ヘレナ (モンタナ州)
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ヘレナ(Helena)は、アメリカ合衆国モンタナ州の州都。同州西部、ロッキー山中に位置する。市域人口は25,780人(2000年国勢調査)だが、周辺地域を含めると67,636人に達する。
アメリカ西部の多くの都市同様、ヘレナもまた、19世紀後半のゴールドラッシュによって人が集まってできた町である。1864年にジョージア州などから西部へとやってきた4人組によって砂金が発見され、町が建設された。
ヘレナの別名をQueen Cityという。また、ヘレナは俳優ゲーリー・クーパーの生まれた町でもある。
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[編集] 歴史
1864年10月30日にFour Georgians(4人のジョージア人)と呼ばれる4人組によってラスト・チャンス・クリーク(Last Chance Creek)で砂金が発見され、ヘレナの町は創設された。ヘレナのメインストリートはラスト・チャンス・ガルク(Last Chance Gulch)と呼ばれ、ダウンタウンの歴史地区を曲がりくねりながら、もとの川筋に沿って通っている。
町ははじめ「4人のジョージア人」のひとり、ジョン・クラブ(John Crab)の名を取ってクラブタウン(Crabtown)と名付けられた。しかし、砂金目当てに次々と人がやってくると、町名変更の機運が高まった。そこでジョン・サマービル(John Summerville)は生まれ故郷であるミネソタ州セント・ヘレナの名をつけることを提案した。しかし多くの砂金採掘夫たちには「ヘレナ」という発音が受け入れられず、「地獄」を意味するHellとかけて「ヘルェナ」と発音された。そこで「セント」は不要とされ、「ヘレナ」のみが残って町の名前になった。
1888年までには、およそ50人の億万長者がヘレナの町に住んでいた。この頃人口当たりの億万長者の数は世界一であった。ラスト・チャンス・ガルクからは現在の36億米ドル相当の砂金が20年以上にわたって採掘された。ラスト・チャンス砂金採掘場はアメリカ西部で最も有名な採掘場であった。
現在では、当時の採掘場跡の多くは地下に埋もれている。
[編集] 4人のジョージア人
「4人のジョージア人」と呼ばれる、ジョン・コーワン(John Cowan)、D.J.ミラー(D.J.Miller)、ジョン・クラブ(John Crab)、レジナルド・"ロバート"・スタンレー(Reginald "Robert" Stanley)の4人組は、実際はコーワンのみがジョージア州出身であり、ミラーはアラバマ州、クラブはアイオワ州、スタンレーはイギリスと皆出身地が異なる。しかし砂金採掘において「ジョージア・スタイル」を取っていたため、このように呼ばれていたものと考えられている。
「4人のジョージア人」には異説もある。ジョージア州のある系譜学者[1]は、前述のジョン・コーワン、コーワンの甥フランク・コーワン(Frank Cowan)、ヘンリー・ハスク(Henry Rusk)、ビル・パーマー(Bill Palmer)で、4人ともジョージア州出身で互いに知り合いである、という説を立てている。コーワンが両方の説に含まれていることから、7人でヘレナのラスト・チャンス砂金採掘場で採掘を行っていた可能性もある。
[編集] 地理
ヘレナは、北緯46度35分45秒西経112度1分37秒(46.595805, -112.027031)GR1に位置している。
アメリカ合衆国統計局によると、ヘレナ市は総面積36.3 km² (14.0 mi²) である。市の全域が陸地であり、水地域はない。
[編集] 気候
ヘレナは高緯度にあり、かつ内陸で標高が高いため、夏は冷涼で、冬は非常に寒い。またロッキー山脈の東麓であり、偏西風の風下になるため、1年の大半は降水量が少ない。ケッペンの気候区分では乾燥帯のBS(ステップ気候)に属するが、気温では亜寒帯である。
[編集] 市内および周辺の見どころ
ヘレナにはゴールド・ラッシュ時代の歴史的な建築物が多く、重要な観光資源となっている。また、周辺にはロッキー山脈の大自然や原野が広がっている。
- モンタナ州会議事堂
- タワー・ヒル(Tower Hill)
- シビック・センター(Civic Center)
- セントヘレナ大聖堂(Cathedral of Saint Helena)
- モンタナ歴史社会博物館(Montana Historical Society Museum)
- ラスト・チャンス・ツアートレイン(Last Chance Tour Train) - 上記博物館前から出発し、ダウンタウンの歴史地区をめぐるガイド付きのツアー
