男尊女卑
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男尊女卑(だんそんじょひ)は男性の社会的地位が高く、女性の社会的地位が低い制度、もしくはその傾向を推奨・肯定する思想を指す。
目次 |
男尊女卑の歴史
日本
日本の近代以前、特に武家社会では、女は跡取りを生み出すためだけの存在とされ、実際には夫が不妊であった場合でも常に女の側に責任が押し付けられ「石女」(うまずめ)と非難された。たとえ子供を産んでも、跡取りとなる男子を産まない場合は、非難の対象となった。
古代では女の地位は比較的高かったが、平安時代後期には仏教思想を背景に女を不浄と見る価値観が広がり(但し、仏教自体に男尊女卑の思想があるわけではなく、修行僧向けの訓戒として淫蕩の弊害が説かれている事が、女性嫌悪的に解釈された)、中世においては武士社会を中心に、男尊女卑の風潮が広まった。
江戸時代になると、江戸などの武士の町では人口に対する男性の割合が高くなった。これにより離婚(当時は珍しくなかった)すると男性は再婚できなかったとみられ、女性は大切にされた。また、農村部では全員が重要な働き手であるため農業も分担されていたし、地域によっては長子が男女にかかわらず優先的に相続権をもつ(姉家督)など、娘は息子同様に大切にされていた。ただ、男性のほうが一般的に力があることから男子をたくさん産むことは重要であった。
明治時代になると、武士の家族制度をもとにした家制度が国民全体に適用され、農家などにおいても、男性の権力が強くなったといわれる。大正時代には、工業化とサラリーマンの発生により、「男は仕事、女は家庭」という性別役割分担が生まれ、都市化の進んだ第二次世界大戦後は国民の多くに性別役割分担が受け入れられた。
日本以外
中国の歴史で、女性が政治の実権を握った場合もないわけではないが、多くは男性の皇帝の名代という形式を取らざるを得なかった。女で皇帝になったのは、唐の時代に武周を立てた武則天のみである。
今でこそ、欧米では選挙の候補者が女性という場合もあるが、欧米であっても女性参政権が実現するまでには大変な努力を要した。男は社会に出て働き、女はそれを支える存在との観念が徹底していたからである。欧米では、産業革命によって社会の専業化が進んだためこうした傾向が強かった。
マイケル・ムーアはアメリカ合衆国の熾烈な男尊女卑社会をThe N-WORDと同様の表面的な取り繕いに終始する社会として批判すると同時に、ウーマンリブを謳いながらも結局はセックスシンボルとして扱われたがる同国の女性達の態度を皮肉っている[要出典]。
現代の男尊女卑
1970年代以降、日本や欧米では女性の社会進出が進んだ。背景としては、主に男性によって担われていた第二次産業から、男女ともに同条件で働きやすい第三次産業へと先進国の労働需要が変化したことがあった。但し、女性の社会進出が比較的早かった北欧諸国は、女性が第二次産業に従事する権利を主張した時代(1960年代以降)もある。
中国でも、中華人民共和国成立後は男尊女卑の伝統が大きく変革された。都市部で女性の社会進出がすすみ、家庭においてはむしろ女性の方が主導権を握る傾向にある。現代中国では子育ては祖父母が中心的に担うので、夫婦共働きが当然のことと考えられている(中国は専業主婦はほとんどいない)。一方農村部では祖先崇拝の伝統が根強く、祭祀を担当する男性を尊重する男尊女卑の風潮が未だ根強い。
海外では、日本は男尊女卑の強い国というイメージを持っている者が多く、そのために日本独自の習慣・文化・伝統・決まりごとなどの多くを男尊女卑によるものと解釈している場合がある。日本の女性(特にフェミニスト)には、そのような海外からの情報を、いわば「逆輸入」して日本人男性への批判に用いる者も多い[要出典]。
また、日本においては、男女平等が徹底した職場ほど女性の離職率が高いという説を唱える者もいる。これは、比較的平等な職場では、男尊女卑的な職場に比べて女性の権利が強くなる一方、それまで当たり前に主張されてきた権利(例:定時退社など)が認められなくなるためとされる。女性だけはなく、男性の社会的立場をより柔軟にしていく必要性を唱える者も少なくない(参考:男女共同参画社会・ジェンダーフリー)。また男女平等というのは男女同権を意味することが多く義務や責任の平等は叫ばれていない[要出典](日本女性は他罰的で義務感が薄いという主張[要出典])。
世界経済フォーラムは2006年、世界各国の男女差別の度合いを指標化した「男女格差報告」(Global Gender Gap Report 2006)を発表したが、日本は世界115カ国中79位と、途上国並みの最低の評価となり、日本女性が責任を伴った影響力のある仕事に就いている割合などが低いといった実態が浮き彫りになった。
政治家の男尊女卑発言
- 菅直人(民主党代表代行)「東京は子供の生産性が最も低い」(2007年1月)[要出典]
- 柳澤伯夫(現厚生労働大臣)「女性は産む機械。その装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらわないといけない」(2007年1月)
- 石原慎太郎(現東京都知事)「文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババァ」(2001年11月)
- 森喜朗(元総理大臣)「子供を一人もつくらないで自由を謳歌した女性が、老後は税金で面倒をみなさいというのは本当はおかしい。子供を育てた女性に感謝するのが本当の福祉だ」(2003年6月)[要出典]
- 太田誠一(元総務庁長官)「集団レイプする人は、まだ元気があるからいい」(2003年6月)[要出典]
- 福田康夫(元官房長官)「女性にも、いかにもしてくれっていうの、いるじゃない。そういう格好をしている女性の方が悪いんだ」(2003年6月)[要出典]
- 三浦朱門 (元文化庁長官) 男性として女性を暴行するのは最も恥ずべきことだけれども、できないのもまた恥ずべきことである (1985年6月) 第102回国会 文教委員会録
外部リンク
関連用語
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