ヒステリー
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ヒステリー(hysteria, ὑστερία)
- かつての精神医学において、転換症状と解離症状を主とする精神疾患群を指していた語。
- 転じて、一般の人がヒステリーと言う場合、単に短気であることや、興奮して感情のコントロールができなくなる様子のことをさすことが多い。本来の意味とは無関係に使用される場合が多く、しばしば蔑視のニュアンスを含む。
以下は精神医学用語として使われてきたヒステリーという語についての記述である。後述するように、現代の精神医学ではヒステリーの語は使われなくなっている。
ヒステリーの語は、女性に特有の疾患との誤解から子宮に原因があると誤って信じられていたため、古典ギリシア語で「子宮」を意味するὑστερικόςから名づけられた。19世紀後半にシャルコーの催眠術による治療を経て、フロイトにより精神分析的研究が行われ無意識への抑圧などの考察がなされた。その後しばらくヒステリーの治療は精神分析を主体としたものが主流であった。しかし1990年代より、精神疾患を原因で分類するのではなく症状で分類する方法が主体になり、1994年に発表された精神障害の診断と統計の手引き第四版(DSM-IV)では、この言葉は消失し、解離性障害と身体表現性障害に分類された。ICD10では、解離性[転換性]障害に分類される。この経緯については神経症と類似である。
このような経緯に加えて、「ヒステリー」が一般用語として雑多な意味に用いられていることから、現在の精神医学では基本的には「ヒステリー」という用語は使用しない。
かつてヒステリーに分類されていた精神疾患についての詳しい情報は、解離性障害、身体表現性障害の項を参照されたい。