スモッグ
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スモッグ(英語:smog)は煙(英語:smoke)と霧(英語:fog)を合成した言葉である。
19世紀後半からロンドンでは石炭を燃やした際に出る煙の微粒子と自然に発生する霧が混じったものが滞留し、呼吸器疾患などの健康被害が発生した。この煙と霧が混じったもののことをスモッグと呼んだ。特に被害が大きいスモッグは、1952年12月に発生して1万人以上が死亡したロンドンスモッグ事件である。
スモッグを直訳したと思われる気象現象としての煙霧は霧が混じっているようなものは含まないので、もともとの意味とは異なっている。
一方、1940年代からロサンゼルスなどで排気ガス中の成分が日光によって化学変化を起こして有害な物質となり、その滞留によって健康被害が発生した。ロンドンと同様に大気汚染によって健康被害をもたらした現象で、光化学反応を介して起きていることから、これを光化学スモッグと呼んでいる。光化学スモッグは光化学オキシダントと呼ばれるオゾンやアルデヒド類(R-CHO)といった気体成分と、排気ガス中の硫黄酸化物や窒素酸化物に由来する硝酸塩や硫酸塩といった固体微粒子からなる。光化学スモッグは日本でも1970年ごろから発生するようになった。