東宝
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種類 | 株式会社 |
市場情報 | |
本社所在地 | 100-8415 東京都千代田区有楽町一丁目2番2号 東宝日比谷ビル10~12階 |
電話番号 | 03-3591-1214(本社総務部) |
設立 | 1932年(昭和7年)8月 (株式会社東京宝塚劇場として設立) |
業種 | 情報・通信業 |
事業内容 | 映画事業・演劇事業・映像事業など |
代表者 | 代表取締役会長 松岡功 代表取締役社長 高井英幸 |
資本金 | 103億5,500万円(2006年2月28日現在) |
売上高 | 単体:1,034億円(2006年2月期) 連結:2,029億円(2006年2月期) |
従業員数 | 336人(2006年5月1日現在) |
決算期 | 毎年2月末日 |
主要株主 | 阪急阪神ホールディングス(12.06%、同社の持分法適用会社) 阪急不動産(8.01%) 阪急百貨店(7.23%) など |
関係する人物 | 小林一三 |
外部リンク | www.toho.co.jp/(公式サイト) |
特記事項:1943年12月に東宝株式会社へ商号変更。 |
東宝株式会社(とうほう、Toho Co., Ltd.)は、映画・演劇の製作配給および興行会社。一般には映画会社として知られる。阪急阪神ホールディングスの持分法適用会社で、2007年現在、直営演劇劇場2劇場(帝国劇場、新館シアタークリエ(2007年11月リニューアルOPEN予定)を保有する。阪急阪神ホールディングス、阪急百貨店とともに、阪急阪神東宝グループの中核企業となっている。本社は東京都千代田区有楽町一丁目2番2号。
目次 |
[編集] 歴史
[編集] 発足と急成長
1932年8月に阪急電鉄の小林一三によって株式会社東京宝塚劇場として設立される。1934年に東京宝塚劇場を開場の後、有楽座、日本劇場、帝国劇場を所有し、日比谷一帯を傘下に納め、浅草を手中に収める松竹と東京の興行界を二分するに至る。
一方、会社設立前年に創設された、トーキー制作のための写真化学研究所(Photo Chemical Laboratory(通称 PCL))は、1937年関連会社と合併し、東宝映画株式会社となる。東京宝塚劇場株式会社は、1943年これを合併し、映画の製作・配給・興行および演劇興行の一貫経営に乗り出し、社名を東宝株式会社と改めた。なお、その名前の由来は「東京宝塚」の略である。
戦中、東京宝塚劇場、日本劇場は風船爆弾工場となり、その東京宝塚劇場が戦後は進駐軍専用のアーニー・パイル劇場と改名されて10年間観客としての日本人立入禁止となるなど、歴史の証人を演ずることになる。
[編集] 林長二郎事件
設立時、他社から多くのスターを驚くほどの高給で引き抜いた。1937年11月12日、天下の二枚目林長二郎が、左顔面を耳下から鼻の下にかけて、斜めに切りつけられ、骨膜に達する重傷を負う。犯人のヤクザは、この秋、長二郎が松竹から東宝に移籍したことから、松竹系の新興キネマ京都撮影所長の永田雅一らに教唆され、犯行におよんだものと判明した。事件後、林長二郎はこの名を松竹に返し、本名の長谷川一夫を名乗るようになった。
[編集] プロデューサーシステム
東宝の資本とPCLの技術の上に映画の興行面で展開をもたらしたのは製作における予算と人的資源の管理を行うプロデューサー・システムの本格的導入であり、これをもたらしたのがアメリカ帰りの森岩雄とされる。松竹の城戸四郎、日活の根岸寛一と並び称される森だが、この分野における足跡は大きい。PCL時代より民主的な社風で知られ、監督や大スターでも個室がなく、大物に対しても「さん」付けや「ちゃん」付けであった。巨匠監督も部下の助監督や名もない俳優を「さん」付けや「ちゃん」付けで呼んだ。歌舞伎の因習やヤクザっぽい親方子方気質を引きずった封建的な他の映画会社の体質を公然と批判した。他社のようにスタッフや俳優を縁故採用に頼るのではなく公募を戦前より行い、優秀な人材を得た。(しかしその優秀な人材が戦後の東宝争議の中心メンバーとなったため、後に縁故採用を強化し、権力に逆らわない人材を入れる傾向に変わっていった。)
[編集] 東宝争議とその後の混乱
1946年から1950年にかけて、経営者と労組の対立が激化し、1948年8月には撮影所を占拠した組合員に対し武装警官や占領軍の戦車や飛行機まで出動するまでに至る。世に言う東宝争議であり「来なかったのは軍艦だけだ」と形容された。この間、大スターや有名監督の大半は第三組合によって設立された新東宝で活動を続け、東宝は再建不能とまでいわれた。
