ピートモス
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ピートモス (peat moss)とは、水ゴケ・アシ・ヨシ・スゲ・ヌマガヤ・ヤナギなどの植物が堆積し腐植化した泥炭(でいたん)を脱水、粉砕、選別したものであり、農業、園芸用土もしくは土壌改良材として用いられる。水ゴケが原料となるものが多いため「ピートモス=水ゴケ」と誤解される事があるが、両者は異なる。
主な産地はカナダ、北ヨーロッパ、サハリン、北海道などであり、産地により腐植の元となる植物の種類や構成比が異なることから、その物理的性質も多少異なる。通気性、保水性、保肥性が高く、有機酸を含むため通常酸性を示すが、石灰を加えて中性にしたものもある。土壌改良剤としては単品で使うほかにパーライトやバーミキュライトと混ぜて使用することも多い。
[編集] 流通形態と利用
一般的に圧縮して袋詰めされており、開封後水分を加えて元の体積に戻す。良くほぐし、適度に湿らせた状態で使用する。
[編集] 産地と特徴
- カナダ
- ヨシ、スゲ、ヌマガヤ、ヤナギ、水ゴケ
- 品質が良くて繊維が均一で細かいが、分解が早く効果は1年程度。流通量が多い。鉢植え、育苗などに適する。
- 北欧(デンマーク、リトアニア、ラトビア、ドイツ、フィンランド他)
- 水ゴケ
- 繊維が不揃いであるため分解が一度には進まず、効果が長持ちする。流通コストのため価格は高め。
- サハリン
- 水ゴケ
- カナダ産のものより安価。
- 北海道
- 水ゴケ、カヤ、ヨシ、スゲ
- カヤ、ヨシ、スゲなどの禾木科植物が堆積したものは分解が遅く、3~4年の利用ができる。また水ゴケのものに見られる撥水性がない。
※上記は一般的なもので、製造業者、原料採取地により異なることがある。
[編集] 注意点
特に水ゴケを主成分とするものは一度完全に乾燥させると撥水するようになり、再び水分を加えても完全には元に戻らないことがあるため、潅水には十分注意する。また汚泥のようになった細かいピートモスは通気性がなく、根腐れや病害の原因となるため用いない。
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