デッドマン装置
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デッドマン装置は、列車運転中に運転士の意識喪失などの異常事態が発生した場合に、自動的に列車を停止させる運転保安装置である。大手私鉄などで一般的に使用されている。消防車(はしご車)においても導入されている。
その言葉(Dead Man)が意味するように、「運転士が死んで車両が暴走するのを防ぐ」という発想から来た言葉とも言われる。
デッドマン装置が搭載されている車両には、運転中に運転士が常に保持していなければならない装置部品が取り付けられている。
マスコンとブレーキハンドルが分かれている2ハンドルタイプの車両では、手を離すとマスコンハンドルの握り部分が飛び出すもの・マスコン可動部分が跳ね上がるものなどが、マスコンとブレーキが一体化している1ハンドルタイプの車両では、ハンドルの握り部分に保持レバーがあるものが、それぞれ一般的である。その他、足元にペダルが設置された車両も存在する。
一般に、運転中にこれらの装置部品から手足を離すと即座に非常ブレーキがかかるしくみになっているが、力行中のみ動作するもの、ハンドルがブレーキ位置にある場合は動作しないもの、力行中のみ動作するが単に力行がオフになるだけのもの、さらに、ワンマン運転の路線・車両では動作時に無線による非常信号が発信されるものなど、いろいろなバリエーションがある。
なお、これらの装置を握り締めながら気絶するなど、運転士に異常が起こっても装置が動作しないケースも皆無とはいえない。
一方JRや第三セクター鉄道の場合は、一定時間運転操作をしないと非常ブレーキがかかる緊急停止装置(EB装置)が一般的である。この違いは、主に電車で運転されてきた私鉄と、もともと機関車の一人乗務化の際の安全対策として導入されたものが一般化したJR(旧国鉄)との違いによるものが大きく、JRの電車でも、マスコンハンドルのばね復帰によるノッチオフ機能は従来から装備されている。