カモミール
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カモミール | ||||||||||||||||
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分類(クロンキスト体系) | ||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||
Matricaria recutita L. |
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和名 | ||||||||||||||||
カミツレ | ||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||
German chamomile |
カモミール(英語:chamomille, 学名 Matricaria recutita、シノニム M. chamomille)は、キク科の耐寒性一年草。英語の発音はカモマイル。 和名のカミツレはオランダ語のカミッレ(Kamille)からで、旧仮名遣いでは促音の「っ」を大きな「つ」で書いていたためにこのように訛った物と思われる。別名カミルレ。属名の「マトリカリア」は「子宮」を意味し、婦人病の薬として用いられていたことに由来する。「カモミール」の語源はギリシャ語で「大地のリンゴ」を意味する「chamaemellon」で、これは花にリンゴの果実に似た匂いがあるためである。
後述するように、カモミールの類似植物がいくつかあり、この種に特定するときはジャーマン・カモミール(German chamomile)という。
目次 |
[編集] 歴史
今から4千年以上前のバビロニアですでに薬草として用いられていたと言われ、ヨーロッパで最も歴史のある民間薬とされている。日本には19世紀の初めにオランダから渡来し、その後鳥取や岡山などで栽培が始められた。日本薬局方にもカミツレ煎として登録されている。
[編集] 性状
ヨーロッパから西アジアにかけて分布し、草丈60cmくらいになる。葉は羽状複葉で、春先に、中心の管状花が黄色で、舌状花が白い直径3cmくらいの頭花を多数咲かせる。全草に特有の香りがあり、特に花の香りが強い。
[編集] 利用法
かつては薬草として用いられ、健胃剤・発汗剤・消炎剤・婦人病の薬などに用いられていた。現在は、安眠の薬と言われ、乾燥した花にお湯を注ぎ、降り出したものを飲むと、リラックスしてよく眠れると言われている。カモミール・ティーとしてティーバッグも市販されている。
[編集] カミツレの仲間
カモミールの近縁種がいくつかある。それらについて説明する。
- イヌカミツレ
- 英名scentless chamomile, 学名はM. inodora。「香りがない」という意味の種名のとおりほとんど香りがなく、ハーブとしての価値はないが、園芸種は白花の八重咲きで花が美しいため、観賞用に栽培されている。
- ローマンカモミール
- 学名Anthemis nobilis。ローマカミツレ属の多年草。ジャーマンカモミールと同様に、花をハーブとして用いる。
なお、ヨモギギク属のナツシロギク(Tanacetum parthenium)はかつてカミツレ属(マトリカリア属)に分類されていたため、園芸上マトリカリアと呼ばれている。