フェレンギ人
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フェレンギ人( - じん、Ferengi)はSFテレビドラマ『スタートレック』シリーズに登場する架空のヒューマノイド型異星人。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 身体
背は低く(平均身長1.5m)皮膚は褐色で、耳は大きい。耳は性感帯でもある。歯は先の尖った乱杭歯である。脳はヒューマノイドとしては特殊な構造をしており、ベタゾイド人に思考を読まれることがない。免疫力が強いらしく人間やその他の種族が感染するウィルスにも感染しない。女性は男性より耳が小さい。
出身であるフェレンギ星は絶えず雨の降る温暖多湿(というより、ジメジメとした)な惑星であるが、そのためか体毛は無く、頭皮は滑らかである。顔は凹凸に飛んでおり目の上には眉の代わりに太い畝があり、鼻は団子っ鼻で大きな鼻腔であるが、これも降雨で目に雨が飛び込み視界が遮られない・息を吸った時に鼻の穴から雨水を吸い込まないための変化かもしれない。
[編集] 特徴
嘘をつくこと・他人を騙すことに抵抗が無く、金儲けが全てに優先され、死ぬことよりも金儲けに失敗することに恐怖心を抱くほどである。その点は、名誉と力を重んじるクリンゴン人とは別ベクトルで地球人の感覚とは相容れない。特にスタートレック世界では異種族間の交流も盛んであり多くの文明社会では貨幣経済が廃れ、実質的な物々交換(互いに相手の欲しがる物資・情報を交換する)以外には成立しようが無いため、彼らのような金銭的利益優先主義は特異な社会様式である。
全285章からなる『金儲けの秘訣』を金科玉条として尊び、経済活動に勤しんでいる。作品中ではひたすら拝金主義が強調されているが、超フェイズシールドの開発(開発者は殺害されたが後にU.S.S.エンタープライズDで実用化される)に代表されるように科学力、技術力はかなり高い水準にあり、奇襲作戦なども得意とする。フェレンギの宇宙船デコラ級マローダーは宇宙艦隊のギャラクシー級宇宙艦に匹敵するほどの火力を有する。個人戦闘ではプラズマを発射できる鞭を愛用する。
彼らの勢力圏はフェレンギ同盟と呼ばれているが、その外でも多くのフェレンギ人が広範囲に渡り貿易や利益を求めて活動している。フェレンギ同盟の指導者(というより経営者)であるグランド・ネーガスはすべてのフェレンギ人の商取引を管理し、『金儲けの秘訣』を改訂する権限さえ持っている。
フェレンギにとって、惑星連邦側の人間は簡単に嵌め込まれたり裏をかき易い、お人よし種族だと舐めて掛かっている傾向もあるが、比較的最近まで貨幣経済をもっていたということで、歴史面で幾分親近感を抱いている節が見られる。一方で24世紀時点での惑星連邦側の人間は、過去の手痛い教訓からフェレンギ人を詐欺師か泥棒のように思っているようで、少なくとも強盗殺人のような非道を仕出かさないため余り強硬な態度はとらないものの、フェレンギ人がいるときは常に倉庫の在庫を調べる程度の警戒が見られる。
彼らの文明的な繁栄を見る限りは知能水準もかなり高いレベルに位置するようだ。しかし儲けを全てに優先させる姿勢はしばしば欲に駆られて後先考えないで事を進めてしまう傾向もあり、一見金儲けが出来そうなネタに飛びついて大災害や多大な迷惑を引き起こすことも、そう珍しいことではない(DS9)。
彼らの社会は無益な(=金にならない)争いを嫌うため、特定の国家などと対立していたり戦争状態になっていることも無い。ボーグやドミニオンは例外であるが、それは彼らボーグやドミニオンがフェレンギ人にとっては商売相手にはならないが財産を強奪しようとする相手だからということに過ぎない。少なくとも商取引が成立する相手であれば、フェレンギはどの種族にとっても「正直ではないが、金さえ出せばどんなものでも調達してくる」商人である。過去の遺恨は相手が利益を与えてくれるなら大抵は綺麗さっぱり忘れてしまう。しかし例外的に復讐心に燃えるフェレンギ人がいないでもないが、儲けの無い復讐は彼らの世界では恐ろしく不利益なこととして忌避されている。
通貨としてラチナムというレプリケーターなどで人工的に複製できない物質を用いている。金属としての金の価値もそれなりに認めており、惑星連邦の士官が付けているコミュニケーターに金が使われていることを「もったいない」と指摘する場面もあった。
拍手は手のひらと手の甲を合わせて行う。耳への愛撫(ウーマックス)を好み、彼らにとっては耳掻きは性的な行為に等しく、意中の相手に耳掻きをおねだりするなどといった行動も見られる。
どうやらアメリカ人から見た日本人、中国人のメタファーという説が有力である。
[編集] 文化
フェレンギ社会では女性は仕事に就くことも衣服をまとうことも許されておらず、完全な男尊女卑の世界である。なお女性が服を着ることは彼らの社会では「とんでもなく変態的なこと」であるらしく、クワークの母親はフェレンギ人女性にして類稀な商才に富み服も着るが、これがクワークにとっては悩みの種となっている。フェレンギの男は異星人の女性に惹かれることも多く、エンタープライズDに現れると決まって女性クルーに付きまとっている。
地虫やカタツムリを好んで食べるが地球人が食べるものなら大抵は食べられる。また酒類も嗜む。なお男のために硬い食べ物を噛んで柔らかくしてやるのも女の役目だとされている。
死んだフェレンギ人の体は粉末状に加工され、先物取引にかけられる(生前に大儲けした者ほど高く売れる)。フェレンギ人は神を信じないが来世は信じており、生前に大儲けした者は死後「聖なる宝物殿」という(いわゆる)天国に迎えられるが、逆にまったく儲けることが出来なかった者は「永遠なる貧困の世界」に落とされると考えている。また「聖なる宝物殿」には初代グランド・ネーガスのギントが住み、死者達が次の命を買うための競売所を経営しているとされている。
[編集] 歴史
年代は地球の西暦を基準とする。
- (24世紀から)約1万年前、初代グランド・ネーガスのギントらによって金儲けの秘訣が編纂される。
- 異星人からワープドライブ技術を購入する。
- 2151年、フェレンギの海賊が地球船エンタープライズ (NX-01) を襲撃。但し、地球人にはその正体を知られなかった。
- フェレンギ船とジャン=リュック・ピカード指揮のU.S.S.スターゲイザーが交戦。但し、惑星連邦側にはその船籍を知られなかった(マクシアの戦い)。
- 2364年、デルファイ・アーデュー星系で惑星連邦と正式にファーストコンタクト。
- 2370年、ガンマ宇宙域のドミニオンとファーストコンタクト。アルファ宇宙域の勢力としては初。
[編集] 主な戦艦
- マローダー
[編集] 支配下の星
[編集] 代表的なフェレンギ人
- グランド・ネーガス - ゼク(24世紀後半)
- クワーク - ディープ・スペース・ナインにあるバーの経営者。
- ロム - クワークの弟。
- ノーグ - ロムの息子。フェレンギ人初の宇宙艦隊士官。
- イシュカ - クワークらの母。「進歩的」な女性。
- ブラント - フェレンギ会計監査局 (FCA) のエージェント。