コカ
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コカノキ | ||||||||||||
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分類 | ||||||||||||
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学名 | ||||||||||||
Erythroxylon coca Lam. (1786) |
コカあるいはコカノキ(Erythroxylon coca Lam.)は、コカノキ科コカ属の常緑低木樹。南アメリカ原産。コカイン(局所麻酔薬、麻薬)の原料である。また一部の国では葉をお茶として飲用する。
コカならびにその薬効成分であるコカインには、中枢神経を刺激して精神を興奮させる作用がある。このことによって精神的な疲労を回復させる反面、精神毒性を示し、幻覚や妄想を生じたり攻撃性が増したりする。また薬物依存を形成して常習化することから、多くの国で麻薬として扱われ、使用・所持・販売が規制されている。日本でも、コカノキ、コカの葉、コカインはすべて麻薬に定められ、栽培も持ち込みも禁止されている。
一方、南米(特にペルー・ボリビア)では、コカの葉は日常一般的にお茶として飲まれており、コカ茶と呼ばれる。ボリビアなどではハーブティー全般をマテと呼ぶので、コカ茶は「マテ・デ・コカ」(mate de coca)と呼ばれている。
一般には、コカの葉を干したもの数枚〜数十枚に熱いお湯を注ぎ、しばらく待ってから飲む。砂糖を入れて飲むことも多い。きわめて日常的な飲み物で、ティーバッグも売られている。カモミール(現地語ではマンサニーリャ : manzanilla)と混合したティーバッグなども売られており、愛飲する人が多い。
コカの成分による覚醒作用には「空腹を忘れさせる」という効果も含まれるため、コカ茶は食前よりも食後に飲まれることが多い。ボリビアのラパス市は標高が4000m近くあり、旅行者などは高山病に罹りやすいが、コカ茶を飲むことによって高山病の症状(頭痛、内臓の不快感など)が緩和され楽になる。
また、コカ茶を飲用する習慣のある地域ではコカの葉を直接口に入れて噛む人も多い。コカの成分による覚醒作用によって「疲労感を薄れさせる」「空腹感を薄れさせる」「眠気を忘れさせる」などという効果が得られるため、ボリビアでは鉱山労働者などの重労働者がコカの葉を噛みながら仕事をする習慣がある。朝、入坑するときに頬いっぱいにコカの葉を詰め込み、そのエキスを飲むことで疲労や空腹を癒しながら夕方まで(昼食もとらずに)働き続けるのである。
初期のコカ・コーラには、その名前の由来のコカの麻薬成分が入っていたが、現在は入っていない。
- Turner C. E., Elsohly M. A., Hanuš L., Elsohly H. N. Isolation of dihydrocuscohygrine from Peruvian coca leaves. Phytochemistry 20 (6), 1403-1405 (1981)