ネシェル (航空機)
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ネシェル(Nesher)は、イスラエルのIAI社(Israeli Aircraft Industries)で開発された多用途戦闘機で、フランスのダッソー社のミラージュIIIの派生型のひとつである。なお、名前は「鷲」の意味。また、日本語では英語風に「ネシャー」と書かれることもある。
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[編集] 概要
第三次中東戦争(イスラエル側呼称 六日間戦争)はイスラエルによる奇襲攻撃で開始されたが、そのためフランスはイスラエルに対する禁輸処置を宣告し、既に契約済みであったミラージュ5Jもイスラエルへの輸出が停止され、結局はミラージュ5Fとしてフランス空軍に納入された。そのため深刻な戦闘機不足に陥ったイスラエルは、アメリカ合衆国から兵器供給を取り付けると共に、自ら必要な機体を生産することを決定した。その結果完成したのがネシェルであったが、この機体はスパイ活動によるミラージュ5Fの情報の入手などに拠って開発されたため、同機の全くのコピーといえる機体であった(但し、今日では様々な周辺状況から、ダッソーの設計によるとの説も有力視されている[1]、[2])。最初の機体は1969年にイスラエル空軍に納入され、単座型51機と複座練習型10機が製造された。その後禁輸措置が解除されると、部隊編成に必要な機体数の不足とより強力なエンジンを搭載したクフィルが開発されたためにネシェルは新たにダガー(Dagger)としてアルゼンチンへ輸出された。なお、単座型はダガーA、複座型はダガーBとされるが、ダガーM-5という表記も見られる。アルゼンチンのダガーはマルビナス紛争でかなりの損害を受けたが、残存機はのちにイスラエルによってフィンガー(Finger)規格に改修され、現在はミラージュ5Aマラーとともに第6航空群に配備されている。
[編集] スペック
- 初飛行:1969年
- 翼幅:8.22 m
- 全長:15.03 m
- 全高:4.50 m
- 翼面積:35.00 ㎡
- 空虚重量:6570 kg
- 離陸重量:13500 kg
- 発動機:SNECMA アター 09C-5 ×1
- 最大出力:60.80 kN
- 最高速度:2350 km/h / マッハ 2.2
- 巡航速度(高度11000 m):956 km/h
- 航続距離:4000 ㎞
- 戦闘行動半径:1200 km
- 実用飛行上限高度:17000 m
- 上昇力:3700 m/min
- 乗員:1 名
- 武装:30 mm機関砲 DEFA 552A(弾数125発) ×2、4000 kgまでの兵装、マトラ(Matra)R530/550マジック(Magic)空対空ミサイルまたはシャフリル(Shaffrir)空対空ミサイル、250 kg爆弾 ×4または400 kg爆弾 ×2または500 kg爆弾 ×2、各種ロケット砲等
[編集] 外部リンク
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