ザ★アニメージ
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ザ★アニメージとは、アリイ(有井製作所、現・マイクロエース)が1980年から発売していたオリジナルSFロボットプラモデルのシリーズ。『超銀河伝説バイソン』という「架空のアニメ」のキャラクターモデルである。
なお、本シリーズに於ける定冠詞「The」の表記は、「アニメージ」という先頭が母音の単語の前に来るにもかかわらず、「ジ」でなく「ザ」である。
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[編集] 概要
1980年代初頭にアニメ『機動戦士ガンダム』のプラモデルによるガンプラブームが社会現象にまでなったために各模型メーカーはビジネスチャンスとしてSFアニメプラモデルに参入した。それまでロボットのプラモデルは小学校低学年をターゲットにしたイマイのロボダッチ、アオシマの合体シリーズが主であり、初期ガンプラのような比較的リアルなプロポーションの商品は少なかった。
本シリーズはガンプラブームの真っ只中で企画され発売されたシリーズであり、品薄になったガンプラの代わりに、あるいは子供に頼まれたものと間違って購入する大人に売れた。これ以前にも、スーパーロボットブームの当時に発売された「合体ロボシリーズ」の金型を流用し、ガンプラ風の箱絵と名称を付けた「太陽系戦隊ガルダン」シリーズがあったが、これに続く「ザ・アニメージ」シリーズのロボットは新たに金型が起こされている。(ただし、同シリーズの基地など過去のキットの金型流用もあった。)
今でこそデザインや可動など比べるべくもないパチもの商品の代名詞である。しかし、当時のガンダム1/100プラモや1/144ザクのプラモが足首が動かなかったのに対し、全シリーズ1/76というビッグスケールのうえ足首や太ももの可動範囲は当時のガンプラを上回っていた。また、800円の装甲バトルスーツシリーズにはヘタり防止用パーツが封入されていた。当時のキャラクタープラモは可動部を動かしているとプラスチックが削れて関節がポーズを保持できなくなる(ヘタる)欠点があり、これを関節軸を歯車状にしてその歯に噛むストッパーパーツを付加する事で解決したものである。後にポリキャップによって解消されるこの問題をガンプラに先駆けて解消していたのが本シリーズであった。
一方、キットに封入されたオリジナルコミックの世界観はあきらかにスターウォーズ、およびガンダムを意識したものではあるが、今もカルトな人気がある。初期のコミックは代々木アニメイション(後の代々木アニメーション学院)の生徒によって描かれたとされている。また、当時の雑誌巻末の広告では代アニによる本作のTVシリーズアニメ化と、セルワークのための下請け募集が行われていたが、数年にわたる異常な長さの放映予定など、非現実的な記述が目立つ物であった。これとは別に、キットにも模型用塗料で彩色するよう指示された小さなセル画が含まれていた。
後継シリーズとして、太陽の牙ダグラムなどの路線を模倣した「ザ★アニメージII」も存在する。
[編集] 作品世界
西暦2300年、ギド帝国によって支配された地球が舞台。ピラト提督の宇宙制覇の野望をとめるべく、カーネル博士は地球を脱出、惑星Z(ゼット)の巨大スペースドームで、3体のバトル・スーツを作り上げる。しかしピラト提督の監視は厳しくカーネル博士の拠点は発見されギド帝国のエース、ベン・レイコック率いるバトル・スーツ部隊が襲撃を開始する。劣勢にたたされる反帝国軍。しかしその時謎のバトル・スーツが現れ帝国軍を退けた。それはリョウ・シサムの操るバトル・スーツ、バイソンの活躍のおかげであった。
[編集] 主要登場人物
- リョウ・シサム
- 主人公。バイソンのクルー。経歴不明の少年。反帝国組織のピンチにどこからともなく現れバイソンで敵を倒した。その後何事もなかったかのように反帝国軍のエースにおさまる。ケイと両想い。
- ハン・ライル
- 惑星Zのスペースドームに集った反帝国の有志の1人。バトル・スーツ、カムイのクルー。なかなかの腕のパイロット。
- ジョナサン(ジョー)
- バトル・スーツ、ソムロのクルー。ひねた性格をしているが腕は確か。
- ミッキー
- バトル・スーツ、クロノスのクルー。明るい性格のムードメーカー。
- ケイ・モウル
- 反帝国組織の一員だが、何をしているかよくわからないヒロイン。バトル・スーツには乗っていない。
- カーネル博士
- 反帝国組織のリーダーでバトル・スーツの開発者。しかしバイソンは開発していない。帝国軍の宇宙空母コズモービルの襲撃に対しビーム砲基地で攻撃、死亡する。
- カイト
- ピーター
- 反帝国組織のクルー。コズモービルの襲撃で死亡?
- ピラト提督
- ギド帝国のトップ。青白い肌をした男性。
- ベン・レイコック
- ギド帝国軍のエース。なぜかツルの無いサングラスをかけている。
[編集] 商品ラインナップ
各機体にスーパーリアルタイプという成型色換えの商品あり
[編集] 反帝国軍
- 装甲バトルスーツ バイソン
- 1/76というスケールで1/100ガンダムと同等のサイズ。当時の価格で800円。胸に黄色いV字モールドを持ち、専用盾とライフルを装備。背中のランドセルは中空でサーベルを斜めに刺すことができる(1/100ガンダムも同じギミック)。顔はタレ目でV字アンテナの無いガンダムと言ったデザイン。カーネル博士が作っていないバトルスーツ。付属コミックでは初登場で帝国軍クルーが「お前はバイソン!」と叫んでいることから、有名なバトルスーツらしい。
- 装甲バトルスーツ カムイ
- カーネル博士製作のバトルスーツ。専用盾と大型の青龍刀のような剣が特徴。バイザー風の頭部センサーにマジンガーのようなスリットのある口を持つ。
- 量産型バトルスーツ ソムロ
- 額にV字アンテナを持ち盾も覗き穴のある六角形という非常にガンダムに似たバトルスーツ。
- 量産型バトルスーツ ベンダー
- ひし形の盾を持ち、シンプルなデザインの頭部を持つバトルスーツ。
- 量産型バトルスーツ モック
- 機動隊の盾のような四角い盾を持ち後頭部に2本のアンテナを持つバトルスーツ。
- 量産型バトルスーツ クロノス
- 赤い機体でとげ付き棍棒が武器のバトルスーツ。
[編集] ギド帝国軍
- 装甲バトルスーツ ザリグ
- 赤い機体で丸い盾、鉄球付きトマホークを持つ。股関節が横におおきく広がるなど、模型としての出来は当時のガンプラよりも良い。帝国軍バトルスーツはバイソンと同じ角型の足に上から曲面デザインのアーマーを追加して外観を変化させている。
- 装甲バトルスーツ ガスパル
- 複眼のような大型センサーと魚のヒレのような頭頂部のフィンが特徴のベン・レイコック専用機。鎖鎌と専用盾を装備する。
- 量産型バトルスーツ ブッダ
- 2本ヅノで一つ目という怪物的なデザイン。専用盾とトマホークで武装している。
- 量産型バトルスーツ ゲッツ
- 両肩にスパイク付きアーマーを装備し、口もとに動力パイプ、頭部センサーは凸という字のような形のバトルスーツ。
- 量産型バトルスーツ スカラ
- 追加アーマーパーツが貧弱でシルエットがあまり変わっていないバトルスーツ。ゲッターポセイドンのような顔と二つのとげ付き鉄球のついた棍棒が特徴。
- 量産型バトルスーツ ボルム
- 正六角形の盾とショットガンを装備したバトルスーツ。悪役的なとげとげパーツが各所に追加されている。