だが、そのことで入社したての三船敏郎らがすぐに主役として抜擢され、若い監督も活躍の場を得やすい状況になった。
[編集] 日本映画黄金時代
1950年代に迎えた日本映画の黄金時代に、黒澤明作品や円谷英二作品を始めとする諸作品によって隆盛を極め、映画の斜陽化が始まった1960年代にも無責任シリーズや若大将シリーズでヒットを飛ばす。また、社長シリーズや駅前シリーズなど安定したプログラムピクチャーの路線を持っていたことも強みだった。
1959年にはニッポン放送、文化放送、松竹、大映と共にフジテレビを開局。テレビにも本格的に進出する。
[編集] 映画斜陽期へ
1969年~1978年に東宝チャンピオンまつりとして子供向け映画を上映。
1970年代になると映画製作本数は急激に減り、テレビドラマも制作するようになり、『太陽にほえろ!』、『俺たちは天使だ!』などがヒットした。
[編集] 現在
1990年代に入ると、自社での邦画制作は「ゴジラシリーズ」を除き行われなくなり、主にテレビ局が製作した映画を配給し、成功をおさめた。
2000年以降は、ワーナー・マイカル・シネマズが優位に立っていたシネコン市場に本格的に参入し、2003年のヴァージン・シネマズの買収でグループ企業のスクリーン数ではNo.1を誇る。現、TOHOシネマズ株式会社
その後も、日本映画界、興行界に不動の地歩を占めつづけ、現在に至っている。
2006年には、年末年始恒例の東宝特撮映画が全く制作されない。東宝特撮映画がゼロになるのは、1990年以来になる(ただ、06年7月公開の「日本沈没」を東宝特撮映画と捉えれば、話は別)。
[編集] 映画
[編集] 主要作品
(適宜追加のこと)
- 1930年代
- 人情紙風船
- 妻よ薔薇のやうに
- エノケンのちゃっきり金太
- 1940年代
- 1960年代
- 昭和ゴジラシリーズ(60年代はキングコング対ゴジラを始めとする8作品)
- 若大将シリーズ
- ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐
- 電送人間
- ガス人間第一号
- モスラ
- 世界大戦争
- 用心棒
- 椿三十郎
- 忠臣蔵 花の巻・雪の巻
- ニッポン無責任時代
- 妖星ゴラス
- マタンゴ
- 東京オリンピック
- 赤ひげ
- 海底軍艦
- 宇宙大怪獣ドゴラ
- 太平記
- フランケンシュタイン対地底怪獣
- キングコングの逆襲
- 怪談
- 日本のいちばん長い日
- 日本海大海戦
- 緯度0大作戦
- クレージーキャッツ主演映画
- 国際秘密警察シリーズ
- 1970年代
- 1980年代
- 1990年代
- 2000年以降(~2005)
- 2006年
- 輪廻
- THE 有頂天ホテル フジテレビと提携
- 単騎、千里を走る テレビ朝日と提携
- サイレン
- 県庁の星
- ドラえもん のび太の恐竜2006 テレビ朝日と提携
- 真救世主伝説 北斗の拳ラオウ伝 殉愛の章
- 名探偵コナン探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)
- クレヨンしんちゃん 伝説をよぶ 踊れ!アミーゴ!
- チェケラッチョ!
- LIMIT OF LOVE 海猿 フジテレビと提携
- 嫌われ松子の一生
- TRICK 劇場版2
- 着信アリ Final
- 劇場版ポケットモンスターアドバンスジェネレーション ポケモンレンジャーと蒼海(うみ)の王子マナフィ
- 日本沈没 TBSと提携
- ゲド戦記
- ラフ
- ブラック・ジャック ふたりの黒い医者 手塚プロダクション
- UDON フジテレビと提携
- シュガー&スパイス~風味絶佳~
- 涙そうそう TBSと提携
- 虹の女神 ~Rainbow Song~
- 7月24日通りのクリスマス
- NANA2 TBSと提携
- 劇場版BLEACH MEMORIES OF NOBODY
- 劇場版どうぶつの森
- 犬神家の一族
- 2007年公開(予定)
- 愛の流刑地(R-15指定)
- どろろ(PG-12)
- それでもボクはやってない
- バブルへGO!! タイムマシンはドラム式
- ドラえもん のび太の新魔界大冒険 ~7人の魔法使い~
- バッテリー
- アンフェア the movie
- 名探偵コナン 紺碧の棺(ジョリー・ロジャー)
- 映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 歌うケツだけ爆弾!
- 舞妓 Haaaan!!!
