チャーチル歩兵戦車
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歩兵戦車 Mk.IV チャーチル(ほへいせんしゃ マークIV チャーチル)は、イギリスの歩兵戦車。多砲塔戦車A20を元にA22として小型化したもので、国威発揚のために首相ウィンストン・チャーチルの名を付けた。
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[編集] 概要
フランスに派遣したイギリス大陸派遣軍が戦車を含む大量の重機材を遺棄して撤退したことによる逼迫した戦車事情により、満足に性能テストもできないまま量産が開始された。特に超信地旋回も可能なメリット・ブラウン操行装置はトラブルを多発したが、メーカーの対策チームを前線に派遣するなどして対応、後に完全に改修されている。
1941年6月、部隊配備を開始。実戦からの情報をフィードバックして改良を重ねたため、多くの派生型がある。第一次世界大戦の戦術から進歩していない設計思想のため機動戦が出来ないほどの鈍足ではあったが、大口径砲でないと打ち破れない重装甲を誇り、歩兵戦車としては十分に活躍した。また急斜面や湿地、森林といった悪路での機動力が意外に高く、とても通行できないと思われた場所からいきなり出現し、ドイツ兵を慌てさせた。なおソ連にレンドリースされ、親衛重戦車連隊に配備されなかなか好評だったが、その後の冷戦開始や反共主義者であるチャーチルの名を持つため、この事実は長い間隠蔽されていた。例えば、クルスクの戦いで英雄的な活躍をしたある戦車兵の乗車はこれまでKV-1とされていたが、実際はチャーチルであったことがソ連崩壊後の情報公開で判明している。[要出典]
[編集] 戦歴
第79機甲師団(通称『ホボーズ・ファニーズ』)はチャーチルをベースにした各種の特殊工作車輌を多数装備し、ノルマンディー上陸作戦では分散配備され活躍した。
[編集] バリエーション
- Mk.I
- 6ポンド砲が間に合わず、威力不足とは分かっていながら主砲を2ポンド砲にした型。2ポンド砲には榴弾が無かったため、副砲として車体前部に3インチ榴弾砲が取り付けられた。
- Mk.II
- 主砲を3インチ榴弾砲、副砲を2ポンド砲とした試作型支援戦車。
- Mk.III
- ようやく、6ポンド砲が量産開始され、6ポンド主砲と砲塔・車体前部に機関銃装備という、最初の計画に沿った型。しかし、当初は榴弾が用意されておらず、苦戦を強いられた。
- MK.IV
- Mk.IIIの溶接式砲塔を鋳造式にした型。
- Mk.V
- Mk.IIの発展型で、95mm榴弾砲を装備した支援戦車。
- Mk.VI
- マズルブレーキ付き75mm砲を装備した型。
- Mk.VII
- 車体設計が大幅に変更された装甲強化版。その分重量が増えたため、最大速度は20km/hに落ちてしまった。
- Mk.VIII
- Mk.VIIにMk.Vの95mm榴弾砲を乗せた支援戦車。
[編集] 派生型
- チャーチルNA75(North Africa 75mm)
- チュニジア戦線でチャーチルの主砲の欠陥(榴弾が用意されていない)が露呈したため、イタリア戦線の整備部隊の将校の提案で、アメリカから供与されていたシャーマンの損傷車輛から防盾ごと取り外した75mm砲を上下逆に移植した。チャーチルはシャーマンよりも車体が大きいため、安定性が増し射程が延びるなどテスト結果は良好で、200両ほど改造され、主にイタリア戦線で活躍した。
- スーパーチャーチル(ブラック・プリンス)
- ドイツのV号戦車・VI号戦車の登場で、6ポンド砲では太刀打ちできなくなり、17ポンド砲を搭載した試作型。センチュリオンの量産開始で、計画は中止された。
- チャーチル・クロコダイル
- トレーラー方式の火炎放射戦車。Mk.VIIの前方機関銃の代わりに火炎放射器を乗せたもの。最大射程は100mを超え、ドイツ軍の恐怖の的となった。
- チャーチル架橋戦車
- チャーチルの車体に18mの戦車橋を乗せたもの。
[編集] 関連項目
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