ナタ太子
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哪吒太子(なたたいし)は『封神演義』、『西遊記』などの説話に登場する道教の神仙。
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[編集] 名前
『封神演義』、『西遊記』ともに哪吒「ナタ」(中国ではナーザ)である。
日本では安能務翻案『封神演義』での誤ルビによって「ナタク」の誤用が広まっている。
太子翁、太子元帥、羅車太子、中壇元帥などとも呼ばれる。
ナタの登場する主な説話とそこでの表記。
- 封神演義 哪吒
- 西遊記 哪吒
- 西遊記雑劇 哪吒
- 毘沙門儀軌 那吒
- 尊容鈔 那吒
- 三教源流捜神大全 那吒
なお「哪吒」(口へんに託の右側:U+5412)の文字はJIS X 0208およびJIS X 0212(JIS補助漢字)に含まれていないが、JIS X 0213には含まれており1-14-85の符号位置が与えられている。
[編集] 由来
元はインドの神ナージャが仏教とともに中国にやってきて道教の神になったものと言われている。 封神演義で彼が手にしている風火輪と乾坤圏は、共に円環状の宝貝で、まさにチャクラムであり、インド起源の名残が見て取れる。 父母、兄弟は説話により異なっており、説話の発展を示している。
[編集] 主な物語におけるナタ
[編集] 各西遊記
各西遊記本では、托塔天王(毘沙門天)の第三太子。左手に哪、右手に吒の字がありそれを名前とした。海中の水晶宮で蛟龍の背筋をぬく。父に殺されそうになり自ら体切り肉を父に骨を母に返上す。魂は仏の蓮の葉により再生。父とは釈迦如来のとりなしで和解した。孫悟空討伐に出るが敗退し、顕聖二郎真君を召喚することになる。のち、悟空が三蔵法師に従うようになってからは頼れる仲間として天から取経の旅を見守り、何度かその困難を救うことになる。特に独角兕大王(どっかくじだいおう/正体は太上老君の飼牛)との戦いでは父親の托塔天王とともに天界軍を率いて悟空に助勢する。 三面六臂の術をつかう。
[編集] 封神演義
『封神演義』では、陳塘関の李靖将軍(後に托塔天王)の第三太子。夫人が3年6月で出産した「肉毬」を李靖が切り裂いたところ現れた。名づけ親は太乙真人。7歳(身長6尺)のとき東海龍王の巡海夜叉と竜王の三太子を殺し背筋を抜いたことにより父の怒りをうけ自らの肉と骨を切り自殺。冥府をさまよう魂に対し太乙真人が蓮の花に金丹を入れ肉体とし1丈6尺の体で再生した。父とは燃灯道人がとりなし和解。闡教の道士として周陣営に参加し以後商の仙人と闘う。
[編集] 安能務の封神演義
安能務の『封神演義』では、「なたく」という名前で魂魄がなく太乙真人の宝貝を魂魄のかわり誕生。宝貝の能力で生み出されたいわば人造人間である点が原作と異なる。唯一天界で殺生を許されたもの。 なお(なたく)と言う読み方は間違いである。