ディスポーザー
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ディスポーザー(Disposer)とは、家庭の排水設備に設置する生ゴミ処理機のこと。
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[編集] 概要
一般の家庭においてディスポーザーは台所のシンク(→流し台)の下に設置し、水と一緒に生ゴミを流し粉砕させ、下水道に流下させる仕組みとなっている。装置としてはモーターと生ゴミ破砕用の刃がセットになっていて、投入された生ゴミを破砕して水道の流水で押し流すものである。破砕機の電源スイッチは壁やシンクに埋め込まれた押しボタン式か床に設置されたべダル式となっており、必要に応じて動作させる。
ゴミ収集日まで生ゴミを保管しなくとも良いため、悪臭やハエ・ゴキブリといった衛生害虫の発生を予防できるメリットがある。また自治体にとっては生ゴミ・燃えるゴミの排出量削減による、ゴミ回収・処分費用の軽減も期待される。設置は、集合住宅ではゴミの排出量軽減による共同のゴミ集積場の簡易化も期待される。ただ、下水に流入する有機廃棄物の増加により、ディスポーザー対応の浄化槽・浄水設備の使用が前提となる。
なお安全性のため及び破砕中の生ゴミが噴出したりしないよう、上部の蓋を閉じないとスイッチが入らないようになっている製品がほとんどである。また処理能力にも限界があり、残飯や魚の骨・野菜屑程度であれば処理できるが、貝の殻やスペアリブの骨など大きく硬いものなどは対応できない場合がある。この場合は、別途生ゴミとして排出する必要がある。製品によってはカニの殻程度であれば粉砕処理できると謳っている場合もある。
[編集] 普及状況
1950年代の米国で開発、みるみるうちに全米の大都市へ普及した。コンドミニアムなど高級集合住宅(→マンション)や建売住宅などでは付帯設備であるケースが見られ、またディスポーザー内蔵型の専用キッチンなども販売されている。
[編集] 日本国内
日本にも1980年代から輸入され始めたが、当時の日本の下水道はディスポーザーでゴミを大量に流すことを想定しておらず、また地方町村などでは下水道整備が成されていない地域でも導入する家庭がみられ、これら家庭より排出された野菜屑を含む排水が用水路に流れ込み富栄養化の問題も発生、1980年代後半には「排水溝にトマトが生えた」などの報道も成されている。
なお都市計画において下水道整備事業に負担を掛けること、またゴミの減量化をはじめとした循環型社会の構築に取り組む地域の努力が骨抜きにされかねないこと等の理由から、ほとんどのディスポーザーは自治体レベルで嫌われ、設置に反対している。
このため、日本国内にて処理機単体ではホームセンターなどでおおっぴらに販売されることは無く、専門の排水周りの業者が建物設備として浄化槽とセットで施工するか、または通信販売などで細々と売られている状態である。
[編集] 環境配慮型ディスポーザー
環境に対してや、下水道の汚水処理で負担が大きいディスポーザーだが、業務・設備用の高機能タイプでは、投入された生ゴミを途中で漉し取り、脱水して生ゴミとして出せるタイプのもの、更には乾燥させて燃やせるゴミとしてごみ収集収集・処分のコストを軽減させるものもみられる。また上記の独自の汚水処理システム(浄化槽)を備える施設もみられる。
日本では社団法人である日本下水道協会では「下水道のためのディスポーザ排水処理システム性能基準(案)」([1])を提出、これに準じたディスポーザー設備の設置なら認める方針を打ち出す自治体も見られる(例:横須賀市上下水道局の回答)。なおこれらは自治体によっても対応が異なるため、設置を希望する際には地元自治体に相談したほうがいいだろう。
[編集] 日本における社会実験
2000年より、国土交通省は北海道歌登町(現・枝幸町)をモデル都市として選定し、社会実験を行った。