ナインチェ
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ナインチェ (nijntje) は、日本においてうさこちゃんまたはミッフィー (Miffy) として知られる、ウサギの女の子であり、オランダのデザイナー、ディック・ブルーナが描いた絵本に主人公として登場する。ナインチェの絵本は2004年時点で全世界で8500万部を売る。
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[編集] ナインチェとディック・ブルーナ
作者のブルーナは元々、抽象美術運動のオランダの芸術派「デ・ステイル」の傾向を色濃く受け、単純明快な色とデザインによる書籍装丁などを手がけるデザイナーであった。そして、当時は写実的な絵柄作りが当然とされていた絵本の挿し絵に、自分のデザインと同様の、単純で抽象化された線と原色の色遣いとを用いる手法を持ち込み、擬人化された子ウサギの主人公たちの日常を描写した新しいタイプの絵本を書き上げた。ブルーナはその主人公に、「ウサギ」を意味するオランダ語 konijn に接尾語 -tje (小さく愛らしいもの)を付けるなどして、 nijntje という名前を与えた。これが、ナインチェの誕生である。
初期のナインチェは現在のものとはキャラクターデザインが異なる。1963年に現在のデザインに近いものに改定された。
[編集] 呼び名 - うさこちゃんとミッフィーと
日本でナインチェは、母国と同じ呼ばれ方をすることはほとんど無く[1]、以下のいずれかの名で呼ばれる。
- 「うさこちゃん」
- 「ミッフィー」
ナインチェの絵本は世界約40ヶ国語に翻訳されて親しまれているが、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクではオリジナル名であるナインチェの名前で発行されている。ミッフィー Miffy とは英語及び英語からの訳による版で見られる名前である。ただし英語での展開の広さ、日本では講談社による販路の大きさや出版媒体の多彩さから、こちらの名前の方が広く普及している。ブルーナ自身もナインチェが「ミッフィー」として認知されている現状を肯定している(話によれば、最初の英訳時にブルーナとイギリスの翻訳者が直接協議した)、と言われる。
日本では、1970年代頃の生まれを境に、「うさこちゃん」の方が馴染み深い層と「ミッフィー」がより身近である層とに分かれるという見方もある。
2005年4月現在、日本での絵本のタイトル数は福音館書店刊行の「うさこちゃん」が14冊、講談社刊行の「ミッフィー」が12冊。売上上位3冊のトータル部数は「うさこちゃん」が537万部、「ミッフィー」が17万5000部と「うさこちゃん」が圧倒するが、キャラクターブームに伴って他業種からキャラクターグッズが相次いで発売され、近年では「ミッフィー」の方が身近になっているといわれる[2]。
[編集] ナインチェのプロフィール
ナインチェは、フルネームをナインチェ・プラウス(nijntje pluis)という。(プラウスとは「ふわふわ」の意で、合わせてふわふわうさこちゃんとなる)
オランダで最初の絵本が出版された1955年6月21日がナインチェの誕生日になっている。
初期にはナインチェの性別は設定されていなかった。
口のバッテン(×)は口と鼻の合体したものである。大人はバッテンに横棒を付け足して三本になっている。「しわを表現した」とのこと。
おとうさん(ふわふわさん)、おかあさん(ふわおくさん)との三人暮らしであり、近くには叔母のふんわりふわこさん(石井桃子らの訳。講談社版ではアリスおばさん。本名は「trijnおばさん」。読み方不明)が住んでいる。他に大工仕事が趣味のおじいちゃん、編み物が好きなおばあちゃん(「ミッフィーのおばあちゃん」にて亡くなる)と、パイロットのおじさんがいる。「うさこちゃんとあかちゃん」でふわふわ家に赤ちゃんが生まれた模様。
くんくん(石井桃子らの訳。講談社版ではスナッフィー)というイヌを飼っている(ただし”くんくん”シリーズ中では”くんくん”の飼い主は人間の奥さんとなっている)。
ニーナ(Nina)というナインチェに外見はそっくりだが、色は茶色の友達がいる。講談社版では、英語圏の名前の「メラニー」になっている。(石井桃子らの訳には登場せず)
[編集] ナインチェ・作品一覧
[編集] 福音館書店の邦訳
- ちいさなうさこちゃん
- うさこちゃんとうみ
- うさこちゃんとどうぶつえん
- ゆきのひのうさこちゃん
- うさこちゃんとゆうえんち
- うさこちゃんのたんじょうび
- うさこちゃんひこうきにのる
- うさこちゃんのにゅういん
- うさこちゃんのおじいちゃんとおばあちゃん
- うさこちゃんがっこうへいく
- うさこちゃんおとまりにいく
- うさこちゃんとじてんしゃ
2005年、12年ぶりに福音館版の邦訳『うさこちゃんとあかちゃん』と『うさこちゃんのはたけ』が出版された。
[編集] 講談社の邦訳
- ミッフィーどうしたの?
- ミッフィーとメラニー
- ミッフィーのおばあちゃん
- ミッフィーのおばけごっこ
- ミッフィーのたのしいテント
- ミッフィーのたのしいびじゅつかん
- ミッフィーのてがみ
- ミッフィーのなにしているの?
- ミッフィーのあれ?だあれ?
- ミッフィーのおうち
- ミッフィーのゆめ
- ミッフィーのまるさんかくしかく
- ミッフィーのかぞえていくつ1・2・3
- ミッフィーとおどろう
- まほうつかいミッフィー
- ミッフィーのいちにち
- ミッフィーのおばけごっこ
- ミッフィーのとけいあそび
[編集] 豆知識
- ナインチェ誕生45周年を迎えた2000年に、ナインチェを「世界で最もバースデーカードを貰ったキャラクター」としてギネスブックに登録しようという呼びかけが行われ、世界から約38000枚のバースデーカードが届けられギネスブックに掲載された。
- ナインチェ誕生50周年を迎えた2005年にも同様の呼びかけが行われ、世界43ヶ国から39670枚のバースデーカードが届けられ記録を更新した[3]。
- ナインチェ誕生50周年を記念して50 years with miffy ミッフィー展が開催され、日本未刊行の絵本『ちいさなうさこちゃん』初版から、近作『うさこちゃんのはたけ』までのスケッチや原画、また約40ヶ国で読まれている各国の翻訳本などが紹介された。
[編集] 企業への起用
- 協和銀行・あさひ銀行(現りそな銀行及び埼玉りそな銀行)
- フジパン
- ミサワホーム
- 王子ネピア 「ネピア」
- コダック
- 日本エアシステム(現日本航空インターナショナル)
- 大阪ガス
- ユースキン製薬
- ローソン(商品購入やローソンカード加入者にミッフィーグッズのプレゼント、ただし応募用紙にはうさこちゃん書籍からとして画像が載っている)
[編集] 脚注
- ^ 日本においてもナインチェという呼称が全く使用されていない訳ではない。例えばフェリシモの商品カタログ「ミッフィーとおともだち」(2003年に休刊)では、オランダ直輸入のキャラクター商品に対して「ナインチェ」の名前が使われていた。
- ^ 朝日新聞 2005年4月28日付朝刊による
- ^ 『Bruna Times』2005 Autumn/Winter号、ぶるーな倶楽部発行
[編集] 外部リンク
- http://www.nijntje.nl/ ブルーナ自身による公式サイト
- http://www.miffy.com/ 英語での公式サイト
- http://www.nijntje.nl/japan/ 日本語での公式サイト
- http://www.welovemiffy.com/ 日本のファンによるサイト
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