スピカ
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スピカ(Spica)は、おとめ座α星で学名はα Virginis(略称はα Vir)。春の夜に青白く輝く1等星である。連星で、変光星でもある。
スピカは秋分点の近くにある1等星であるため、しばしば歳差運動の観測に利用されてきた。古代ギリシャの天文学者ヒッパルコスはスピカの位置を観測することで初めて分点の歳差運動を発見した。テーベの神殿は紀元前3200年前に建てられた時、スピカの方向を向いていた。時代を経るにつれてその歳差運動により、神殿の建設された頃の方位からスピカの方向が異なっていたのである。のちの時代の天文学者コペルニクスも、自分の歳差運動の研究のために、手製の望遠鏡でスピカを何度も観測している。
スピカを見つける簡単な方法は、北斗七星の取っ手の部分からうしかい座のアルクトゥルス(視等級0)までの長さを同じ分だけ伸ばした所にある。なお、この線を春の大曲線と言う。
その美しさから、日本では「真珠星」の和名を持つ。中国では「角」と呼ばれている。
[編集] スピカのデータ
- 地球からの距離:262光年 ※ 350光年とする説が多い。ここでは英語版Wikipediaからの数値を記載する。
- スペクトル型:B1 III-IV+B2 V
- 視線速度:1 km/秒
- 固有運動:53度/年
- 見かけの明るさ:シリウスAの0.108倍
- 実視等級:0.98等
- 絶対等級:-3.55等
- 光度:2.5×104太陽光度
- 直径:太陽の約6倍(諸説あり)