スズキ・チョイノリ
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チョイノリはスズキが、2003年1月22日に発売した原付スクーター。
コンセプトは「ちょい乗り」であり、通勤通学の足として、目的を近距離の移動だけに絞り軽量簡素化した他、国内生産でどこまで安くできるかが課題になっており、各部品のコンパクト化や、新開発エンジン・新設計フレームの採用、樹脂部品の集約等により従来車との比較で約4割の軽量化を実現した他、部品点数を約3割削減、ボルト・ナット類の締め付け箇所を約5割削減するなど設計・生産段階での合理化を追求した。その結果、最廉価モデルで59800円(税抜定価)という中国製原付スクーターを下回る価格を実現した。
エンジンは49cc、2psで、飛沫潤滑の4サイクルOHVを採用している。リアサスペンションはリジッド。前照灯はロービーム専用、最廉価モデルはキックスタータのみ搭載。チョークは手動、燃料計や警告灯もなく、燃料切れには燃料コックのリザーブポジションで対応した(もっとも現在でも原付二種以上の自動二輪車では燃料計のない車種、手動チョークの車種はよく見られる)。
企画段階での市場調査において、原付ユーザーの平均的な一回の移動距離が2kmに満たないことが判明したことが企画の出発点になっている。既存の50ccスクーターから装備を削ぎ落としていくのではなく、必要最低限のものだけを積み重ねていくことが開発思想であった。
当初はその低価格で注目されたが、次第にユーザーの求める性能との差が明らかになり、販売台数が振るわなくなってきたことから、後に外装を取り外したカスタム仕様の「チョイノリSS」が追加発売され、再び注目を集めることになった。
2005年には台湾でも生産と販売が開始された。2006年に台湾限定でキティちゃん仕様が発売された。
フキ・プランニングのモペットを除くと、国産車としては最低のスペックを誇る。そのためオートバイ雑誌、電子掲示板等では一種のお楽しみ企画として、チョイノリによる遠距離ツーリングの話題がよく出る。
そのなかでももっとも有名なものが、下記の2003年チョイノリの旅であろう。20-30km圏内での買い物や通勤目的として開発されたチョイノリで、東京から九州までを踏破しようという、一種無謀とも言える旅だった。「開発陣が予期せぬ世界でもっとも過酷なテストラン」「この計画のためだけにスズキはワンオフのカスタム機を製作している」などのジョークが乱れ飛んだが、旅は実行に移され、全国の賛同者達からの整備、カンパ、伴走による護衛などを受けつつ、その企画は成功する。(一説では、この成功をスズキ開発陣は泣いて喜んだとも言う。)
後に、スズキのチョイノリのページのトップをこの企画の記事が飾ったこともあり、チョイノリ人気の一因ともなった。