マオウ
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マオウ(麻黄)は裸子植物グネツム綱マオウ科に属する常緑低木の総称で、ユーラシア(中国からヨーロッパの地中海沿岸)、北アフリカ、南北アメリカ大陸の乾燥地に1属50種ほどが分布する。
葉は退化して鱗片状になっている。高さは数十cm、茎は節で分岐する。雌雄異株で、花(胞子葉穂)は胞子葉が松かさ状に重なり節につく。
[編集] 生薬
特に中国北部などの砂漠地帯に分布するフタマタマオウ(Ephedra distachya:双穂麻黄)やシナマオウ(E. sinica:華麻黄、これらは同種ともされる)などに地下茎が、古くから生薬の麻黄として用いられた(日本薬局方においては、E. sinica、E. intermedia、E. equisetinaを麻黄の基原植物としている)。
これには気管支喘息に効果のある成分エフェドリンが含まれる。1885年、長井長義によってこれに含まれる天然物エフェドリンが発見されたが、当時はその効果は知られず(当時漢方医学が無視されていたためか)、気管支喘息治療に有効であることが明らかにされたのはずっとのち、1924年のことであった。
アメリカなどではエフェドラと称してダイエット用に用いられたが、危険性が指摘されて多くの国で禁止された(エフェドリン参照)。アメリカでは自生種を先住民が茶のように飲用したこともある。また古代インド・イランの古文献に見える飲料ソーマやハオマ(向精神作用があるとされる)も、マオウではないかとする説がある。