デビッド・ジョーンズ (パンアメリカン航空)
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デビッド・ジョーンズ(David Jones, 1916年-2005年2月2日(アメリカの現地時間))は、パンナム(パン・アメリカン航空会社)元極東地区広報担当支配人。
1961年度の夏場所から1991年夏場所まで、大相撲本場所において優勝力士に対して送られるパンアメリカン航空賞を贈呈する役を担当。羽織袴で登場し、高らかに「ヒョー・ショー・ジョウ!」と読み上げただけで客席から拍手・喝采が上がった。各本場所の地域方言を使ったユニークな表彰状朗読や、それに続くパンナム提供の巨大な地球をかたどった優勝トロフィーの贈呈は、相撲ファンに非常に喜ばれた。トロフィーの重さによろける姿さえユーモラスで(一度落としてしまい、北の湖にたしなめられた事もある。その後はトレーニングを積み、呼出しのサポートを断り最後まで自分で持ち続けた)、長きに亘り千秋楽の表彰式に無くてはならない存在であった。観衆や視聴者の注目を集めていることが徐々に浸透し、NHKの実況中継アナウンサーも、NHK金杯授与と彼の表彰中は黙して朗読の邪魔にならないよう配慮していた。また、彼の「ヒョー・ショー・ジョウ!」はチェコ国友好杯を授与するチェコ国大使をはじめ、サウジアラビア国大使など多くの各国大使も彼に倣い、千秋楽の魅力の一つとなった。
ある意味、大相撲の人気に寄与した功労者であり、同時に日本におけるパンナムのイメージキャラクター的存在として親しまれた。映画「アルプスの若大将」ではパンナムのクルーを務めた澄子の上司役として出演したほか、劇中のテレビ番組でも「ヒョー・ショー・ジョウ!」のシーンが収められている。
表彰式ではいかにも外国人然とした日本語で読み上げを行っていたが、非常に流暢な日本語を話した。反面、やはりお茶目な面はあったらしく、輪島大士の表彰の際に名前をど忘れし、「あんた誰だっけ?」とこっそり尋ねたというエピソードが残されている。またパンナム社内で再三栄転の話があったが、大相撲表彰式を続けたいために断り続けたと伝えられている。
最後となった1991年夏場所の「ヒョー・ショー・ジョウ!」のあと、土俵上で挨拶を行った。この挨拶は予め予定されていたものらしく、中継時にアナウンサーが「ご挨拶があります」と告げ、挨拶終了までそのまま放映した。
1991年12月4日にパンナムが破産。この日の「筑紫哲也NEWS23」でこのニュースを報じた際に本当に最後の「ヒョー・ショー・ジョウ!」を披露していた。その表彰状の相手は長年勤務したパンナムだった。
カテゴリ: アメリカ合衆国の人物 | 大相撲 | 1916年生 | 2005年没