- 大陸分水嶺(Continental Divide)
- ヘレナ山市立公園(Mt.Helena City Park) - 高さ5,460フィート(1,664m)
- スプリング・メドウ湖州立公園(Spring Meadow Lake State Park)
- ヘレナ湖(Lake Helena)
- ヘレナ国有林(Helena National Forest)
- ビッグベルト山地(The Big Belt Mountains)
- ゲート・オブ・マウンテンズ・ウィルダネス(The Gates of the Mountains Wilderness)
- ミズーリ川(The Missouri River)
- キャニオン・フェリー湖(Canyon Ferry Lake)
- エルクホーン山地(The Elkhorn Mountains)
- グレート・ディバイド・スキーエリア(Great Divide Ski Area) - ヘレナ北西郊のゴーストタウン、マリスビル(Marysville)の近くにある。州の他地域と比べて雪が少ない(乾燥しているため)ので、しばしばThe Rockと呼ばれる。
[編集] 交通
市の玄関口となっている空港はダウンタウンの北東約3kmに位置するヘレナ地域空港である。ソルトレイク・シティ国際空港やミネアポリス・セントポール国際空港からの便がある。
市内を州間高速道路I-15が通っている。北はグレートフォールズを通り、カナダ国境を越えてカルガリー・エドモントンへと通ずる。南はソルトレイクシティ・ラスベガス・サンディエゴへと通じている。
アムトラックはモンタナ州北部を通るため、ヘレナには駅はない。また、グレイハウンドの便もなく、同社と提携しているリムロック・トレイルウェイズのバスが州内各都市へと通じている。
[編集] 人口動静
2000年現在の国勢調査で、ヘレナ市は人口25,780人、世帯数11,541、6,474家族が暮らしている。人口密度は710.5人/km² (1,840.7人/mi²) である。334.4軒/km² (866.3軒/mi²) の密度で12,133軒の住宅が建っている。
同市の人口構成を人種別に見ると白人94.78%、アフリカン・アメリカン0.23%、ネイティブ・アメリカン2.10%、アジア人0.78%、太平洋諸島系0.07%、その他の人種0.38%、及び混血1.66%である。人口の1.67%はヒスパニックまたはラテン系である。
同市の11,541世帯のうち、18歳未満の子供がいる世帯は27.1%、結婚・同居している世帯は42.5%、未婚・離婚女性が世帯主である世帯は10.4%、非家族世帯は43.9%である。単身世帯は37.5%、65歳以上の老人1人暮らしの世帯は11.3%である。世帯の平均構成人数は2.14人、家族の平均構成人数は2.83人である。
同市の人口構成を年齢別に見ると18歳未満22.4%、18-24歳11.1%、25-44歳26.6%、45-64歳26.0%、65歳以上13.9%となっている。年齢の中央値は39歳である。性比は女性100人あたり男性91.0人である。18歳以上では女性100人あたり男性は87.6人である。
同市の世帯の収入の中央値は34,416米ドルであり、家族の収入の中央値は50,018米ドルである。収入の中央値を性別で見ると男性34,357米ドルに対して女性は25,821米ドルである。同市の1人当たり収入 (per capita income) は20,020米ドルである。人口の14.5%及び家族の9.3% は貧困線以下である。18歳未満の16.4%及び65歳以上の8.3%は貧困線以下の生活を送っている。
[編集] メディア
ヘレナの地元新聞紙はインディペンデント・レコード(Independent Record)という。日刊および日曜版、1日約14,000部を刊行している。また、クイーン・シティ・ニュース(Queen City News)という、ヘレナ市の別名を冠した無料の週刊新聞もある。
[編集] 外部リンク
- City of Helena web page
- Helena, Montana (Travel Montana)
- Lewis and Clark County web page
- Tower Hill(英語版)
- Civic Center(英語版)
- Cathedral of Saint Helena(英語版)
- Historical Narratives: HELENA MINING DISTRICT(英語版)
- Helena, MT(Yahoo!Map地図)
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