シアン化カリウム
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シアン化カリウム | |
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IUPAC名 | シアン化カリウム |
別名 | 青酸カリ |
組成式 | KCN |
式量 | 65.12 g/mol |
形状 | 白色結晶 |
結晶構造 | |
CAS登録番号 | 151-50-8 |
密度と相 | 1.52 g/cm3, 固体 |
水への溶解度 | g/100 mL ( ℃) |
融点 | 634 ℃ |
沸点 | 1625 ℃ |
出典 | ICSC |
シアン化カリウム(シアンかカリウム)は、化学式 KCN で表される白色の粉末状結晶である。俗に青酸カリ(せいさんかり)、青化カリとも呼ばれる。シアン化カリウム自体は無臭だが、摂取し体内の酸と反応するとアーモンド臭を発する。ここでいうアーモンド臭とは、収穫前のアーモンドの臭いであり、製菓に用いるアーモンドエッセンスの甘い香りと異なり、甘酸っぱい香りである。
カリウムと炭素、窒素の化合物で、炭素と窒素は三重結合を形成している。人体に有害な毒物で、推定による経口最低致死量は 200 mg(参考: ラット経口 LD50 5 mg/kg)。また、皮膚から吸収することによっても中毒を起こす。これは、シアン化カリウムは水溶液中で電離してカリウムイオンとシアン化物イオンとなるが、このシアン化物イオンは一酸化炭素と同様にヘム鉄に配位結合して酸素との結合を阻害することにより、呼吸による酸素の供給ができなくなるためである。また、シトクロムオキシダーゼの鉄と結びつくという説もある。
毒物及び劇物取締法で毒物に指定されている。ミステリー小説に関連する書籍などでは、経口摂取でなければ毒性はないとしているものがあるが、実際には経口・注射の両方で同程度の致死量である。
空気中では二酸化炭素と反応し、炭酸カリウムに変化する。 特に日光に当たる状態では反応が進み、長期間空気中に置いておくと毒性を失う。 そのため保存する時には空気に触れないように、日光に当たらないように保存する必要がある。
歴史上、青酸カリによる毒殺の事例は多数あったが、保存法を知らないために毒性を失った物を使用したことによる毒殺未遂もそれ以上に発生している。 有名な事例としては、ラスプーチンが大量の青酸カリを盛られたにも関わらず平然としていたというものがある。
シアン化ナトリウムと同じく、金、銀などの塩と水に可溶な錯塩を形成する性質をもつ。これを利用して、金、銀類の抽出や鍍金に利用される。 この反応のため、銀の食器に入れたスープや酒に毒を盛ると食器表面が曇るので毒が入っていることを見抜けるといわれている。