X Window System
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開発元: | X.Org Foundation |
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最新版: | 7.1 / 2006年5月22日 |
評価版: | 7.2-RC3 / 2006年12月4日 |
対応OS: | クロスプラットフォーム |
種別: | ウインドウシステム |
公式サイト: | X.Org Foundation |
X Window System(エックスウィンドウシステム)とは、1980年代にマサチューセッツ工科大学で開発され、現在はX.Org Foundationにより管理されているウィンドウシステムである。前身は w というウィンドウシステムで、それの改良版ということで、英文字で1つ後のxが選ばれた。 現在はバージョン11リリース7(X11R7)である。
開発元の X.Org Foundation は、このソフトウェアを以下のいずれかの名前で呼ぶことを求めている。
- X
- X Window System
- X Version 11
- X Window System, Version 11
- X11
かつてはよく間違われたが、X Window Systemは「"X Window"というシステム」ではなく、「"X"というウィンドウシステム」である。また、X Windowsという表記は誤りである。
多くのUNIX系システムで標準のウィンドウシステムに採用されている。X自体はウィンドウの装飾には関与せず、ウィンドウマネージャと呼ばれる独立したプログラムを利用する。ウィンドウマネージャは、Window-Gadget(ウィジェット、Widget)や、いくつかの基本的アプリケーションを含むパッケージとして設計、配布されることが多い。
X の特徴は、Xプロトコルという、画面表示や入出力時に利用されるプロトコルがネットワーク透過であるということである。そのため、手元のマシンの表示と、遠隔のマシンとの表示で、表示方法に差がない。このことは、ネットワークを利用した、UNIXワークステーション群でGUI表示を行なうのに便利であり、UNIXマシンの普及と共に、Xも普及していった。
Xプロトコルに従って実際の画面にウィンドウを表示したり、入力デバイスからのウィンドウイベントを受け取るプログラムをXサーバ、Xが提供するライブラリ(XLib)や各種ツールキットを使ったGUIアプリケーションをXクライアントと呼ぶ。ユーザの視点から見ると、自分の近くにある端末の側で起動するのがサーバで、遠隔のコンピュータで起動するのがクライアントになっており、通常のサーバ・クライアントシステムとは逆の配置になっている。
Xプロトコル自身はハードウェア環境に依存しない。そのため、X Window System が動作するマシンはUNIXマシンだけとは限らない。Microsoft Windows上でXサーバを動作させる、通称PC Xサーバというソフトウェアや、ハードウェア(ファームウエア)でXプロトコルを処理する、通称X端末も存在する。特にX端末は、UNIXマシンが非常に高価な時代に、GUIだけを安価に表示、処理できる機器として良く利用された。
Xは、X.org によりサンプルの実装(ソースコード)が提供され、それを元に各種のプラットフォーム(OSやCPUアーキテクチャ)上で動作するように実装される。
目次 |
[編集] Xの実装
- XOrg XFree86 4.4 をベースに、X11R6.7.0が2004年4月にリリースされ、これが以後XFree86を置き換える可能性が高い。
- XFree86 Mac OS XやSolarisなどで使用されている。
[編集] PC Xサーバ
- Cygwin/X
- Accelerated-X
- METRO-X
- ASTEC-X(株式会社アールワークスが独自に開発したWindows上のXサーバ。唯一の国産製品。)
- MI/X
- XonWindows
- Xming X Server for Windows
[編集] Xで利用可能なツールキット群
[編集] リリース履歴
バージョン | リリース日 | 最も重要な変更 |
---|---|---|
X1 | 1984年6月 | 以前のシステム W から大幅に変更されたと言う意味で、最初のソフトウェアは X と呼ばれる。 |
X6 | 1985年1月 | いくつかの企業にライセンスされる |
X9 | 1985年9月 | 色機能追加。MIT License 下で初めてリリース |
X10 | 1985年後半 | IBM RT-PC、PC/AT(のDOS上)等のマシンでの動作 |
X10R2 | 1986年1月 | |
X10R3 | 1986年2月 | MIT の外部に初めてリリース。uwmが標準のウィンドウマネージャ。 |
X10R4 | 1986年12月 | X10 の最新バージョン |
X11 | 1987年9月15日 | 現在のプロトコルの最初のリリース |
X11R2 | 1988年1月 | Xコンソーシアムによる最初のリリース。[1] |
X11R3 | 1988年10月25日 | XDM。 |
X11R4 | 1989年12月22日 | アプリケーションの改善、新しいフォント、Twmが標準のウィンドウマネージャとして搭載される。 |
X11R5 | 1991年 | PHIGS、カラーマネジメント、X386。 |
X11R6 | 1994年5月16日 | ICCCM v2.0、ICE、Xセッションマネジメント、X同期拡張、Xイメージ拡張、XTEST拡張、Xインプット、X Big-Request拡張、XC-MISC、XFree86の変更。 |
X11R6.1 | 1996年3月14日 | Xダブルバッファ拡張、Xキーボード拡張、X Record拡張。 |
X11R6.2 | X11R6.2はX11R6.3の部分機能バージョン。R6.1からの新機能はXPrintと、Xlibにおける縦書きと、ユーザー定義文字のサポートのみ。[2] | |
X11R6.3 (Broadway) | 1996年12月23日 | Web機能、 LBX。Xコンソーシアムによる最後のリリース. |
X11R6.4 | 1998年3月31日 | Xinerama。[3] |
X11R6.5 | X.org の内部リリース。公開するためのものではない。 | |
X11R6.5.1 | 2000年8月20日 | |
X11R6.6 | 2001年4月4日 | バグ修正、XFree86 変更。 |
X11R6.7.0 | 2004年4月6日 | 初めて X.Org 財団としてリリース、XFree86 4.4rc2 に統合。完全なエンドユーザー向け配布。XIE、PEX、libxml2の除去。 [4] |
X11R6.8.0 | 2004年9月8日 | ウィンドウ透過, XDamage, Distributed Multihead X, XFixes, Composite, XEvIE。 |
X11R6.8.1 | 2004年9月17日 | libxpmセキリティ修正 |
X11R6.8.2 | 2005年2月10日 | バグ修正、ドライバのアップデート |
X11R6.9、X11R7.0 | 2005年12月21日 | ソースコードは同一。R7.0はモジュラー構造の最初のリリース。 |
X11R7.1 | 2006年5月22日 | BSD等のサポート、AIGLX。 |
X11R7.2 | 2006年11月(予定) | LBXの除去。XSecurity、ホットプラグのサポート。[5] |
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- XFree86
- X.Org Foundation
- Xi Graphics,Inc. (Accelerated-X の開発元)