ドルビーデジタル
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ドルビーデジタル (Dolby Digital、AC-3:Audio Code number 3) はドルビーラボラトリーズ (Dolby Laboratories, Inc.) が開発した音声のデジタル符号化方式。映画の音声やDVD-Videoなどで利用される。
モノラル(1チャンネル)※からマルチチャンネル(複数チャンネル)の音をデジタル的に圧縮しデータ量を減らしフィルムやDVD-Videoなどに記録するのに用いられる。
※1980年代頃までに制作された古いテレビアニメなど、モノラル音声で制作された作品の場合、DVD-Video化の際には、2ch(ステレオ)音声として収録される場合が多い。
映画の場合、音声をエンコード処理しフィルムのスプロケット穴と穴の間(フィルムの両端に等間隔であいている穴と穴の間)に信号を光学的に記録している。ほとんどの映画作品には5.1chを使ったサウンド方式(センター、左、右、リア左、リア右、ウーファー)を採用しており、これをドルビーデジタルでエンコーディングする事が多い。ドルビーデジタルそのものが5.1チャンネル音声を指していると思われることがあるが、これは誤りである。
音質の評価は一般に悪くはないが、高音質を謳う競合規格のdtsが好まれる場合がある。しかし、dtsが後発の規格であるため、初期の再生機や安価な機器では非対応のものもあり、ドルビーデジタルが現在のデファクト・スタンダードとなっている。 また、dtsは後発の規格であるためかオプションとされており、DVDにはdts音声のみを収録することが出来ない[1]という理由もある。
近年は家庭用ゲーム機(Xbox・Xbox 360・プレイステーション3)やPCゲームでもドルビーデジタルが採用されている。ハードウェアまたはソフトウェアによるリアルタイムエンコードで効果音などを最大5.1chのサラウンドで出力できるゲームソフトが多い。
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[編集] 拡張規格
- ドルビーデジタルサラウンドEX
- リアセンターを加えた6.1ch形式。ドルビーデジタルと下位互換性があり、EX非対応の環境で使用すると5.1chで再生される。
- ドルビーデジタルプラス (以下DD+)
- 次世代大容量光ディスク(Blu-ray Disc・HD DVD)で採用されている次世代サラウンド規格。最大7.1chでロスレス圧縮音声も収録できる。再生機器にはDD+をドルビーデジタル (5.1ch) に変換する機能が標準搭載され、既存のAVアンプ等でもサラウンド音声が再生できるように互換性が確保される。DD+に完全対応したAVアンプ等は次世代大容量光ディスクよりも遅れて登場する見込み。DD+のデジタル転送(ビットストリーム出力)にはHDMI ver1.3が必要となる。
- ドルビーTrueHD (Dolby TrueHD)
- Blu-ray DiscやHD DVDに採用された音声技術で、DVDオーディオで採用されている「MLPロスレス」の機能拡張版。HD DVDでは必須となるほか、Blu-rayではオプションとなる。最大96kHz/24bit・8ch形式をサポート。なお、MLPロスレスの呼称は、今後もDVDオーディオには使われる。Dolby TrueHDはDVDオーディオフォーマットでは使用不可。Blu-ray DiscやHD DVDに使用される場合にのみDolby TrueHDが使われる。(正確性の為に記述すると、Dolby TrueHDはMLPの拡張技術でありDolby Digitalの拡張技術ではない)
[編集] 関連記事
[編集] 脚注
- ^ dtsとリニアPCM、dtsとDolby Digitalという形式になる