ダイシン百貨店
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ダイシン百貨店は、1964年5月に開店した、東京都大田区山王3-6-3に本店を持つ中堅の百貨店である(法人としての名称は株式会社ダイシン百貨店)。尚、日本百貨店協会には非加盟であり、正確には百貨店とは異なる。
創業者は信州長野のリンゴ農家で、リンゴのヤミ販売から身を起こした。本店の前身は「信濃屋」という八百屋であり、「ダイシン」の由来は、社員からの募集で“大きな信州”という意味を込めて名付けられた。その為、大森地区にあるからといって大森を音読みしてダイシンとしたわけではない。
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[編集] 概要
他の大規模チェーンストア・百貨店とは異なり最近までリニューアルに消極的であったため、昭和40年代の地方百貨店の雰囲気を今でも残している事で知られている。生活用品・DIYに関しては圧倒的な品揃えを誇るほか、ドンキホーテなどの大型激安店のない当時、多数の食料品・生活用品等をおつとめ品といわれる戦略的な安値で提供し、大森周辺はもとより近隣地区からも集客し、休日ともなるとダイシン前の池上通りにダイシン渋滞が発生するほどであった。
現在は、バブル崩壊以後の消費不況、先読みの甘かった規模拡大と失敗による迷走状態、100円ショップなどの安売り店の台頭、イトーヨーカドー等の大型店の出店により、一時の勢いは無くなっているものの依然として地元周辺の人気は強い。2002年12月14日放送、テレビ東京『出没!アド街ック天国』では、富裕層をターゲットとするカドヤ(ダイシンの近隣で営業する高級スーパー)に対して、ダイシンは庶民の味方であると、「大森」の第1位となった。
[編集] 特徴
- リニューアルしたものの、昭和の雰囲気を残す質素・レトロなつくり
- 雑然としているが、床をきれいに保つこぎれいな店作り
- エスカレータは3階までは2人乗り、3階以上は1人乗り
- 鉄骨造り吹き曝しの非常階段
- 「鍋の蓋」から「水道管」まで生活用品・DIYは圧倒的な品揃え
- 持ち込み飲食可・上げ下げセルフサービス・社員食堂的雰囲気のファミリーレストラン
- 思い切りのいい処分価格、黄色いシールが目印の「おつとめ品」
- 昭和時代の事務服を思わせる地味な制服
- 衣料品・ファッションは主に40~60歳代をターゲットにした品揃え
- 書籍購入時にはもれなくポケットティッシュを配布
[編集] 現在のダイシン百貨店
2006年3月現在、大森本店・家具館を池上通り沿いに併設している。このうち家具館は1998年の本店リニューアル時に建て増しを行ったもので、電化製品・住居設備を扱うメディアプラザ、家具を扱う(旧)家具館の3館体制となったが、消費不況とともに客の回転が悪くなったため2004年9月に再リニューアルを行い、家電を本館に再度移した上で旧メディアプラザを家具館、旧家具館をブック館に再編した。2006年3月にはブック館を廃止し本店5階に移動し2館体制とした。旧ブック館は外部テナントを導入し1000円均一ショップ千金ワールドとなった。
売り上げそのものは決して悪くないものの、1990年代の本店リニューアル・久が原店建替えなどの積極投資が裏目に出て負債が多く、経営的には苦しいといわれている。2004年に再リニューアルを行って以後も、レストランの廃止、書籍の本館再移動など、迷走が続いている。とはいえ、最近の好景気に煽られ、少しずつではあるが、かつての賑わいを取り戻している。現在のロゴはアップルカード導入後に、創業時のリンゴとかけたアップルとダイシンの「D」を模したものに変わっている。
その他、1971年に休校となった立華学園(高校は休校、併設の幼稚園のみ東京都町田市に移転現存。神奈川県横浜市鶴見区の橘学苑とは無関係)の校舎を買収して1974年に百貨店として改装した久が原店が存在したが、1998年に建て替え後、2005年12月をもって閉店した。久が原店も人気があった。
[編集] ダイシン百貨店本店
[編集] 現在
[編集] 6階
ファミリーレストラン
[編集] 5階
時計・家電・本・CD・文具・玩具
[編集] 4階
インテリア・DIY・住居設備
[編集] 3階
生活用品・化粧品・薬品
[編集] 2階
紳士婦人衣料品・呉服・靴・鞄
[編集] 1階
食品(鮮魚・精肉・野菜)
[編集] リニューアル前
1998年にリニューアルが行われる前のフロア構成は以下の通り。この当時は、広告に写真が一切なく赤・青の2色刷で印刷され、単に表形式で特売品を羅列しただけの通称「三色チラシ」が独特であった。また、他の百貨店が地下に食料品を置くのに対し地下階を持たず2階に食料品フロアを設置するなど、異色の構造であった。当時のロゴはDの中心にSを入れた通称「DSマーク」。キャッチフレーズは皆様の明るい生活と幸せの友。
[編集] 6階
ファミリー食堂・レストラン
[編集] 5階
文房具・玩具・薬品・インテリア
[編集] 4階
書籍・DIY・生活用品
[編集] 3階
時計・カメラ・電化製品・鞄・靴
[編集] 2階
食品(鮮魚・精肉・野菜)、スポーツ用品、手芸用品
[編集] 1階
紳士婦人衣料品
[編集] 姉妹店
★印は現在閉店
- 昭和49年 2号店 立華★(2005年12月閉店)
- 〔久が原店〕 東京都大田区久が原 2-21-23
- 昭和52年 3号店 フジイ
- 〔須坂店〕 長野県須坂市宗石1269-1
- 昭和53年 4号店 ナガイ
- 〔須坂店〕 長野県須坂市宗石1268-30
- 昭和55年 5号店 ナガサワ★(2004年8月閉店)
- 〔大森駅前店〕 東京都大田区山王 2-1-7
- 昭和58年 6号店 タケウチ★(2004年4月閉店)
- 〔上大岡店〕 神奈川県横浜市港南区芹ヶ谷 2-15-1
- 平成5年 7号店 タケウチ★(2004年4月閉店)
- 〔茅ヶ崎店〕 神奈川県茅ヶ崎市下町屋 1-10-24
- 平成10年 8号店 メディアプラザ★(2007年2月閉店)
- 〔大森店〕 東京都大田区山王3-6-3 HP(アーカイブ)
- 平成10年 9号店 家具館(現千金ワールド)
- 〔大森店〕 東京都大田区山王3-6-3