- そのときは彼によろしく
- 劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド・パール ディアルガVSパルキア
- 西遊記
- 天国で君に逢えたら(仮)
- 劇場版NARUTO-ナルト- 疾風伝(仮)
- HERO
- ALWAYS 続・三丁目の夕日
- マリと子犬の物語
- 椿三十郎
- 銀色のシーズン
- スマイル 聖夜の奇跡
[編集] 主要テレビ映画
- 1970年代
- 1990年代
[編集] 主なプロデューサー
[編集] 主な監督
- 島津保次郎
- 山中貞雄
- 伊丹万作
- 成瀬巳喜男
- 渡辺邦男
- 豊田四郎
- 齋藤寅次郎
- 中川信夫
- 山本嘉次郎
- 稲垣浩
- 山本薩夫
- 今井正
- 黒澤明
- 本多猪四郎
- 谷口千吉
- 市川崑
- 筧正典
- 鈴木英夫
- 川島雄三
- 岡本喜八
- 松林宗恵
- 福田純
- 古澤憲吾
- 児玉進
- 坪島孝
- 森谷司郎
[編集] 主な脚本家
- 小国英雄
- 笠原良三
- 村田武雄
- 菊島隆三
- 田波靖男
[編集] 主な音楽家
[編集] 主なカメラマン
- 中井朝一
- 伊藤武夫
- 玉井正夫
- 円谷英二
[編集] 主な俳優(男性)
- 大河内伝次郎
- 長谷川一夫
- 志村喬
- 上原謙
- 黒川弥太郎
- 藤原釜足
- 伊藤雄之助
- 藤田進
- 小杉義男
- 左卜全
- 宮口精二
- 池部良
- 小林桂樹
- 堺左千夫
- 稲葉義男
- 三船敏郎
- 谷晃
- 鶴田浩二
- 三橋達也
- 木村功
- フランキー堺
- 有島一郎
- 森繁久弥
- 三木のり平
- 志村喬
- 植木等
- 田崎潤
- 千秋実
- 加東大介
- 平田昭彦
- 小泉博
- 久保明
- 人見明
- 天本英世
- 土屋嘉男
- 宝田明
- 仲代達矢
- 佐藤允
- 中谷一郎
- 中丸忠雄
- 夏木陽介
- 加藤武
- 藤木悠
- 児玉清
- 加山雄三
- 黒部進
- 二瓶正也
- 黒沢年男
- 薩摩剣八郎(中山剣吾)
[編集] 主な俳優(女性)
- 入江たか子
- 飯田蝶子
- 花井蘭子
- 三益愛子
- 山田五十鈴
- 中北千枝子
- 高峰秀子
- 原節子
- 轟夕起子
- 山口淑子(李香蘭)
- 木暮実千代
- 淡島千景
- 杉葉子
- 角梨枝子
- 久我美子
- 塩沢とき
- 八千草薫
- 有馬稲子
- 岡田茉莉子
- 司葉子
- 赤木蘭子
- 千石規子
- 中北千枝子
- 笠置シヅ子
- 越路吹雪
- 浜田百合子
- 藤間紫
- 久慈あさみ
- 岸旗江
- 島崎雪子
- 青山京子
- 高千穂ひづる
- 淡路恵子
- 宮城野由美子
- 若山セツ子
- 新珠三千代
- 小田切みき
- 草笛光子
- 白川由美
- 重山規子
- 団令子
- 中島そのみ
- 水野久美
- 江利チエミ
- 雪村いづみ
- 上原美佐 (1937年生)
- 横山道代
- 二木てるみ
- 藤山陽子
- 浜美枝
- 星由里子
- 桜井浩子
- 酒井和歌子
- 内藤洋子
- 沢口靖子
- 斉藤由貴
[編集] その他
[編集] 演劇
- かつては長谷川一夫をメインとした「東宝歌舞伎」などが行われたほか、日劇・北野劇場での実演(歌謡ショー等)、宝塚歌劇、演芸の東宝名人会や日劇ミュージックホールでのヌードショー等多彩であった。
- 現在はミュージカルや商業演劇を主に制作、興行している。
[編集] 主な劇場
東宝直営
- 帝国劇場
- シアタークリエ(2007年11月開場予定)
- ※新宿コマ劇場とシアターアプルは東宝系と見なされる事が多いが、厳密には東宝ではなく兄弟会社のコマスタジアムが経営する劇場である。舞台制作や興行も同社の手により行われている。
- ※東宝発祥の東京宝塚劇場は、現在は阪急電鉄(宝塚歌劇団)が経営し、舞台制作および興行を行っている。
その他
[編集] かつて存在した劇場
- 日本劇場(日劇)
- 芸術座
- 日劇ミュージックホール
- 東宝演芸場
- 北野劇場
[編集] 連結子会社
2005年2月28日現在で52社である。ここでは、証券取引所に上場している3社のみを挙げる。これ以外については「阪急阪神東宝グループ」の項目を参照せよ。
- 東宝不動産 (東京証券取引所市場第一部)
- スバル興業 (東京証券取引所市場第一部)
- 国際放映 (ジャスダック証券取引所)
[編集] 所有ビルなど
これ以外については東宝株式会社 不動産経営部を参照