スケープゴート
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スケープゴート(scapegoat)は、「身代わり」などの意味合いを持つ用語。「贖罪の山羊」等と訳される。
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[編集] 定義
原義としてはヘブライ聖書において、贖罪の日に人々の苦難や行ってきた罪を負わせて荒野に放した山羊を指した。現在の意味はこのやや宗教的な意味合いから転じて、不満や憎悪、責任を直接的原因となるもの及び人に向けるのではなく、他の対象に転嫁する事で、それらの解消や収拾を図るといった場合のその不満、憎悪、責任を転嫁された対象を指す。簡単な使われ方として、事態を取りまとめるために無実の罪を着せられた「身代わり」や、無実の罪が晴れた場合の「冤罪」などが存在する。
政治の一つの手法として使われる意味合いとしては、方針や主義に不利益とされる小規模な集団や社会的に弱い立場の人間をスケープゴートとして排除するなどして、社会的な支持や統合を目的とするといったものもある。一つの例として、第二次世界大戦中のナチスが行ったホロコーストは、ユダヤ人をスケープゴートの対象としたものである事が挙げられる。
心理学の一つの用語としても存在する。特に精神分析学や社会心理学において、人は無意識のうちに、不満や不快を覚えると、そうした問題を他人のせいにする。この概念は特定の集団において起き得る事であり、そうした不快感の原因を押し付けられたり被けられたりした個人は、その特定の集団内においてスケープゴートとなるのである。
[編集] 関連項目
[編集] 関連書籍
- 後藤 明生 「スケープゴート」 1990年 ISBN 4537049960
- カミ タカシ 「スケープゴートの告白 アルファドラシリーズ (71)」 1997年 ISBN 4797404051
- 菊田 良治 「粉飾決算・取締役スケープゴート氏の悲しい体験」 1999年 ISBN 4822241432
- ボリア サックス 「ナチスと動物―ペット・スケープゴート・ホロコースト」 2002年 ISBN 4791759591