ドラフト会議 (MLB)
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ドラフト会議(The Major League Baseball First-Year Player Draft)は、毎年6月に開催されるメジャーリーグベースボールにおけるアメリカ合衆国・カナダ・プエルトリコの高校・大学および独立リーグの選手を対象にした新人選手選択会議である。ファースト・イヤーとも呼ばれる。
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[編集] 概要
完全ウェーバー制を採用しており、あくまで戦力の均衡が目的であるため抽選や自由獲得枠などは無い。
メジャーリーグのドラフト制度は1965年に導入された。豊富な資金力を背景に圧倒的な強さを誇っていたニューヨーク・ヤンキースにそれ以上戦力が偏りすぎるのを防ぐためであった。この結果、ヤンキースは1964年以降10年以上もリーグ優勝から遠ざかることとなった。1972年からのオークランド・アスレチックスワールドシリーズ3連覇まで毎年違うチームがワールドチャンピオンとなり、この制度の成果は如実に現れた。
だが、有望選手には代理人がつくようになり、契約金の高騰が起こっている。このため、指名順位の高いチームが資金力で劣るために有望選手を指名できず、指名順位が低いにもかかわらず資金力のあるチームがその選手を獲得できてしまう問題が発生している。
ドラフトでは各チーム50人、計1500人程度が指名される。アメリカでは学生の部活動の掛け持ちが一般的であり、学生の目玉選手の中には野球以外のスポーツでもすばらしい成績を残していることも珍しくない。そのため、他の競技のドラフトからも重複指名されたり、大学などからスポーツ奨学金の提供を受ける選手がおり、ドラフトで指名されても入団しないことが多々ある。また、下位指名選手は契約金の低さや自身の将来性の評価が低いなどの理由から、入団しないことがある。そのため、あらかじめ何人か入団しないことを計算に入れて大人数の指名となる。そのため、選手によってはプロに行くつもりがまったく無いのに突然指名を受けることもある。
[編集] ルール・ファイブ・ドラフト
ルール・ファイブ・ドラフト(Rule 5 draft)とは、十分な活躍の場を与えられずに選手が半ば飼い殺し状態になることを防ぐために他のチームの選手を指名し獲得できる制度である。名称の由来はMLB規約の第5条に規定されていることから。
毎年12月のウィンター・ミーティング最終日に行われる。メジャーの40人ロースター(選手登録枠)に空きがあるチームのみ参加可能で、その年の優先権のあるリーグのレギュラーシーズン勝率の低いチームから指名権が与えられる。優先権はは毎年交互に入れ替わる。
制度の悪用による過剰な引き抜きを防止するため、以下のような規定が設けられている。
[編集] 規定
- ロースターによる制限
- メジャーの40人ロースターに登録されている選手は指名できない。つまり、マイナーリーグの選手のみ指名できる。
- 在籍年数による制限
- 18歳以下で入団した選手のうち、ルール・ファイブ・ドラフト実施日の時点で在籍年数4年未満の選手は指名できない。19歳以上で入団した選手のうち、ルール・ファイブ・ドラフト実施日の時点で在籍年数3年未満の選手は指名できない。
- メジャーリーグ・フェイズ
- AAAから指名した場合は、相手チームに50,000ドルを支払わなければならない。また、指名した選手は次のシーズンは全期間メジャーの25人ロースターに登録しなければならない。つまり、ベンチ入りメンバーから外すことは許されない(故障者リスト登録は可)。故障者リストに登録せず25人ロースターから外す場合は、速やかに元のチームに選手を返還し、25,000ドルを支払わなければならない。ただし、返還先のチームが選手の返還を望まない場合はウェーバー公示され、第三者のチームが獲得できる。ただし、第三者のチームがウェーバーで獲得した場合も上記の規定が適用される。
- マイナーリーグ・フェイズ
- AAのチームから指名した場合は相手チームに12,000ドルを、A以下から指名した場合には相手チームに4,000ドルを支払わなければならない。AAからの指名の場合は必ずAAAの、A以下からの場合は必ずAAのロースターにシーズン開幕時には登録しなければならない。ただし、途中でそれぞれのロースターから外れてもかまわない。
[編集] ルール・ファイブ・ドラフトによって移籍した選手
- ロベルト・クレメンテ
- ボビー・ボニーヤ
- ヨハン・サンタナ
- ダン・アグラ
- クリス・シェルトン
- スコット・ポドセドニク
- ウィリー・アップショー