の一つだが、他にも川岸を護岸で覆ってしまうと幼虫が蛹になれないし、成虫が活動する夜に車のライトや外灯を点灯させるとホタルの活動の妨げとなる。
そのため、都会で蛍を放して楽しんだり、地方でも蛍の人工飼育をおこない、発生の少なくなった名所に放すというようなことが行われたこともあった。そのため、人工飼育の技術は現在ではかなり確立されたものになっている。
現在では、自然保護の思想の普及もあって、河川の浄化や自然の回復を目指す中で、ゲンジボタルの保護や定着の試みが日本各地で行われている。しかし、前述のように、水質の浄化だけではなく、親が産卵し、幼虫が蛹化のために上陸する岸辺、休息するための河川周辺の環境までの整備が不可欠である。また、餌となるカワニナはもちろん、各成長段階に対応した環境が必要である。
しかしながら、蛍は成虫の期間が短く、その生活範囲も狭いので、水中と岸辺までの整備ができればホタルの定着はそれほど困難ではない。むしろ、ホタルが定着したことで河川を含む環境が良くなったと考えるのは、必ずしも十分ではないとも言える。たとえばトンボ類であれば、成虫が河川周辺の広い範囲を飛び回り、そこで餌を食べ、種によっては縄張りを作るなど様々な行動をする必要があるため、はるかに広い範囲の自然環境を必要とする。
ただし、実際にはホタルの定着まででもなかなか困難であり、人工飼育による放流を継続する場合や、カワニナの放流を続ける所なども散見される。また、これらに関わって、問題や疑問を指摘する向きもある。ゲンジボタルそのものの飼育による家畜化や、異なる地域のものの放流による遺伝子汚染が懸念される。また、餌となるカワニナの依頼を受けた業者が、琵琶湖産のものを用いる話をよく聞くが、前者同様に忌々しき事態である。両者とも早急に改善される事が、強く望まれる。
[編集] 外部リンク
- 東京にそだつホタル - ホタルの生態と生息環境の詳細な解説
- ホタル百科事典
- ホタルと里山の写真集 - ゲンジボタルの生態写真
- 日本ホタルの会