マグネシウム合金
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マグネシウム合金(マグネシウムごうきん)は、マグネシウムを主成分とする合金である。エレクトロン、ダウメタルとも呼ばれる。
- 軽量であること
- 内部損失(内部摩擦)が大きい(振動や衝撃を吸収しやすい)
- 電磁波遮蔽能が高い
- 天然資源が豊富で、リサイクル性にもすぐれている
などの特徴を有し、近年特に携帯用電子機器の筐体に用いられている(2004年現在)。
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[編集] 規格
ASTMが一般に使用される。マグネシウムに関する JIS 規格は ASTM 準拠である。
[編集] 合金成分
マグネシウム合金の添加元素として最も基本的なものはアルミニウムと亜鉛である。この2種を含むマグネシウム合金は、ASTMの定めるAZ(Aはアルミ、Zは亜鉛を表す)から始まる呼称で呼ばれる。
通常のマグネシウム合金は燃焼しやすいが、カルシウムを数%添加して燃焼開始温度を200~300℃上昇させた難燃性マグネシウム合金も開発されている。
アルミニウムを3%、亜鉛を1%添加したAZ31合金は比較的塑性加工しやすいため、主に圧延や押出加工で製品が製造されている。一方、アルミニウムを9%、亜鉛を1%添加したAZ91合金は、鋳造・ダイカスト・チクソモールディングなどの溶融加工法に用いられている。
耐熱性や機械的性質の向上のため、少量の希土類元素を添加した合金も開発されている。
結晶構造を変形しやすい体心立方晶にする目的と、さらなる軽量化を狙い、原子量の小さいLiを用いたMg-Li基合金も開発されている。現在 ASTM で規格化されているものは LA141 (Mg-14%Li-1%Al 合金)だけであるが、ラボレベルではLiを37%含有する合金が開発されている。この合金の密度は0.96 Mg/m3であり、水よりも軽い。
[編集] 他の材料との比較
[編集] 利点
- 同じ軽合金に分類されるアルミニウム合金と比較すると、アルミは密度2.7Mg/m3で、ヤング率が70GPaであるのに対して、マグネシウムは1.74Mg/m3で42GPaである。つまり、マグネシウム基合金の方が比強度においてはやや劣るわけだが、軽量部材への展開が期待されるという点が利点であろう。
- アルミニウムと比較して切削性は良く、加工しやすい。
[編集] 欠点
- 水、アルコール、各種酸と反応する。つまり耐腐蝕性が低い。
- 室温域での変形能が低い。特に、工業部材製造に一般的に用いられるプレス加工や絞り加工が室温域ではほぼ不可能である。
- 切削で生じた切粉が非常に燃えやすい。発火時に水で消火を試みると水素爆発する。
- 切粉を水中に投入すると水素を発生する。滞留した場合には爆発する可能性もある。
[編集] 実用例
- 航空機
- 小型飛行機のホイール
- ジェットエンジンのギアボックスハウジング
- 自動車
- スポーツカー、レースカーのホイール
- オイルパン
- 自動変速機ミッションケース
- ステアリングホイール芯金
- 自転車
- リム、フレーム
[編集] 参考文献
- 「化学の世界記録集」 『化学』編集部編