ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法
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通称・略称 | PCB処理特別措置法 |
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法令番号 | 平成13年法律第65号 |
効力 | 現行法 |
種類 | 法律 |
主な内容 | ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理など |
関連法令 | 環境法 |
条文リンク | 総務省法令データ提供システム |
ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(ぽりえんかびふぇにるはいきぶつのてきせいなしょりのすいしんにかんするとくべつそちほう)平成13年(2001年)6月22日法律第65号
最近改正:平成15年6月18日
略称:PCB特措法
ポリ塩化ビフェニルが人の健康及び生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質であることのより、我が国においてポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管、処分等について必要な規制等を行うことにより、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理のための必要な体制を確実かつ適正な処理を推進し、国民の健康の保護及び生活環境の保全を図ることを目的としている。(第1条の1)
目次 |
[編集] 策定の背景
ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、1968年のカネミ油症事件などで毒性が社会問題化し、PCBの製造・輸入は1972年から行政指導によって製造が中止され、化審法の制定(1973年)によって事実上禁止された。またPCBを含む機器・複写紙あるいは廃棄物(ウエスなど)は、事業者により自己保管することとなった。
1976年の廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)の改正よりPCBあるいはPCBを含む廃棄物は特別管理産業廃棄物に指定され廃棄方法として高温焼却による処理を認められたものの、事実上、処理・処分ができなかった(ごく限られたPCB廃棄物のみ実験的に処理が許可された)ため、PCB廃棄物は30年に渡り、ほとんど廃棄処分されずに事業者により保管され続けていた。
一方、厚生省はPCB使用機器保管状況調査結果を1993年および2000年に公表したが、保管中のPCB廃棄物が多数紛失していることが判明し社会問題となった。
そこで、2001年に保管されているPCBの確実かつ適正な処理の確保のため、PCB処理特別措置法を制定した。
なお、2002年には、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)を日本が締結し(2004年に条約発効)、PCB廃棄物の適正管理及び処理が国際的にも求められることとなっている。
[編集] 施行状況
2002年には本PCB処理特別措置法が施行されたことで、PCB含有機器を使用したりPCB廃棄物を保管する者は、監督官庁にPCBを含む機器とPCB廃棄物とについて設置・保管状況とその数量を毎年報告することが義務付けられた。
2003年には環境省が「PCB廃棄物処理基本計画」を策定し、PCBの廃棄処理の為のインフラ整備に乗り出した。
[編集] 規制と罰則
PCB廃棄物の保管事業者は、平成28年までに処理することを義務づけている。また罰則も規定されている。
- 平成28年7月15日までに適正処理を行わず、環境大臣または都道府県知事による改善命令に違反した場合:3年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金まはた併料。
- PCB廃棄物を譲り渡し、または譲り受けた場合(環境省が定める場合を除く):3年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金まはた併料。
- PCB廃棄物の保管および処分について届け出を行わなかったり、虚偽の届け出をした場合:6ヶ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金。
- PCB保管事業者の相続、合併または分割により事業を継承した法人が承継の届け出を行わなかったり、虚偽の届け出をした場合:30万円以下の罰金。
このほか規制と罰則には、廃棄物処理法にも規定がある。同法による内容は、具体的には以下の通り。
- PCB廃棄物を不法に投棄した場合:法人には1億円以下の罰金。
- PCB廃棄物の収集運搬や処分を無許可で営業したり、措置命令に違反した場合:5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金まはた併料。
- 許可を受けていない収集運搬・処分業者に委託した場合:5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金まはた併料。
- マニフェストに虚偽の記載をした場合:50万円以下の罰金
- PCB廃棄物の管理責任者を置かなかった場合:30万円以下の罰金
[編集] 構成
- 第1章 - 総則(第1条~第7条)
- 第2章 - ポリ塩化ビフェニル廃棄物の規制等(第8条~第12条)
- 第3章 - 雑則(第13条~第23条)
- 第4章 - 罰則(第24条~第27条)
- 附則