ミス・サイゴン
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『ミス・サイゴン』は、イギリス、アメリカ、日本他で公演されているミュージカル。原題は『Miss Saigon』。
作詞家のアラン・ブーブリルが、ベトナム人少女が元GI(アメリカ軍兵士)の父親の待つアメリカへ出発しようとしている写真を入手し、そこからアイデアを受けて創作された。ジャコモ・プッチーニ作イタリア・オペラ『蝶々夫人』とフランス戯曲『マダム・クリサスマム』をストーリーのベースにしている。
ベトナム戦争末期のサイゴンの売春バーで働くベトナム人少女キムとアメリカ大使館で軍属運転手を務めるクリスの悲恋が描かれている。
『レ・ミゼラブル』を製作したクロード・ミシェル・シェーンベルグとブーブリルのコンビの超大作として、ロンドンでは開幕前から話題が沸騰し、1989年にウエスト・エンドドルリーリーン劇場で開幕した。主演のキム役はレア・サロンガ、モニク・ウィルソンのフィリピン人女優が起用された。後に、森尚子が日本人女優初のウエストエンド主演を果たしている。
アメリカではブロードウェイのブロードウエイ劇場で1991年4月11日初演、2001年1月28日まで9年9ヵ月のロングラン公演となった。
オリジナル・ロンドン・キャスト及びオリジナル・ブロードウェイ・キャストにおいて、狂言回しのエンジニア役にはジョナサン・プライスが配され好演しているが、アジア系俳優を配しなかったためかフランス系の私生児という設定となっている。その他、アジア系民族に対する偏見が強いとして、ニューヨーク公演時にアジア系俳優を中心とした俳優組合からボイコット寸前にまでなった経緯がある。
[編集] 日本での公演
日本では東宝が製作権を入手し、1992年4月に帝国劇場で開幕した。
コンピューター制御での大掛かりな舞台セットで、劇中に実物大のヘリコプターが登場するなど話題を呼んだ。
キム役には、当時アイドルであった本田美奈子が当てられ、好演し話題を呼んだ。配役発表当時、エンジニア役はダブルキャストで市村正親と治田敦が配されていたが、演出上の関係もあって、結局、治田は1回もエンジニア役を演じることはなかった。開幕8ヶ月後に笹野高史が同役に追加されている。504日間、745ステージ、観客数111万人という当時では空前の記録を残し1993年9月に閉幕した。
日本初演時、バンコクの歓楽街でポン引きに店に誘われる観光客は国籍不明(明らかにどこの国の人かはわからない)だったが、再演時には他国同様、日本人のツアー客に変更されていた。
2004年に12年ぶりに同劇場にて再演された。キム役には松たか子、知念里奈、新妻聖子、笹本玲奈、エンジニア役は引き続き市村正親のほか、筧利夫、橋本さとし、別所哲也らが演じていた。