自走砲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
自走砲(じそうほう、Self-propelled artillery, Self-propelled gun)とは、大砲を自走可能な車体(装輪車・半装軌車・装軌車)に射撃可能な状態で搭載したものである。
目次 |
[編集] 概要
装備する大砲の種類によって自走歩兵砲、自走榴弾砲、自走臼砲、自走対戦車砲、自走対空砲などと呼ばれる。また、運用する軍組織によって書類上の分類から突撃砲や砲戦車などと呼ばれることもあった。現代では単に自走砲という場合は自走榴弾砲を指すことが多い。
砲兵は戦線において重大な役割を担っており、砲による敵陣地への準備砲撃の結果がその後の攻撃の成果を大きく左右した。それだけに、戦線の移動とそれに伴う砲の軽快・迅速な移動は重大な問題であった。車輪付きの大砲は馬や車輌で牽引することができるが、車載した場合に比べ牽引中の速度は制限され、また不整地での機動力が低下する。また牽引状態から射撃状態に移行するには時間がかかる物も多く、これではスピードが求められる近代の戦闘に差し支える。自走砲は、このような問題を解決するために生まれたものであり、小型トラックに砲を載せただけの物から、怪物じみた巨大さで重量120 t を超えるカール自走臼砲まで、多種多様な物が開発された。
近年に於ける自走砲は、対砲兵レーダーの進化により砲撃後の陣地転換が非常に重要な要素となっている。同じ位置から砲撃を続けると弾道から発射位置が特定されてしまい自らが砲撃の的になってしまう。これを避けるために数発砲撃した後に素早く移動するための機動性が必要となっている。そのため、射撃管制装置と自動装填装置の進化により、長時間にわたる連続射撃時とは別に、短時間に大量の連続射撃を行うバースト射撃能力が求められている。たとえばロシアの2S19では、持続射撃時には毎分2 発の割合で砲撃を行うが、バースト射撃の際には毎分8 発の砲撃を行うことが出来る。
なお近年は、通常は牽引によって輸送される砲でもFH70 155 mm りゅう弾砲のように、陣地展開の際は補助エンジンによって短距離を自走できるものもあるが、これは自走砲には含まれない。
[編集] 戦車と自走砲の違い
戦車は本来、防御された陣地の突破を目的に開発され、自走砲は大砲に機動力を与えるため開発された物である。ただ、広義に戦車であっても狭義では自走砲の任務も果たす場合があり、その逆もまたある。機能的には戦車も自走砲の一種と言えるからで、戦車と自走砲を分ける境界線は曖昧な部分がある。
一般に、戦車は視界に入った個別の目標を直接攻撃で破壊することを目的としているが、現代の主な自走砲は座標などの観測情報により間接攻撃を行うことが第一の目的である。また、戦車には移動する物体を砲撃する能力(動目標射撃)や、自ら移動しながら砲撃する能力(行進間射撃)が備えられているが、自走砲は基本的に咄嗟的に照準を行い即座に射撃する能力は重視されない。ただ、いくつかの自走砲は直接照準によって敵を射撃する能力も付与されている。また、戦車は対装甲弾の直撃に耐えることを意図した装甲であるのに対して、間接攻撃が前提となる自走砲の装甲は、砲撃や爆撃の爆風や破片程度に耐えられればよしとしており、中には全く装甲を持たない自走砲も存在する。
機械的・構造的にほとんど同じ物であっても、国や時代が異なれば違う分類になることもある。むしろ、それを運用する兵科や開発目的こそが分類の根拠であるといえるが、これも変化しやすく明確な分類法とはいえない。例えば第二次世界大戦のドイツ軍では、駆逐戦車は戦車兵が、突撃砲は砲兵が、とセクショナリズムで線引きされた異なるカテゴリーの自走砲を運用したうえ、これらの自走砲は戦車不足を補うために戦車の代わりに戦車部隊にも配備された。
[編集] 数え方の違い
日本語では戦車を「輌」と数えるのに対し、自走砲の数え方は「門」である。しかし、対戦車自走砲と突撃砲と駆逐戦車、対空自走砲と対空戦車のように、前述のように分類の線引きが曖昧な部分があるため、どちらの数え方が正しいとも断定できない。
[編集] 呼び方の混乱
なお、自走砲という呼称は通常会話の語彙に含まれているとは言えないため、報道などでは自走砲や歩兵戦闘車は「戦車」と一括りにされて呼称されることも多い。
[編集] 自走砲の一覧
自走砲一覧を参照
この「自走砲」は、武器・兵器に関連した書きかけ項目です。この記事を加筆・訂正などして下さる協力者を求めています。(軍事ポータル|軍事PJ|航空PJ) |
カテゴリ: 武器・兵器関連のスタブ | 自走砲