パッケージ管理システム
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パッケージ管理システムとは、OSというひとつの環境で、各種のソフトウェアの導入と削除、そしてソフトウェア同士やライブラリとの依存関係を管理するシステムである。
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[編集] パッケージ形式
OSになんらかの追加インストールを行う場合には、いくつものパッケージ形式が使われる。
- 実行ファイルのアーカイブ
- Windows等でも一般的で、ほとんどのOSでも利用される。おもにZIP形式やLZH形式で配布される。
- 実行ファイル化されたアーカイブ
- MacOSやWindowsでよく使われる。実行ファイルのアーカイブにインストール処理を行う仕組みを追加した形式で、アイコンのダブルクリックだけでインストーラーが起動できる。InstallShieldなどがある。
- RPM形式パッケージ
- RedHat Linux用に開発されたパッケージ形式。RedHatのほかTurbo LinuxやVine Linux等でも利用される。
- deb形式パッケージ
- Debian GNU/Linux用に開発されたパッケージ形式。
- ports形式パッケージ
- FreeBSDで利用されるパッケージ形式。
- ソースアーカイブ
- Linux,FreeBSD等を含むUNIX系OS等で一般的であり、おもにtar.gz形式などで配布されている。利用者は、対象とするPC環境に合わせて、コンパイル等の作業を行った上でインストールする。
[編集] パッケージ管理システム
現在では、多くのOS環境で、パッケージ管理システムによる追加ソフトウェアの導入と削除が、多かれ少なかれ、行えるようになっている。そのようなシステムには、OSのバージョンや個別のソフト同士におけるバージョンのミスマッチを回避する仕組みも備わっている。
[編集] Debian系Linux
- dpkg
- deb形式パッケージを対象としたDebian GNU/Linuxで開発されたツール。
- apt
- deb形式を対象として開発されたツール。apt-get,apt-cache等の複数のコマンドから成る。配布パッケージの自動入手先として、インターネット,LAN,CD-ROM等をapt-lineとして複数指定することができる。追加インストールのほか、導入済パッケージのアップデート作業も自動処理できる。Debian GNU/LInuxから派生したMEPIS/Linux等では、Debian以外のapt-lineを用意することで、効率的なアップデート提供を行っている。
- aptitude
- CUI上で動くメニュー形式のツール。内部的にaptを呼び出す仕組みで、Debian GNU/LinuxのOSインストール中にも、aptitudeが呼び出されるようになっている。
- synaptic
- GUI(X Window System)上で動くメニュー形式のツール。内部的にaptを呼び出し処理する。
[編集] Redhat系Linux
- RPM
- rpm形式パッケージを対象としたRed Hat Linuxで開発されたツール。単純なインストールのほか、src.rpm形式やnosrc.rpm形式 + ソースアーカイブなどを使って、ソースからのrebuildを行いrpmパッケージを生成する機能もある。以下のパッケージ管理ツールはいずれもrpmを置き換えるものではなく、rpmをバックエンドとして利用し、より高度な機能を提供している。
- apt-rpm,aptitude,synaptic
- 本来deb形式対応のこれらのツールはrpm対応版が作成され、Fedora CoreやVine Linux等で利用されている。
- TurboPackage
- rpm形式パッケージを対象としたTurbo Linuxで開発されたツール。
- up2date
- rpm形式パッケージを対象にしたRed Hat社のパッケージ管理ツール。同社のRed Hat Enterprise Linuxで採用されている。Fedora Coreの古いバージョンでも利用可能だった。
- YaST
- rpm形式パッケージを対象としたSuSE Linuxで開発されたツール。YaSTは単なるパッケージ管理ツールではなく、統合的なシステム管理ツールである。
- yum
- rpm形式パッケージを対象としたYellow Dog Linuxで開発されたツール。Fedora CoreやCentOSでも利用できる。
[編集] rPath系Linux
- Conary
- ConaryはForesight LinuxやrPath Linuxにより採用され、RPM、CVS、Portageなどの優れた点を集め、さらにいくつか優れた機能を追加し、明解なリビジョン・コントロールを行う先進的な次世代パッケージ管理システムである。Conaryはアップデートされる必要があるパッケージにおいて、特定のファイルのみをアップデートするので、RPMやDEBなどパッケージ全体がダウンロードされる他のフォーマットよりも効率的である。
[編集] Gentoo Linux
- portage
- Gentoo Linuxでは、ソフトは原則的にソースをコンパイルしてインストールするようになっている。このため、PCごとに最適化された、無駄の少ない環境を構築できる。ただし、インストールに多くの時間がかかる。
[編集] FreeBSD
- ports
- 原則的にソースをコンパイルしてインストールするようになっている。このため、PCごとに最適化された、無駄の少ない環境を構築できる。ただし、インストールに多くの時間がかかる。
[編集] NetBSD
- pkgsrc
- 原則的にソースをコンパイルしてインストールするようになっている。このため、PCごとに最適化された、無駄の少ない環境を構築できる。ただし、インストールに多くの時間がかかる。また、OSには依存せず、NetBSD以外にも Linux や MacOSX、Solaris などでも使える。