スタディオン
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スタディオン(stadion, στάδιον)は、古代に使われていた距離(長さ)の単位である。複数形はスタディアである。
スタディオンはバビロニア起源の単位である。その距離は、砂漠において太陽の上端が地平線に現われてから、下端が地平線を離れるまでの間に人間が太陽に向かって歩く距離と定義されている。その人の歩行能力に依存した一種の身体尺であるが、おおむね180メートル前後となる。
言い変えれば、スタディオンは太陽がその視直径分だけ移動する間に人間が歩行する距離である。太陽の視直径(見た目の角度)は約0.5度(正確には32分)であり、その角度を移動する時間は約2分である。太陽は1日で1周(=360度)するので、1日に人が歩ける距離は360/0.5=720スタディア、1時間の歩行距離は約30スタディアということになる。
古代の陸上競技は1スタディオンの直線コースで行われており(1スタディオン以上の競走はコースを往復した)、競技場もスタディオンを基準として設計された。そこから、競技場を意味する「スタジアム」という言葉が生まれた。古代の競技場はスタートとゴールのラインを石で作っていたため、今日でもその遺跡からスタディオンの長さを知ることができる。それによれば、デルポイでは178.35 m、アテナイでは184.96 m、オリュンピアでは191.27 mと、土地によってスタディオンの値が異なっていたことがわかる。
エラトステネスはアレキサンドリアとシエネの間の経度差と距離から地球の大きさを、当時としてはかなりの精度で求めているが、その距離はスタディオンで測ったものであった。