ハードコアテクノ
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ハードコアテクノ (Hardcore techno)は、「ハードコア」としてオランダの人々に知られており、1990年代初めから半ばからオランダのロッテルダム、アメリカのニューヨーク、オーストラリアのニューキャッスル含めた多数の場所で出現した電子音楽のスタイルである。音楽スタイルとしては、高速なテンポ(160-300BPM。時にはそれ以上)と、歪んだ機械的なビートと、リズミカルなサンプルの使用が特徴である。
単に「ハードコア」(Hardcore)と呼ばれる事も多いために、USAとロシアにあるエモーショナル・ハードコア (Hardcore emo)あるいはハードコア (Hardcore punk)と混同される事もある。
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[編集] 歴史
メスカリナム・ユナイテッド (Mescalinum United) の"We Have Arrived"(1990年)が、最初のハードコアテクノの曲であると考えられる事が多い。[1][2]
[編集] 作曲の手法
ハードコアテクノはミュージックシーケンサーを使用して作成される事が現在一般的である。以前はMODトラッカーによりパソコンで作成されていたものも多い。多くのハードコアテクノのミュージシャンは、コンピュータの持つ幅広い可能性を活用し、金銭的な見返りを顧みずに自己満足と新しい作曲手法を考案する楽しみのために曲を作成している。
[編集] ハードコアテクノの種類
ハードコアテクノが進化し続けるにつれ、異なったタイプのハードコアが出現し、ファンの増加やプロデューサーからも多くのサポートを引き付け始めた。 更に、新しくできたサブジャンルは、それぞれに特徴が明確となり、他のハードコアテクノとは明らかに異質なものへと進化した。 また、ハードコアテクノとは工員の単調作業を揶揄する表現でもある。
ハードコアテクノのサブジャンルと、同時期に派生したスタイル:
- オールドスクール (Old Skool)
- 通常、ハードコアテクノが発生して黎明期にあった90年代初期に作成された曲を指す。けたたましいピアノロールと跳ねるようなベースライン、それからブレイクビーツと安っぽい女性ボーカルの多用など、いわゆる古い「レイヴ」的な音が特徴。
- フリーフォーム (Freeform hardcore)
- ハードコアテクノからの派生というよりも、多くの電子音楽ジャンルの集積とみられる。フリーフォームは、テンポとリズムが似通っているためにハードコアテクノと呼ばれる事が多いが、むしろアシッドハウスやドラムンベースのような、他ジャンルの要素が大きく影響している。
- フレンチコア (Frenchcore)
- 独特なバスドラムを使用し、180-250BPMの間で振動している高速なハードコアスタイル。フランスではhardtekやteknoとも言われ、freetekというパーティーでよくプレイされている。ハードコアシーンに出現したのもそこからである。
- ガバ (Gabber)
- テンポは150BPM以上で、オランダと日本で最も人気が高い。
- ハッピーハードコア (Happy Hardcore)
- ハッピーハードコアは、おそらく最もポピュラーで、最も商業的に優れたものへと変化している。ポジティブで非常に活気溢れる曲調が特徴。
- ハードスタイル (Hardstyle)
- 難解なシンセリフと、4 to the floorのベースラインが特徴。通常、ズタズタに寸断されたサンプルが曲の中で何度もループしてプレイされる。
- スピードコア (Speedcore)
- 250BPMから、中には更に高速な1000BPMに至る曲もある。
- テラーコア (Terrorcore)
- 「恐怖」または「邪悪」なサンプルを使用して、曲へ気が狂ったような「テロ」感覚を与えている、オランダからの悪夢の贈り物。1990年代半ばから後期に渡り、オランダのロッテルダムで普及した。
- トランスコア (Trancecore)
- トランスのテンポを高速化したハードコアテクノのスタイル。最初に作成されたトランスコアの曲は、文字通りトランス曲をタイムストレッチしたようなものであった。やがて、リフやメロディーの要素を他のトランスから取り入れ、ハードコアなベースラインと高速なテンポのスタイルとなった。
ハードコアテクノのコミュニティーは、互いに密接に結び付いている。そして、地域によって多くのジャンル名や定義が異なっている。このため、ハードコアテクノのサブジャンル名が、「フランクフルトサウンド」や「フレンチサウンド」などのように、市や国によって分類されている事も多い。
[編集] 主なプロデューサー
- Anabolic Frolic
- Angerfist
- デルタ9 (Delta 9)
- DJ Brisk
- DJヒクシー (DJ Hixxy)
- DJ Mad Dog
- DJパニック (DJ Panic)
- DJシャープネル (DJ Sharpnel)
- Gammer
- Hellfish
- レニー・ディー (Lenny Dee)
- Luna-C
- メスカリナム・ユナイテッド (Mescalinum United)
- ナセンブルテン (Nasenbluten)
- ネオファイト (Neophyte)
- オマー・サンタナ (Omar Santana)
- ポール・エルスタック (Paul Elstak)
- DJプロモ (DJ Promo)
- ロッテルダム・テラー・コープ (Rotterdam Terror Corps)
- スコット・ブラウン (Scott Brown)
- シャーキー (Sharkey)
- Slipmatt
- Stormtrooper
[編集] 主なレーベル
- Drop Bass